Thesis
茅ヶ崎市資源ごみ選別センターでは、びん、かん(アルミ、スチール)を手作業で選別している。
その内訳は、びん60パーセント、スチール缶25パーセント、アルミ缶5パーセントである。
平成5年3月18日に稼働、これまでの売却代金は4400万円となっている。茅ヶ崎市では、資源ごみとして扱っているのは、びんと缶だけであり、紙パックは、回収箱が設置してある市の公共施設に持ち込むようになっている。
びん、缶は、飲み残しをそのままに捨てると、作業をしている人に多大な迷惑をかけてしまう。手にかかったり、嫌な臭いがしたり、大変困るそうだ。中には、資源ごみと包丁などを一緒に捨てる人がいて、作業中手を怪我してしまう事さえあると聞いた。
自分の出したごみが、どのように処理されているか、あまり知らない人が多いのではないだろうか。
茅ヶ崎市では、環境部ごみ減量課から「ごみ通信ちがさき」を発行し、市民にごみの出し方を指導し、協力を呼びかけている。茅ヶ崎市の「リサイクル社会」に向けた取り組みは、まだ始まったばかりだ。
川崎市では、新しい清掃行政のモデルを作ろうと、ごみの減量に取り組み始めている。特筆すべき事は、急増している事業系一般廃棄物に本格的に取り組み、大量にごみを排出する300社に、毎年ごみの減量計画を出させている事である。川崎市生活環境局には、4名の事業者指導専任職員がいる。
1992年7月に施行された新廃棄物処理法では、
これまでのごみ行政は、収集、焼却、埋め立てを中心にする一方通行であった。
今後はごみの排出量を減らすため、家庭、事業者を指導するばかりでなく、物の生産、流通にまで影響力を持っていく事が期待される。
現在、全国都市清掃会議では、最も環境にやさしい「ごみとリサイクル」に関する施策を研究する機関を設ける構想がある。リサイクルが大切なのは、都市環境にごみの受け入れ先がなくなってきた事からも、誰の目にも明らかである。
しかし、牛乳パック、ペットボトル、廃プラスティック、等を、実際にどう処理すれば最も環境にやさしいと言えるのか、まだまだコンセンサスがとれていないのが現状である。
例えば牛乳パックのリサイクルは、原料のパルプに戻す時点で大変なエネルギーを使用し、水を汚染する。又リサイクルしているという意識から、紙パックの使用量は逆に増えてしまうと言う批判がある。
川崎市生活環境局企画室で清掃行政を長年担当してきた稲垣さんも、「牛乳パックのリサイクルが良いかどうかは疑問がある。本当は、牛乳パックは使い捨てと割り切って焼却する方が良い。牛乳パックをバージンパルプから作るのをやめたり、使用量を減らしたりする方が、より重要である」と語っていた。
そこで得られた客観的な、誰にでも納得しうるデータを基に、企業や自治体、そして個々の生活者が、新しい資源を使う際にはそれなりのコストを負担するような、法制度や社会システムを整備する事は、これからの政治の重要な課題であると思われる。
地球資源を無駄にしない「循環型社会」を構築する事が、何故必要になったのか。
日本では、「ごみ処理能力に限界が出てきた」事が大きな理由となっているようだ。しかし、本当の理由はそんな些細なものではない。
北の飽食と南の飢餓が、私達の暮らしと密接に結び付いているという事実に対し、日本人はあまりにも無頓着ではないだろうか。
ここにショッキングなデータがある。
全人口の30パーセント(北の富む人々)の人間が、全世界で生産される食べ物の70パーセントを、いかに値が高くとも買い込んでしまい、全世界の生産品の90パーセントを買ってしまうと言う。(犬養道子氏の著書「人間の大地」より)
貴重な地球資源を、惜しげもなく浪費している私達日本人。アメリカがもう一つあれば、地球はパンクすると言う言葉がある。そのアメリカ型の大量生産、大量消費のライフスタイルに、私達はすっかりなじんでしまった。
人間の命を支える食べ物さえ、粗末にする私達。国連食糧機関の調査によれば、まず家庭、次に学校給食、レストランで1年間に70億ドル分の食糧(1980年当時)が無駄に捨てられると言う。
東京のレストランやホテルから廃棄される食糧だけでも、大変なものだろう。(以前、1日に200万人分だと聞いた覚えがある)この事実を、私達はどう受け止めるのか。
たった一つの道は、私達の生活の質を変えていくこと。「モノ」を多く持ち、うまいものを食べる事が、幸せであるという価値観を、変えていくこと。
しかしながら、「言うは易く、行うは難し」である。まずは自分自身のライフスタイルを、見つめ直すところから始めてみよう。
Thesis
Hiromi Fujisawa
第15期
ふじさわ・ひろみ
どんぐり教育研究会 代表
Mission
環境問題 特に環境教育(森のようちえんなど)