Thesis
1 はじめに
9月に、10日間ほどドイツ、デンマークで環境教育という視点から調査を行った。
日本で「環境教育を研究しています」と言うと、多くの人は不思議そうな顔をする。
「ゴミの分別のことですか」と、聞き返されることもある。
確かにゴミの分別は重要であるが、環境教育はもっと奥深いものある。ドイツ、デンマークで行われている環境教育は、生物学、生態学、エネルギー教育など、多くの内容を含んでいる。そして、これらの教育の一つ一つが、幼児期からの発達段階にあわせて、「続可能な思考と、ライフスタイルを身につける」という目的のもとに、体系化されているのが特徴的である。
私の印象としては、日本では至るところで環境教育の重要性が叫ばれていながら、環境教育に対する理解が、まだまだ十分ではないような気がする。
今回のレポートでは、ドイツ、デンマークといった環境先進国の環境教育がどのように行われているか、その理念や具体的な手法を皆様にご紹介しながら、「これからの時代に求められている環境教育とは何か」を、考えてみたいと思う。
2 環境教育とは
1972年の国連人間環境会議の宣言において、環境教育は「個人、企業および地域社会が環境を保護向上するよう、その考え方を啓発し、責任ある行動をとるための基盤を拡げるのに必須のものである」とされている。そして、勧告91項において「あらゆるレベルの教育機関をもちい、すべての人を対象に取り組む」ことが、勧告された。
この会議を受けて、環境教育に関する国際会議や報告が、数多くなされるようになった。
特に重要なのは、1975年にユーゴスラビアのベオグラードで開催された環境教育会議でまとめられた「ベオグラード憲章」である。
それは、環境教育の目的を「環境とそれに関る諸問題に気づき、関心を持つとともに、当面する問題の解決や新しい問題を未然に防止するために、個人および集団として必要な知識、技能、態度、意欲、実行力などを身につけた世界の人々を育てること」としている。
そして、環境教育の目標を、以下の6項目にまとめた。
(次号に続く)
Thesis
Hiromi Fujisawa
第15期
ふじさわ・ひろみ
どんぐり教育研究会 代表
Mission
環境問題 特に環境教育(森のようちえんなど)