論考

Thesis

ドイツの環境教育 その2

1 ドイツの環境教育はまず学校から

 ドイツでは、1971年に連邦政府が「環境を意識した行動を教育目標として、学習指導計画に入れるべきである」とし、環境教育の必要性をはっきり打ち出した。
これまでにも、連邦や州政府は、さまざまな環境教育モデルを作り、各学校に手引書を配布するなど、環境教育を促してきている。
 子供たちは、小学校入学前からごみを紙、生ゴミといった種類に分別し、何ゴミはコンポストに捨てるのが当たり前になっている。また、小学校では、再生紙のノートが奨励され、消しゴムも筆記用具も自然素材のものを使っている。
 低学年のうちにこのような習慣を身につけると、あとは自然にものを大切に使うようになるのある。
州の文部省では、「環境にやさしい学校」と題する手引書の中で、文具や消耗品など、あらゆるものについて、材料からゴミになった時までを配慮するように、細かく指示を出しているという。
 学校生活のありかたについても、ゴミの分別、省エネ、公共交通の利用、学校の緑化などが指導されており、学校の建物の管理人に対してもきちんとした手引書がある。

2 ハイデルベルグ市の環境教育

 ドイツでは地方分権が徹底しているため、連邦が決めるのは全体の方向性と大枠だけ、実際にプランを作成して実行していくのは、それぞれの市町村の役割となっている。
 私がヒアリングを行ったハイデルベルグ市は、行政の役割自体も、「連邦法に決められたことを遂行する部門」と「市の独自の政策を実行する部門」にはっきり分かれており、「独自の政策を実行する部門」の方で、多くのアクションプランを持っていた。
 例えば、「環境とエネルギーのマネジメント」プランでは、多くの研究者が関わっており、工場に対してできるだけ少ない水やエネルギーを使うよう、指導を行っているという。
また、個別の家庭に対しても、断熱を強化してエネルギー消費量を少なくする方法などをPRしており、徐々に効果をあげているとのことだった。
 中でもユニークなのは、全国にさきがけて始めた「学校における省エネプラン」である。これは、専門の指導員が学校の先生や生徒とアクションプランを作り上げ、省エネで節約できたお金の半分は、学校にバックするというシステムで、非常に好評だということだった。
 このプロジェクトの中では、子供たちが自分たちの使っているエネルギーはどこで作られて、どこで消費されるのかを学び、いろいろなアイディアを出していく。このプロジェクトは、最近では多くの市町村が取り入れているとのことだった。
 このように、楽しみながらさまざまな主体が参加し、環境によいことを選択することで、自分自身も恩恵を受けるような、そんなシステムつくりが重要であることは間違いない。

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吉田裕美の論考

Thesis

Hiromi Fujisawa

藤沢裕美

第15期

藤沢 裕美

ふじさわ・ひろみ

どんぐり教育研究会 代表

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環境問題 特に環境教育(森のようちえんなど)

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