論考

Thesis

環境自治体古河会議

1はじめに
去る5月20日~22日、茨城県古河市において、第7回環境自治体会議が開催された。環境自治体会議は、1992年「自治体のすべての部門を環境の視点から改革し、まちづくりのありかたを地球環境の持続可能性の視点から検討する」べく、1992年に北海道池田町で開催されて以来、環境自治体づくりのネットワーク組識として活動を続けている。これまでの、開催された環境自治体会議のテーマと開催場所は、以下の通りである。
1992年5月 第一回環境自治体会議(北海道池田町)総会
1993年5月 第二回環境自治体会議(沖縄県読谷村)地球、南北、環境
1994年5月 第三回環境自治体会議(新潟県安塚町)都市と農村、地域と地球、響きあう環境自治体づくり
1995年5月 第四回環境自治体会議(大分県湯布院町)村の生命、都会の暮らし
1996年5月 第五回環境自治体会議(北海道斜里町)みどりと人間の調和を求めて
1997年5月 第六回環境自治体会議 (青森県野辺地町)先史の心から21世紀を求めて

2環境自治体会議の活動
環境自治体会議は、1992年の設立以来、年一度の総会やセミナーを通して、環境とまちづくりに関する情報交換をバックアップするなど、さまざまな活動を行っている。
1998年3月時点における、環境自治体会議の会員は33市町村。これらの市町村を中心に、全国の自治体へ、ネットワークを広げていくのがねらいである。
今年度、古河市で行われた会議のテーマは、「人間、環境、未来 あらたな局面を迎えた環境自治体を考える」であり、その大きな柱として、「環境自治体としての共通目標が設定できるか」があげられていた。
この「環境自治体の共通目標」に関しては、全体の大きなテーマとして、基調対談や分科会で活発に議論が行われた。
論点としては、1共通目標の必要性 2設定の可能性 3共通目標の果たすべき役割などがあげられており、今回の参加者700人をまじえ、さまざまな意見が出されていた。

3環境自治体の共通目標
環境自治体共通目標設定小委員会の委員で、川崎市環境企画室の田中充は、「環境自治体の会員自体は、規模、特性、環境政策の経緯などが異なり、共通目標の設定は難しい」という意見を述べている。ただし、政策の共通の方向性や、環境自治体の特質を象徴する共通性は考えられる。
そこで、重要なのは「共通目標をつくりだすプロセスで、どういう工夫がなされるか、住民参加の手法がとりいれられるか」であるという。
さらに、行政の仕組みを環境配慮型にすることを、共通の目標にしたらどうかという提案も出された。それに対し、参加者からさまざまな質問や意見が出され、今後の「環境自治体会議」の方向性をめぐる、重要な論点がいくつもあげられた。
私は、シカゴのワークショップでの、スウェーデンのエココミューンや、アメリカにおける「持続可能性」にむけた、さまざまな取り組みをもとに、コーディネーターの竹内鎌倉市長、田中氏などに質問をした。
その内容は、「日本の自治体の環境基本計画の中には、循環型社会をつくろうという言葉が多用されているが、循環型であれば持続可能な社会なのか」というものである。
また、ローカルアジェンダ21に関する方向性など、環境自治体会議で今後、時間をかけて討議をすすめ、社会的にアピールしていくべき課題は多いということを、提案した。

4終わりに
今回の会議では、その他、企業活動を自治体がどうリードしていくか、自治体のエネルギー戦略など、5つの分科会において、有意義な議論が展開された。今後とも、この環境自治体会議に注目したいきたいと思う。

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吉田裕美の論考

Thesis

Hiromi Fujisawa

藤沢裕美

第15期

藤沢 裕美

ふじさわ・ひろみ

どんぐり教育研究会 代表

Mission

環境問題 特に環境教育(森のようちえんなど)

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