Thesis
薄荷童子・乱舞浪漫・女満別龍舞隊・新琴似天舞龍神・極楽とんぼ・平岸天神など、暴走族と間違えそうな名前のチームから、三石なるこ会・江別まっことえぇ・ヨサコイ静内まで総勢183チームが参加、1万9千人が踊り150万人以上の観客がおしよせる祭り。それがYOSAKOIソーラン祭りである。
全国のマスコミにも、今年はかなり取り上げられるようになり、観客動員数で本場高知のよさこい踊りを、祭りとしての楽しさ、ノリの良さで雪祭りを既に抜いた。豊島成彦のレポートに概略はあるので、まずはその「乱舞する姿」をご覧頂こう。
開会式。各チームの代表が舞台上で踊りまくる。
鳴子を持って踊る、踊る。札幌の目抜き通りをパレー。
優勝した「a la collette? 4プラ」チームの激しい踊り
前回優勝の「極楽とんぼ」今回は入賞を逃すも、観客の支持はNo.1
実力派チームの「新琴似天舞龍神」
市内に17カ所ある会場間を地下鉄で移動。お祭りの間、札幌はこんな人だらけになる
大通公園でお昼ごはん
車椅子のチームや、母子のチームも
サンバのチームは辺り構わず踊りまくる
ベストドレッサー賞の「WORLD WAVE」。ワルツやタンゴも踊る。
夕闇が迫っても、踊りは続く‥‥‥。
平成4年に長谷川岳という一人の北大生の情熱が、学生仲間・企業・行政・政治家を動かし、つくりあげたこの祭り(その苦労は「踊れ!『YOSAKOIソーラン祭り』の青春(軍司貞則・文芸春秋)」に詳しい)が、なぜたった数年で、名実ともに北海道を代表する祭りにまで、成長したのだろうか。
誰でも気軽に参加できることがひとつある。地域の古顔でなければ踊れないなんてことはないし、もちろん地域や職種で参加制限をしていない。チームを組んで参加申し込みをすれば、誰でも参加できるし、チームを組めない人のために当日飛び入り参加できる制度も設けられている。
つぎに「自己表現」と「自己実現」の機会があることがあげられるだろう。祭りに使う音楽・衣装・振り付け・地方車(じかたしゃ・音楽を流すための機材を積んだトラック)の飾り付け等々、自分の持てる“才能”と“時間”を注ぎ込める対象があり、そしてそれを発表するステージが用意されている。
そして第三に、仲間と共に一つのものを作り出す、「共働」の充実感があることが考えられる。。
なにはともあれこの祭りは、抜群に楽しい。見ていて楽しく、踊っていてもちろん楽しい。第一回YOSAKOIソーラン祭りのフィナーレで長谷川氏が叫んだように、
「祭りは理屈ではありません。みんなで楽しむものです。さあ、どんどん踊って下さい。」これですべてなのかもしれない。
いま、このストレスに溢れかえる世界は、「はれ」の舞台に飢えている。カラオケも援助交際も、欽ちゃんの仮装大賞も、人とのつながりと人に認められることとを同時に満たしてくれる「はれ」の舞台を求めて行き着いた、ひとつの「かたち」なのだ。仕掛けに踊らせられがちな現代において、自らの意味において踊れる場、 YOSAKOIソーラン祭りにはそんな魅力がある。
YOSAKOIソーラン祭りは、近い将来北海道の産業構造を一変させるかもしれない。北海道(札幌市)が長年力を入れてきた観光業のさらなる成長はもちろんのこと、インターネット(情報化)時代にもっとも求められる産業群(音楽・美術・企画・デザインなど)に必要な人材を祭りは育てることができる。札幌市がファッション都市構想や芸術の森構想などを打ち出しながらもいまだ十分に育てきれていない人材を、祭りは生み出すことができるのである。
Thesis
Taku Kurita
第16期
くりた・たく
Mission
まちづくり 経営 人材育成