論考

Thesis

月例報告

7/26~8/26までカンボジアに行って参りました。、今回の現地訪問にての主目的は以下 の2点でした。

  1. アンロンビル小学校(カンボジア北西部バッタンバン州)建設プロジェクト途中視察 、開校式等の打ち合わせ
  2. 7/13に日本より送付した7.2トンの中古衣料の受け取り、及び衣料配布の打ち合わせ

 学校建設は雨期の影響により予定より多少遅れてはいるものの、順調に進んでいます。 何より嬉しかったのは、アンロンビル小学校(5教室3棟)の一棟を七五三基金で援助決定 した後、第2首相フン・セン氏、国連開発計画が残りを相次いで援助決定したことでした。4~5ヶ月以内に1,800名の子供達が雨期にも心配なく学校に通えるようになります。

 今年度、七五三基金のパートナーは、現地NGOの「開発のための仏教」です(1995年度9 月号の「ちにか」でレポート)。今回もBFDを拠点に様々な活動を行いました。ちにかで レポートしたように、BFDでは幼稚園を開所しています。以前より気にはなっていたので すが、毎日のように熱を出す子供がいました。

 幼稚園を開所したのはBFDの多彩な活動の1つですが、子供の教育に力を入れている代表 のヘン・モニチェンダ師の強い想いによります。現在、196名の子供が園児となっていますが、その家族はカンボジアでも最貧に属しています。中でもかなりの僻地に住む子供、 家が極貧(雨もしのげない家で、栄養不足の子供は簡単に病気に罹る)の子供35名を幼稚 園で寝泊まりさせています。

 しかし、園児用の宿舎がなく、コンクリート床に茣蓙を敷いて寝ているために家庭より いい環境とはいえ、子供の罹病は避けられない状況でした。今回訪問してみると、ヘン・ モニチェンダ師が、BFDのガレージを改造(トタン屋根と木造の高床を設置)し、園児を 寝かせていました。カンボジアのみならず熱帯では昼寝をするのが一般的ですが、これで 安心かな?と、私も園児に混ざって昼食後横になってみました。しかし、余りに暑く、と ても寝ているどころではありませんでした。案の定、病気に罹る子供は毎日のようにいた のです。師に状況を聞いてみました。幾つかの海外NGOに宿舎建設の要請をしたそうです が、どこも資金難で援助をしてもらえず、ガレージを改造して宿舎にしたそうです。

 そこで宿舎建設の援助申請書を作成してもらいました。今月はそれをご紹介したいと思います。現在、七五三基金では本プロジェクトの総予算US$5,562(611,820円、1US$=110 円で計算)の内、180,000円程は確保しています。出来るだけ早く子供達が安心して寝られるよう、活動を進めたいと思っています。


1996年8月16日

親愛なる堀本さん

 この手紙は、カンボジア王国バッタンバン州サンカール郡アンロンビルのサヤプール幼 稚園に宿舎1棟を建設するための資金を、貴七五三基金より得られるかのお伺いです。

 私は貴団体が、子供達の生活に大変関心をもっていらっしゃるとお聞きしました。この プロジェクトの申請は、サヤプール幼稚園の子供達に、2部屋の宿舎を建設するために、貴団体の支援をお願いするものです。皆様の善意は、子供達が将来幸せをつかむ一助とな ることでしょう。

 建設費は総額で5,562ドルになります。貴団体におかれましてご了解いただけますならば、建設は2ヶ月以内に終了し、1996-1997年の新学期(注:カンボジアは9/24より新学期 )に間に合わせることが出来ます。

 詳細に関しましては、ご参考として申請書を同封いたします。私はこのプロジェクトが 、日本とカンボジアの子供達の幸せを永遠に繋げることを期待しています。

 良いご返事をお待ちしております。

ヘン・モニチェンダ

(署名)
BFD 代表



サヤプール幼稚園宿舎建設プロジェクト申請書カンボジア王国バッタンバン州サンカール郡
1.本プロジェクト概要

サヤプール幼稚園の宿舎プロジェクトは、バッタンバン州サンカール郡アンロンビルの サヤプール幼稚園で行われます。このプロジェクトはカンボジア現地NGOの開発のための 仏教によって遂行されます。

2. 開発のための仏教連絡先

(住所)  

Watt Anlongvil, Sangker District,  

Battambang Province, Cambodia

(電話)  

001-855-15-534-695

(担当者)  

Venerable. Heng Monychenda / Director(ヘン・モニチェンダ師・代表)  

Venerable. Su Soeum / Project Manager(スー・スウン師・プロジェクトマネージャー)

3.この計画の目的 

僻地よりの貧しい子供達が、2部屋の宿舎で夜も安心して眠れるため。

4.背景 

1992年にBFD(Buddhism for Development、開発のための仏教)は、アンファン・ドゥ・メコン(メコンの子供達、フランスのNGO)の支援を受け、慈善による半寄宿舎制のサ ヤプール幼稚園を開所しました。幼稚園は3学年、5教室で構成されています。

 

1995年の終わりには、196名の園児を数えるまでになりました。入園児数は毎年70名づつ増えています。子供達は、子供の多い家族や障害者を抱えた家族、また寡婦が家長の 家族といった大変貧しい家庭から通っています。BFDでは、教育費、衣料、医療、そして 生活向上活動も含めて彼らを支援しています。

 

1995年11月に、BFDはサンカール郡で最も貧しいアンドン・トライ・トメイ村(帰還難 民の125家族が村民)に、100名の子供対象の幼稚園を開所しました。BFDはカンボジアの諺、“母親を愛し、子供を愛しなさい”に従っています。

 

田植え期と収穫期に親たちは園児に年下の弟妹の世話をさせるため、子供を学校に行かず畑にいることになります(カンボジアでは一般的)。BFDでは、親が子供を学校に行かせ易くするために、生活向上の活動も行っています。

 

1995年の初期、BFDは生計確立の活動として、サヤプール幼稚園に通う園児の内、35家族に計3,259,000リエル(1,300ドル)をローンで供与しました。12月に本活動の受益者は 55家族、金額は5,439,000リエル(2,175ドル)に上りました。また、最も貧しい6家族に 、720ドルで彼らの家を建設・改修しました。

5.問題点 

幼稚園が家から5~7キロ離れているため、殆どの園児達は貧しさから幼稚園に来ること さえ難しい状況にあります。BFDでは僻地に住む子供達を、朝・夕送迎しています。しか し雨期になると、主要道路から大きく外れたところに位置する彼らの家に行くのは大変困 難になるため、多くの子供達が学校にこれなくなってしまいます。

  

BFDでは、彼らを幼稚園に宿泊させることにしました。そこで初めて毎日幼稚園に通うことが出来るようになったのです。

 

子供達を幼稚園に宿泊させる更なる理由は、親が彼らに十分な栄養を与えられないため です。十分な栄養がなく、家は雨もしのげないため、病気に罹る子供が体変異多いのです 。現在、35名の子供達が幼稚園に泊まっています。

 

しかし幼稚園では宿舎がないため、子供達はコンクリートでできた床に茣蓙を敷いて寝 ています。残念ながら、子供にとって良い環境ではありません。6月にBFDのガレージを改 造(トタン屋根と高床を設置)し、仮の宿舎にしました。それ以前より状況は良くなりま したが、殆ど毎日、病気に罹る子供がいるのです。故に、宿舎は子供達がよい健康でいる ために不可欠なものなのです。

6.建設費見積り 

本プロジェクトは5,562ドルを予定します。

7.宿舎概要 

16・(長さ)×7・(幅)×5.5・(高さ)、 2部屋 

強固なブロックを使った基礎 

木製の壁 

コンクリート床

第1級の木材

8.宿舎建設見積

 

  品目 単価 金額 (ドル)
1 木材 10,600・ 198 2,098
2 8枚 26 208
3 2枚 68 136
4 145・ 0.8 116
5 天井用タイル 258枚 3 774
6 ネジ 1,032個 0.1 103
7 ブロック 3,050個 0.4 1,220
8 砂(建設用) 15・ 4.5 67.5
9 セメント 60・ 4 240
10 労賃     600
      5,562

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堀本崇の論考

Thesis

Takashi Horimoto

松下政経塾 本館

第13期

堀本 崇

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