Thesis
「日本を巡る局地経済圏構想の行方に関する研究~アジア経済発展の新局面」について
The report of *The study of prospect of Sub-Regional Economic Zones around Japan : The new situation of Asian economic development*
Khabar: *Penyelidikan di sekitar masa akan datang Daerah Ekonomi Bawah Lingkungan di sekeliling Jepun : Kedudukan baru di kemajuan ekonomi dalam Asia*
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標記の研究について以下のとおり報告する。
About the above study, I report as follows:
Di sekitar ke atas penyelidikan, saya khabar berikutnya daram bahasa Jepun dan bahasa Inggeris:
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摘要(Summary)
日本における局地経済圏構想
(環日本海経済圏)
80年代後半の中ソの雪解けを背景とし、90年7月に長春で「東北アジア経済開発国際会議」が開催された。その中で、中国が豆満江の河口から15キロメートルさかのぼった防川に港を造り、ロシアと北朝鮮から航行権を取得し、これまで中国東北にとって閉ざされていた日本海への進出を発表した。これに対して、北朝鮮は自らが単なる通過地点にされるのを恐れ、同国の豆満江河口地域である先鋒(ソンボン)、羅津(ナジン)を含む開発計画を、国連開発計画(UNDP)に提案した。その後、93年のピョンヤン会議で豆満江に接する3カ国が50年の期限でお互いの土地をリースしあい、豆満江開発株式会社を設立して香港に匹敵する「国際都市」を建設することで基本合意に達した。
これにより、この豆満江の開発の対岸に当る日本の日本海側の自治体特に新潟から、日本海を囲んだ経済圏の構想が持ち上がり、日本海に面した自治体が集まって国際会議を開くなど、その実現に向けての動きが始まっている。
この日本海経済圏には技術力、資本力を持った日本、韓国に加え、安価な労働力を抱える北朝鮮、中国、ロシア、そして域内には石油、鉄鉱石、石炭など豊富な資源も存在する。ただし、近年のロシア特に北朝鮮の政治的不安定さのために、日本側の自治体の熱意が空振りの形に終わっている。今後、交通網の整備も必要とされており、市場主導で進む可能性は低い。冷戦の残した東北アジア地域の不安定な国際情況故に、本地域の開発に関する政治的判断も域内諸国や米国の思惑も絡み困難を要する。
( 環黄海経済圏)
中国では、79年以降本格化した改革開放経済の下、広範な経済政策権限がまずは4つの経済特区へ、そして現在地域的な広がりを見せ、それぞれの地域が独自に、そして活発に国外の経済と結び付き年間二桁を越える経済成長を見せている。88年には山東・遼東半島も「沿海経済開放区」の指定を受け、それに呼応するように韓国でも89年に「西海岸総合開発計画」が策定された。本計画は開発の遅れた西海岸を対中経済交流基地と位置づけ、同地域の開発による地域格差是正を目指すものであり、全体で126事業、目標年度の2001年までに22.3兆ウォンを投入する予定となっている。これを受け、韓国西部の各地方(牙山地区、瑞山地区等)の経済活動が活発化してきている。
韓国と中国山東・遼東の経済交流も進みつつある。これを受け、福岡、北九州を中心とした九州地方もこの経済圏の一角に加わろうとの取り組みを見せ、環黄海経済圏構想が大きく動き出している。福岡では毎年東アジア都市会議を開催したり、また、北九州では「公害対策技術」を媒介に大連を始めとする都市と交流を行っている。
中韓、日中の経済交流はここ数年飛躍的に伸びているものの、日韓の交流はやや停滞気味である。しかし、本経済圏にも明らかに強い生産要素の補完性が働いているので今後の飛躍が期待されている。九州に隣接する下関と韓国・釜山、中国・青島を結ぶフェリーや福岡と釜山を結ぶ高速艇、そして整備された航空網と交通のインフラはかなり進んでいる。
問題は、日韓の競業分野の拡大から、経済的インセンティブがかなり低下してきたことであろう。今後は、日韓の経済分業体制がスムーズに進むよう、行政側のバックアップが望まれる。
(その他の取り組み)
沖縄では、東アジア貿易の中継地点の役割を果たそうと輸入促進地域(FAZ)指定を越え、フリーポート化の実現に動き始めている。沖縄の米軍基地の負担がクローズアップされる中で、意外とその実現は早いかもしれない。
瀬戸内に面した大分では、その国際化には決して有利とは言えない条件を克服して、「一村一品運動」という国際レベルの地域興し政策を媒介に世界の都市と交流を深めている。
また、北海道では、その観光市場を国内に止めず、雪の無いアジアの人々をターゲットにした宣伝活動を開始している。
東の横浜に対する西の神戸では、その地の利を活かし、「上海・長江交流事業」の実現に向け準備段階に入っている。ただし、現在その具体的中身不足が問題となっている。
(成功への道)
以上の分析を各項目ごとに3段階に評価(優、良、劣)し一覧表にまとめると以下のとおりとなる。
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) 環日本海経済圏 優 劣 良 良 優 優 優 劣 良 環黄海経済圏 優 優 優 優 優 優 優 優 良(注) (1)生産要素代替 (2)地理的取引費用の逓減 (3)民族・文化的繋がり (4)市場拡大効果 (5)相互開発作用 (6)地域の政治的安定 (7)辺境地開発 (8)政治の経済化 (9)地方分権・地域主義
環日本海経済圏に関しては、交通手段の整備、投資リスクの保障強化などの措置が必要とされる。また、環黄海経済圏に関しては、日韓の経済分業体制整備推進のため、九州地方の経済開発の自主性の強化が必要とされる。
(4)結語~アジア経済発展の今後の展望及び日本の対応
Conclusion~The prospect of Asia economic development and the correspondenceof Japan
アメリカ合衆国の外交政策には「民主主義、人権尊重の擁護」という原則が存在し、これはアメリカ合衆国建国以来一貫した強固なものである。翻って日本外交にこのような理念は存在するのであろうか。外務省では戦後の外交を「平和外交」であると称し、通産省では「経済外交」であると称している。しかし、これらは何れも捉え方がたいへん曖昧な概念であり、情況によりどのようにでも左右に揺れる外交概念である。外国から見て、日本外交の一貫性、主体性に疑問が持たれるのは、この点に原因があると考えられる。私は日本の強固な外交理念の早急な確立の必要性を強く感じる。
戦後の日本の国家的特徴を考えると、外務省の「平和外交」も通産省の「経済外交」も的外れではなく、いや、日本国の特徴を片務的ではあるものの、それぞれ的確に捉えている。問題はこれまでこれらが正比例的に連動してこなかったということではなかろうか。
これらは、往々にして反比例の動きか、若しくは全くの非相関的な動きを見せて,諸外国の不信を買ってきた。今、世界的に中国の経済だけではなく政治上の改革開放(つまり民主化)が問題となっている。中国に対し厳しい見方の論評では、香港返還を迎えるこの1年乃至2年以内の動乱勃発を予想する傾向が強い。
この様な動乱は将に民衆の貧困からの怒りが引き起こす激しい変革になることは必至である。多くの人命がこれにより失われるであろうし、変革後の政治的混乱は経済的混乱を生み、民衆は貧しく苦しい生活を余儀なくさこととなるであろう。
このような「貧困からの変革」ではなく「豊かさからの変革」は不可能なのであろうか。この様な議論の時によく例として出される韓国や台湾の民主化への変革のように、中国においても経済発展先導の民主化というものを原則追求していくべきだし、回りで支援していくべきなのではなかろうか。
まさに、日本はここの場において「平和外交」と「経済外交」をこれまでのように分離(ビジネスと外交の分離)させたり、反比例(経済力による恫喝)に働かしたりするのではなく、「平和のための共栄」を御旗に掲げ、堂々と揺るぎのない首尾一貫した独自の外交を行うべきではなかろうか。
今後のアジアの経済的繁栄を維持し発展していくためには、日本としては上記の「平和のための共栄」という御旗を高々と立て、自由競争による域内の経済繁栄を追求し、先導していくことが求められる。アジアとの競争を恐れず、競争を通じてますますの発展を実現するという積極的態度に立たなくてはならない。勿論、国際的な過当競争等による弊害を防ぐ何がしらの国際的な規制措置ないし機関が必要とされるのは当然であり、日本はその設立に向けて先導役をも果たさなくてはならない。
更に各論を述べれば、NIESの後背地の拡大(SREZ)、日本の都市機能(ハブ機能)のこれらへの分散が始まっており、日本が国際競争に勝ち残るには日本のハブ機能の高度化と後背地の開発(東シナ海経済圏、日本海経済圏の確立)の必要がある。ただし、SREZにも問題があり、ローカリズム、リージョナリズムとナショナリズムの対立(SREZの進展に伴い生じる)が今後発生するのは避けられないであろう。日本は、ナショナリズムの克服をも先導して指し示さないとならない立場にある。
また、近隣諸国の経済的発展は日本の地方の地域的特性を顕在化させる。地方もこの国際的競争の中に積極的に参加できるような体制を整えなくてはならない。ちなみに、地方の国際化とはつまり地域開発の発想の国際化に他ならない。世界レベルで地域政策を考える必要がある。世界が市場、世界が生産要素の調達地という発想が大切となろう。
以上、各論を述べていけばきりがないが、日本としては、これまでのような表で平和を唱え、裏でビジネスを行うという自律神経失調外交ではなく、「平和のための共栄」を高々と宣言し、堂々と正義のための外交を独立独歩で進めていくことが必要であろう。
Thesis
Koya Takahashi
第15期
たかはし・こうや
Executive Vice President, Panasonic Energy of North America
Mission
企業経営、管理会計、ファイナンス、国際経済