論考

Thesis

「改革」を考える①(参議院選挙奮戦記②)

先月、この場で報告したように、現在、ある民主党の参議院候補の事務所でのインターンシップを中心にした活動を行っている。候補にとっては始めての選挙で熟練のスタッフもいない上、広大な選挙区を抱えているので完全に人不足の状況の中、政策作りから遊説、事務所での雑用まで何でもこなしている。4月までは、政策作りが中心であったが、ゴールデンウィーク明けからは、いよいよ選挙本番を見据えて、政策宣伝のための遊説を中心に仕事を任されている。
 今月から何度かに渡り、政策作り並びにそれを伝えるための遊説活動を通じて自分なりに深めた私見を整理していきたい。
 「改革」の必要性が声高に叫ばれている。私は、2月頃から、7月に予定されている参議院選挙に向けた政策作りに着手していた。その頃は、まだ森政権時代で、守旧派の自民党VS改革派の民主党、景気回復派の守旧派VS財政再建・構造改革派の改革派という構図が成立しており、小泉政権発足後の現在のように、皆が皆、改革を訴えている時代ではなかった。しかしながら、「改革」を巡る議論は極めて曖昧で、例えば、「構造改革」とは、何なのか?
 「何の」構造を、「どのように」変えるのか?という点が極めて不明確だった。同じく、「政治改革」「行政改革」にしても、その内容は極めて曖昧だった。私は、だからこそ、昨年後半のいわゆる「加藤の乱」は失敗してしまったと考えた。私達は、改革の必要性を訴える以上、「何の」構造を、「どのように」変えるのか?、その具体的なイメージを有権者に伝えることが重要だと考えた。そうしなければ、今までのように、構造改革は、金融機関の救済、政治改革や行政改革は、単なる政治部門や行政部門の人員削減や経費削減などの効率化の話に矮小化されてしまい、その重要性・必要性が国民全般に共有されることが無くなってしまう。

 候補者と議論を重ねながら、私達がたどり着いた結論は、一言で言えば、今日本に必要な構造改革とは、「政治行政体制」の構造の改革ということになる。失われた10年とも言われる経済的停滞は、産業構造の転換・新陳代謝の遅れに起因しており、そういう経済構造の転換の遅れは、四半世紀ほぼ内容が変わらない公共事業に象徴される、硬直した「政治行政体制」に起因しているという認識に立つ。そして更に言えば、そのような政治行政体制の停滞を生んでいるのは、「何をしても変わらない」という、政治に関する国民の意識にある、と考える。
 よって、我々の選挙戦を通じての戦略は、選挙運動を通じて、国民の意識改革を唱えつつ、「政治行政体制」の改革を訴える。それこそが、真の構造改革であり、そうすれば、経済・産業の構造改革も進み、経済の回復につながるハズだと考える。

 

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鈴木烈の論考

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Retsu Suzuki

鈴木烈

第20期

鈴木 烈

すずき・れつ

八千代投資株式会社代表取締役/株式会社一個人出版代表取締役

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