松下政経塾 The Matsushita Institute of
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1999年2月

塾生レポート

日本の対台湾政策を考える(6)台湾問題
矢板明夫/卒塾生

 
 昨年の江沢民中国国家主席の訪日後、日中関係は大きく後退し、二十年以来の氷点まで落ちったと言われている。
 しかし、私はこの分析に対していささか疑問に思う。歴史問題という指摘はは確か腑に落ちるが、日中間は台湾問題という対立軸が存在することに納得できない。
 確かに中米間に台湾問題は存在する、アメリカは台湾を中国の一部だと認めながらも、国内で「台湾関係法」を制定し、台湾問題に介入しようとする姿勢を明らかにしている。また、台湾への武器売却問題も中国との約束を守らず、減らしていく傾向を見せていない。95年に李登輝氏の訪米を認め、96年にとうとう台湾海峡に空母を派遣した。中国としては「アメリカは本当に何を考えているのか」を確認したくなる気持ちがある、クリントン大統領が中国を訪問したとき、台湾問題「三つの不支持」という要求を突きつけたのはこうした背景がある。
 しかし、一方、日本政府は1972年以来、一貫して日中共同声明に従い、中国に対してずっと台湾独立の不支持を表明してきた。また、台湾との交流にも厳しい自主規制を敷き、95年外務大臣の河野洋平氏が外遊の際、台風により飛行機が台北で緊急着陸したときも、飛行機から降りることなく、数時間待機した。また、武器の輸出はもとより、李登輝氏の京都大学同窓会の参加も認めていない。つい最近まで、公務員の台湾訪問にパスポートの変更まで徹底した。
 台湾問題に対して、今まで日本は一所懸命避けてきて、出来ることをほぼすべてやってきた。つまり、日本としては中国との間、「台湾問題」という対立軸はし存在しない。にもかかわらず、対応の全く違う日米両国に対して、同じような「三つの不支持」要求を付けつける中国は大変失礼だ。日本政府のこの20数年の努力を全く認めていないことになる。こうなったら、日本はそれに対抗して、独自の対台湾積極政策作成することを提案したい。
 日本の対台湾政策は殆どありません、二、三年前に、今の外務省政務次官武見敬三氏が新聞で平和主義と民主主義は対台湾二つ基本政策だと言ったことがある。96年5月に参議院で可決した台湾決議も殆ど同じ趣旨である、しかし、よく考えてみると、これは果たして政策といえるのだろうか、台湾問題の場合において、平和主義と民主主義は実は相矛盾するもののように思う。平和主義と民主主義はどれが大事だと言われなければ何もしないと宣言するのと同じだ。
 私は日本の対台湾政策を「平和主義を前提とした民主主義の推進」にすべきだと考える。
 平和を維持できるという前提に対台湾積極政策を推進していく。例えば、李登輝氏の訪日を認めることや、台湾の国際組織の加盟に支持することなど、政府として全面的に進める。そして、中国の反応を見ながら、駆け引きをする。
 つまり、日中間で本当に台湾問題という対立軸を作ってしまう。いま、日中関での一番の問題になっているのは歴史問題である。確かに謙虚な気持ちで清算しなければならないが、しかし、未来志向で新たな焦点を見つけなければ、歴史問題は何時までも使われる。
 台湾問題を作り出すことによって日中間の未来志向外交が始まる。

1999年2月 執筆
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