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3年目も半年を過ぎ、残り半年となりました。今回の活動報告では、フィリピンでの研修と大阪府茨木市でさせて頂いた講演についてご報告します。
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近年、日本国内において、「貧困の連鎖」という言葉をよく耳にします。では、「貧困の連鎖」が続いた結果、貧困が固定化してしまった社会とはどのようなものなのでしょうか。また、貧困の連鎖を断ち切る方法を考えるために、考慮すべき点とはどのような点なのでしょうか。日本語学校でのボランティアスタッフをおこないながら、そこで感じたスラム地区の貧困についてレポートします。
貧困から脱出するには教育が重要であることは当然ですが、教育だけでは貧困を解決することはできず、貧困を形成している要因は複雑であるということを痛感しました。フィリピンでは特に、クラブメンタリティーという考え方が貧困形成に大きく影響しています。クラブメンタリティーとは、貧困から脱出しようとする人がいると、その人の足を引っ張り、再び貧困に戻そうとする考え方です。例えば、出稼ぎに行くチャンスを掴む人がいても、家族や親族がその一人の給与を頼りにします。そのために、いくら一人が稼いでも貯蓄をすることが難しく、生活環境がなかなか改善されないという現状があります。現地の多くの若者からもこのクラブメンタリティーの考えがフィリピンに根付いているということを伺いました。貧困の連鎖を断ち切るには、社会に根付く考え方や社会の成り立ちをつぶさに考える必要があります。
また、支援が充実していることにより、自立心が育まれない状況も生まれています。フィリピンでは、様々な貧困世帯を支援する活動があります。食事の提供から仕事の提供まで大変幅広くおこなわれています。しかし、支援が多いことが生む負の面も生じています。スラム地域の子供たちを雇い、マニラで自然食レストランを経営するユニカセの中村八千代さんからも「スラム地域の子ども達は、何もしなくても食事を得ることができる。そのために、仕事を一生懸命しようとする意欲があまり高くない。」と伺いました。支援を充実させながら自立心を育むような支援とはどのようなものなのか、考え続けなければならない点だと思います。
貧困から脱出するために、脱出したいという思いが重要であることは言うまでもありません。その思いを阻害するものをなるべく少なくし、育むためにはどうすればいいのか。貧困の連鎖を断ち切るために考慮しなければならない重要な点として、フィリピンでの学びを今後に活かしていきたいと思います。
また、出身の大阪府茨木市において、貧困の連鎖を断ち切るための就学前の取り組みの重要性とこれからの就学前教育について講演させて頂きました。PHPほんわか女子の会の皆様が企画して下さり、当日は茨木市からだけでなく京都や滋賀、遠くは東京から総勢40名の方が足を運んでくださりました。子育てを経験された、また、まさに真っ最中の皆様から、乳幼児期の子育ての悩みや疑問など率直なご意見も伺うことができました。今後の就学前の在り方を考える上で、専門家や研究者だけでなく、実際に子育てをされている皆さまのご意見は貴重であると考えています。この場を借りて、PHPほんわか女子の会の皆様、ご参加頂いた皆様に御礼申しあけます。
引き続き、次世代の子供達が親の所得や家庭環境に関わらず、より良い教育の機会を享受できる社会の実現を目指して、力を尽くしてまいります。
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Susumu Yamamoto
第35期
やまもと・すすむ
Mission
天分を活かして誰もが働くことができる社会の実現