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今回の実践活動報告では、2017年7月1日(土)の14時~16時において、大阪府茨木市で主催しました子育てフォーラムについてご報告します。
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1.フォーラム開催の経緯
子どもの健全な発育のためには、特に乳幼児期の家庭環境やその支援が重要であると考え、実践活動を行っています。子育て支援は多様であり、国が進めている家庭教育支援や、大阪府の社会福祉協議会が進めている保育園・保育士の育児指導相談員、地域包括支援員(通称スマイルサポーター制度)などがあります。
このような取り組みの背景の1つに ‘孤育て’という問題があります。孤育てとは、パートナーや親族、地域から子育ての協力を得ることができず、片方の親に子育ての負担がかかっている状態です。孤育ては育児不安や育児ストレスを抱えやすく、最悪の場合には虐待につながるとも言われています。
社会の変化の中で子育てが孤育てに変わり、その支援が急務であることを踏まえ、「すべての世代で子育てを支える社会」について市民の皆様と考えるフォーラムを開催しました。
2.フォーラム内容
フォーラムは二部構成で、1部では「子どものために大人ができること~父親・母親・保育園の役割」の講演をおこない、2部では「保育園・学校が支える子育てのかたち」として、茨木市の保育園の三角園長先生と小学校の為乗校長先生を交えてパネルディスカッションをおこないました。
講演で孤育ての現状を説明した後、孤育てを防ぐ家庭内での工夫についてお話しました。主に、男女の脳の働きの違いと夫婦のコミュニケーションについて、保育園のスマイルサポーター制度の現状とこれからの役割についてお話しました。
2部では、保育園の三角園長先生から、保育園が保育士不足や待機児童問題を抱えながら、スマイルサポーター制度を運用するご苦労についてお話頂きました。アンケート結果からも、現場での奮闘と課題について理解することができたと、多くのコメントを頂きました。また、小学校の為乗校長先生には、小学校が子育てを支える取り組みと保幼小連携についてお話頂き、特に、保幼小連携が子育て支援や子どもの学力・生活面にとって重要であることを、会場の皆さんと共有することができました。当日は多くの方にご来場いただき、活発な質疑応答がおこなわれ、これからの子育てのかたちを会場の皆様と一緒に考えることができました。
3.フォーラムを終えて
今回のフォーラムを開催するにあたって、よく頂いたご意見があります。それは「子どもがいないのに、子育てのことを語るの?」というものでした。では、子どもがいない人は子育てについて考えない方が社会にとって良いのでしょうか。
例えば、高校生や大学生が、街中で困っている妊婦にさっと手を差し伸べる行動や、道をベビーカーにさっと譲る行動には、どこか温かさを感じます。また、未婚の20代・30代の男性が、新幹線の中で泣き叫ぶ赤ちゃんに対して、優しく微笑み返すのは、素敵な振る舞いであると私は思います。子育ての有無に関わらず、みんなが子どもを温かく見守る社会は素晴らしいのではないでしょうか。
また最近の保育園の建設反対問題を見ても、子育て・子どもに対する社会の寛大さが失われつつある気がします。横浜市の保育園建設反対の事例では、ある母親は実際に次のように発言しました。「私は三人の子どもを育てていて、三人とも保育園に預けています。そのために保育園の重要性は分かっています。ですが、とにかく私の家の近くに保育園を作らないで下さい。」
この例は、子育て経験がある方でも、すべての子育て世代・すべての子どもに対して温かく支える社会にあまり関心がないことを示しています。もちろん、自分の子どもというのは特別な存在だと思います。ただ、広い視点に立てば、すべての子ども達はこれからの日本を担う、社会の宝物です。温かくすべての子ども達を見守り、すべての家庭が安心して子育てできる環境をつくる。
そのためには、子育てをしていない人も、している人も、ひと段落ついた人も、すべての世代で、子育てについて考えることは重要だと思います。今回のフォーラムを通して、この思いがより強くなりました。引き続き、活動に取り組んでまいります。
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Susumu Yamamoto
第35期
やまもと・すすむ
Mission
天分を活かして誰もが働くことができる社会の実現