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実践活動報告~日本財団×ベネッセ 子どもの貧困対策プロジェクト 現場責任者としての挑戦(1)~

実践活動報告~日本財団×ベネッセ 子どもの貧困対策プロジェクト 現場責任者としての挑戦(1)~ 実践活動報告~日本財団×ベネッセ 子どもの貧困対策プロジェクト 現場責任者としての挑戦(1)~

日本財団と㈱ベネッセホールディングスは、子どもの貧困対策として共同プロジェクトに取り組んでいる。このプロジェクトは、家庭でもなく学校でもない第三の居場所を全国各地につくる計画であり、私は関西で初となる大阪府での現場責任者に就任した。今回の実践活動レポートでは、本プロジェクトの概要について説明する。
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 2016年5月、日本財団とベネッセによる「子どもの貧困対策プロジェクト」が始動した。(図1)このプロジェクトにおいて、日本財団が全体のコーディネートとサービスの全体設計、さらに拠点設置に必要な50億円の資金提供を行う。ベネッセは、これまで培ってきた教育ノウハウをもとにコンテンツの提供等を行う。このプロジェクトは、子どもの貧困問題解決に向けて、有効な解決策を探るものであり、主に就学前から小学校低学年の子どもを対象に、「家でも学校でもない第三の居場所」となる拠点を全国各地に100か所設置し、子ども達の将来の自立を促す取り組みである。その中の1つである大阪府箕面市の現場の運営は、特定非営利活動法人トイボックスが担う。私は独立事業者としてトイボックスと契約を結び、箕面拠点の現場責任者に就任し、2017年10月から箕面拠点が活動を開始した。
 
1.プロジェクトの概要~子どもたちに安心できる居場所を~
 
 なぜ子ども達に第三の居場所が必要なのであろうか。日本財団はこの理由として関係性の貧困を述べている。親が貧困である場合、子どもが被る不利益は金銭面だけではない。親の人間関係や繋がりの希薄さの影響をも子ども達は被る。例えば、ひとり親で子どもが幼ければ、仕事と家事を一人で担う。その親がプライベートで人との繋がりをもつことは難しく、その結果、その親は孤立してしまう可能性が高い。そして、親の孤立が、子どもの孤立につながってしまうかもしれないのである。この場合、子ども達にとって居場所となり得るのは、多くの時間を過ごす家庭と学校しかない。子ども達への支援活動の中で、安心できる居場所となりえていない家庭を、私はいくつか見てきた。親が離婚と結婚を繰り返し、新しい親や兄弟と一緒に暮らす家庭や、親の虐待におびえる子どもがいる家庭などである。そのような家庭の子ども達にとって、家はほっとできる場所になっていない場合がある。
 また、学校もほっとできる居場所になることが難しくなっている。教師は様々な雑務に追われ、さらに子どもや家庭の課題も多様化しており、そのニーズを組み取ることも容易ではない。一人一人の子どもとその親に教師がじっくり向き合うにも限界があるのである。
 家庭でもなく学校でもないところに、子ども達がほっとできる居場所が必要である。そして、そのような居場所が家庭や学校と適切に連携を取ることによって、より親子へのケアが行き届くのではないだろうか。このような背景から、第三の居場所プロジェクトは始まった。
 
2.現場から学んだ居場所づくりの重要性
  
 私は、子どもへの支援活動の経験から居場所の重要性を痛感している。そのため、本プロジェクトの考えに大いに共感している。私の活動については以前のレポートで述べているため、ここでの詳述は割愛するが(2016年12月 実践活動報告~子どもの貧困の現場から学んだ、居場所づくりの重要性~)、日本には、家庭が居心地の良い居場所でない子ども達が数多く存在する。親が離婚と結婚を繰り返し、新しい親や兄弟と一緒に暮らす子どもや、親の虐待におびえる子どもにとって家は必ずしもほっとできる場所となっていない場合が多い。
 学校に遅刻する子ども達でも、第三の居場所には時間通りに姿を見せることがあった。帰り間際には「帰りたくない」と、ぐずる子ども達もいる。孤独な子ども達は、絶対的な安心できる居場所を求めている。居場所があるということは、精神の安定だけでなく、物事に取り組む意欲など様々な面に影響を与える。人にとって居場所とは、それほど重要なものである。
   
3.スタッフに求められる姿勢
 
 では、子ども達に安心できる居場所をつくる上で、私達スタッフに何が求められるのであろうか。答えがない問いではあるものの、私達は”寄り添う”姿勢を大事にしていきたいと考えている。子ども達は様々な事情を抱えている。家でも学校でも、ほっと一息つける居場所がない子ども達がいる。まずは、子ども達に寄り添って、話に耳を傾け、「うん、そうなんだね」と頷いてあげる。そして、子ども達の得意なことや、自慢できることを「すごいね」と反応して、認める。子ども達が苦手なことにチャレンジするときには、見守り、そっと背中を押してあげる。このように子ども達の気持ちに寄り添い、共に豊かな関係性を紡いでゆくことが、安心できる居場所に求められているのではないだろうか。一人ひとりの子供たちが心からほっととできる居場所づくりに力を尽くしていきたい。
 
4.今後の展望
 
 もちろん、安心できる居場所づくりの他にも、今後取り組んでいきたい様々な構想がある。より良い生活習慣や学習習慣の定着、子どもがわくわくする体験の機会の提供、これからの時代を生きていくための生き抜く力の育成などである。これらの取り組みについては、時期を適切に見極めながら、随時取り組んでいく計画である。引き続き、追ってレポートで報告していく。

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