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実践活動報告~子どもの貧困の現場から学んだ、居場所づくりの重要性~

実践活動報告~子どもの貧困の現場から学んだ、居場所づくりの重要性~ 実践活動報告~子どもの貧困の現場から学んだ、居場所づくりの重要性~

今回の活動報告では、子どもの貧困の現場である西淀川子どもセンターでのスタッフ業務を通じて、学んだことを報告いたします。
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 ‘子ども食堂’という、様々な家庭環境にある子どもに食事を提供する活動は昨今ブームで、多くの場所で取り組まれています。またその他にも、学習支援や、レク活動に力を入れている団体もあります。 そのような中、心の葛藤を抱える子ども達に、心の拠り所となる居場所を作りたいという思いで活動しているNPO法人があります。それは、大阪府西淀川区にある西淀川子どもセンターです。私は2年前から子どもセンターとご縁を頂き、現在、スタッフとして活動に参加しています。活動内容は、子ども達と一緒にご飯を作って食べたり、学習支援をおこなったり、キャンプに一緒に行く活動など幅広く行っています。このレポートでは、スタッフとして活動して見えてきた、子どもの貧困の現場での率直な気づきについて報告いたします。
 
1.外部評価がされにくい活動
 
 活動に参加してまず感じたことは、このような活動に対しての成果が表現しにくく、分かりにくい、また、行政などの機関に成果を報告しにくいということです。特に、子どもセンターのように心の拠り所をつくることに力を入れている団体では、それを客観的な数値などで表すことが簡単ではありません。これは、学習支援の成果と比較して考えれば分かりやすいと思います。学習支援の場合、テストが何点上がった、どこの高校、大学に何名進学した、ということが数値として示すことが簡単です。そのため、その活動の評価が得られやすい傾向にあります。その一方、子ども達の居場所作りの活動となると、‘子どもの顔色が変わった’‘子どもの発話の回数が増えた’というような報告になります。そのため、活動の価値を的確に伝えることは課題の1つであります。
 正直に言えば、私も活動に参加した当初、これらの成果をどのように捉えていいのか分かりませんでした。しかし、子どもセンターに来て、変わっていく子ども達を目の当たりにして、私の考えも変わりました。そもそもセンターに来る子ども達が置かれている状況は、想像以上に深刻であり、現状を分かっていなかったと痛感しました。
 
2.複雑な状況下の子供達
 
 子どもセンターに来る子ども達の置かれている状況は様々です。そのため、私達スタッフが安易に話しかけると、想定していない答えが返ってくることがあります。例えば、「兄弟は何人?」と聞くと、「最初は2人で、途中で2人増えて、今は4人になった。」、「学校は楽しい?」と聞くと「1学期から全く行ってない」という答えが返ってきます。また、子どもセンターでは、主に夕ご飯を提供していますが、土日に来る子ども達は、朝ご飯、昼ご飯を食べずにセンターにやってきます。休日は、給食がないために、子ども達はお腹を空かして過ごすことが多いのです。同じ理由で、「夏休みが早く終わればいいのに…」とつぶやいた子どももいました。2017年の日本で、このような現実があります。
 
3.居場所づくりの重要性
 
 多くの子ども達と触れ合う中で、特に、居場所づくりの重要性を痛感した体験があります。それは大志くん(仮名、中学生)との出会いです。私が会った当初は、ほとんど発話をしない子どもでした。発話をしない以前に、顔もまともに見てくれない状態でした。しかし、一緒に料理をつくったり、遊んだりする中でコミュニケーションを取り、少しずつ発話の回数が増え、声の大きさも徐々に大きくなっていきます。そして、率先して料理や手伝いをしてくれるようになり、自分よりも年下の子ども達の面倒を見るようになります。最近では、勉強がしたいという本人の希望で、英語、数学の学習にも積極的に取り組んでいます。出会った当初は、何か思い悩んでいるような暗い表情でしたが、何かに取り組みだしたことが原因なのか、顔色もよく、少しイキイキとし始めました。
 私はこの体験から、そもそも人間はとても弱い存在であり、安心安全な居場所がなければ、意欲的に行動することができないと感じています。誰かが関心をもってくれている、誰かが見ていてくれている、そういった自分の居場所があるということが、精神の安定だけでなく、さらなる行動の一歩を踏み出すために必要であると思います。
 
 引き続き、子どもセンターでの活動を通じて子どもの貧困の現状を知り、また、子ども達と関わる中で、どのような支援が求められているのかを探求していきます。

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