論考

Thesis

千葉市若葉区をさらに元気にするために

私が実践活動をしているのは千葉市若葉区です。千葉市若葉区には、縄文時代の代表的な貝塚である加曽利貝塚があり、立ち上がるレッサーパンダ「風太くん」で有名な千葉市動物公園、日本さくら名所100選である泉自然公園もあります。他方で、千葉市6区の中でも若葉区は少子高齢化の進行が著しく、最大の面積を有しており、千葉都市モノレールが通っていない地域においては高齢の方を中心に交通困難者も増加しています。本稿では、若葉区で様々な活動をしている方々と出会い、ともに活動している様子を紹介します。

1、はじめに ~千葉市若葉区の概要~

 千葉市は、人口97万7306人(令和4年1月1日現在)を有する政令指定都市であり、中央区、稲毛区、花見川区、緑区、若葉区の6区に分かれ、面積は271.78平方キロメートルです。千葉市若葉区は、そのうち14万6144人の人口を有し(令和4年1月1日現在)、面積は6区の中で最大の84.21平方キロメートルを有します。

図1:千葉市の6つの行政区(千葉市HP:令和4年2月1日閲覧)

https://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/kohokocho/prfindex.html

 千葉市若葉区の人口は、5年で約5000人減少(平成27年・令和2年国勢調査による)し、高齢化率も30.4%と全国平均を上回っています。

 千葉市若葉区に唯一所在するJR東日本の駅が都賀駅であり、その都賀駅周辺を重要地域拠点(副都心機能)、千葉都市モノレール千城台駅周辺を地域拠点(生活拠点)としています(千葉市都市計画マスタープラン参照)。若葉区西部はみつわ台、都賀、都賀の台、西都賀、小倉台、千城台などの住宅街が広がる一方で、若葉区東部は田園地帯が広がっています。

 若葉区内には、東京情報大学、植草学園大学という2つの大学、植草短期大学という1つの短期大学、5高校、10中学校、17小学校が存在します。若葉区内の児童数も減少してきており、令和2年には、千城台北小学校と千城台西小学校が統合し、千城台若葉小学校が誕生しました。令和3年には、千城台南小学校と千城台旭小学校が統合し、千城台みらい小学校が開校しました。

2、若葉区の魅力を活かす

1、魅力ある自然・観光施設

(1)加曽利貝塚

 日本における縄文時代の貝塚は約2400カ所あり、そのうち120カ所が千葉市内に集中しています。その中でも加曽利貝塚は、直径140メートルのドーナツ形をした縄文時代中期の北貝塚と長径190メートルの馬蹄形をした縄文時代後期の南貝塚からなり、上空からみると8の字形をした日本最大級の貝塚となっています。約15.1haが国の特別史跡となり、加曽利貝塚縄文遺跡公園(千葉市若葉区桜木に所在)として、地域の方々から親しまれています。

写真1:加曽利貝塚にある竪穴式住居と著者(令和3年4月20日撮影)

 発掘された土器などが展示されている資料館も併設されており、公園内には竪穴式住居が復元されており、内部に入ることも出来るようになっています。

 文化的意義も高く、かそりーぬなどのゆるキャラ人気も一定程度認められるものの、お土産などの充実度は低く、観光施設としては十分とはいえない状況にあります。

 令和3年12月から縄文グルメ(「じょうもん貝」と呼ばれるイボキサゴを使った料理など)を盛り上げる取り組みも見られます。特別史跡という資源を最大限に生かしていく方法を自分なりに考えていきます。

図2:加曽利貝塚のゆるキャラ かそりーぬ(千葉市HP:令和4年2月1日閲覧)

https://www.city.chiba.jp/kyoiku/shogaigakushu/bunkazai/kasorikaizuka/kasori-nuprofile.html

(2)千葉市動物公園

 千葉市動物公園は、千葉市若葉区源町に所在する約33.9haの面積を有する動物公園です。大人(高校生以上)700円、中学生以下は無料ということで気軽に立ち寄れる観光スポットになっています。

 平成17年頃には立ち姿で有名なレッサーパンダの風太君で話題となり、最近では、ライオン・チーター・ハイエナなどの新種を取り入れはじめて、GWなどは非常に盛況になっています。

 この千葉市動物公園に来園した方々をどうやって千葉市若葉区の別のスポットやお店に立ち寄ってもらうかが大きな課題であり、千葉市動物公園と先にあげた加曽利貝塚や周辺のレストラン・お店などをどう巻き込んでいくのかが大切だと考えます。千葉都市モノレールの1日乗車券と千葉市動物公園入園券のセット販売(1000円)という企画が期間限定(令和3年3月25日~5月9日)で行われていましたが、これを常時販売し、動物公園駅周辺にも経済効果を及ぼすべきです。

写真2:千葉市動物公園のペンギンと著者の息子(令和3年4月25日撮影)

(3)泉自然公園

 泉自然公園は、千葉市若葉区野呂町に所在する面積約43haの風致公園です。四季を通じてさまざまな自然の風景が楽しめ、多くの動植物とふれあうことができます。「日本のさくら名所百選」に選ばれ、また紅葉が美しいことでも知られ、春と秋には多くの人でにぎわいます。カタクリやヤマユリ、キツネノカミソリなどの植物や、カワセミなどの野鳥と、泉自然公園では、貴重な野草や野鳥に出会うことができます。

写真3:泉自然公園のお花見広場(令和3年3月28日撮影)

(4)富田さとにわ耕園

 富田さとにわ耕園は、千葉市若葉区富田町に所在しており、都市と農村の交流施設となっています。

 そもそも休耕地に花を植えたのがきっかけだったそうですが、春には、15万株もの芝桜・ネモフィラが咲き、秋にはコスモスが咲き、千葉市内の花の名所となっており、多くの観光客が訪問します。

 こうした自然あふれる屋外施設は長引くコロナ禍において、しっかりと知名度をあげていけば、多くの人々から支持を集めると思われます。

写真4:富田さとにわ耕園の芝桜(令和3年3月28日撮影)

2、活力ある人々や企業

(1)子どもの笑顔をつくる人々

 千葉市若葉区都賀で「ちばこども宅食プロジェクト」を立ち上げた増淵佳奈子氏にヒアリングをさせていただきました。

写真5:ちばこども宅食プロジェクト事務所前にて増淵さん(左)と著者(右)(令和3年8月19日撮影)

 ちばこども宅食プロジェクトとは、ひとり親家庭に食品を無償で2ヶ月に1度、お届けするプロジェクトです。利用条件は、千葉市若葉区在住のひとり親家庭で、①〜③のいずれかの条件をみたすこと(①児童扶養手当を受けている、②生活保護を受給している、③自治体福祉課から紹介を受けた)です。

図3:ちばこども宅食プロジェクトの仕組み(子ども宅食プロジェクトHP:令和4年2月1日閲覧)https://npo-bright.com/

 コロナ禍で、こども食堂などを自由に開くことが難しい今、宅食プロジェクトにより、お米、乾麺、レトルト食品、飲み物、調味料、お菓子などを届けるというのは非常に重要であると思います。もともと千葉には宅食を提供する場所がなかったため、千葉市若葉区が第1号の拠点となりました。惜しまず協力していきたいと思います。

(2)元気な高齢者を支える人々

 千葉市若葉区みつわ台には、NPO法人アワーズ美助っ人クラブ(http://bisukettoclub.blog.fc2.com/)の拠点があります。健康体操を行ったり、認知症を防ぐためのオレンジカフェを開催したりと若葉区の高齢者の方々が元気でいられるような活動をしています。

 毎週水曜日には、「あなたの人生に+」(若葉区地域活性化事業)として、100段以上の階段を上るようなウォーキングを実施しており、私自身も息子と参加させてもらっています。

写真6:美助っ人クラブの方々と階段ウォーキングの様子(令和3年10月20日撮影)

 超少子高齢化の中で、身体を動かすことで健康余命をできるだけのばし、地域の人々と触れ合いながら心も健康にすることが出来ると思います。こうした取り組みにより、住民の皆さんの暮らしが豊かになるとともに、医療行政のひっ迫を緩和することが出来ることにつながると思います。

(3)安全安心をつくる企業

図4:アルソナαの仕組み(アルソナ技研HP:令和4年2月1日閲覧)http://arsona.co.jp/

 千葉市若葉区若松町に安全安心を作っている株式会社アルソナ技研があります。飯髙友之代表取締役が工場を案内してくださいました。アルソナαという災害対応便器(特許取得済)は、普段は水洗便器として使うことが出来ます。大災害で上下水道が使えなくなった時、汲み取り式もしくは簡易水洗式の便器に簡単に切り替えることが出来るのです。こうした日常時と非常時のフェーズフリーを実現し、災害に強いまちづくりを実践していけるような企業とともに歩んでいきたいです。

 

写真7・8:アルソナ技研にて飯髙友之社長と著者(令和3年7月13日撮影)

(4)地域の居場所をつくる企業

 千葉市若葉区都賀の台に「都賀の台ショッパーズ」という商店街があり、昭和50年代には10店舗以上が軒を連ねており、地域住民の生活を支えていました。しかし、住民の約半数が65歳以上となり、シャッター通りになってしまいました。

 都賀の台の地域活性化を図るのは、都賀の台不動産の丸山いずみ社長です。丸山氏は、レンタルキッチンスペース「都賀の台カシス」をつくり、地域の人々が集まれる場を設けています。毎月第2日曜日には、「都賀の台マルシェ」を開催し、近隣で採れた野菜や手作り雑貨などが並び、普段は人気のないはずの商店街に100人以上の人が訪れます。

 毎月第3日曜日には、「マルちゃんcafe」を開催し、障がいがある方のバリスタ大会に出場した丸山氏の息子さんがおいしいコーヒーを入れてくれます。

 毎月第4金曜日には、1食300円の「おにぎり倶楽部」という地域食堂を実施して地域の人々の親睦を深めています。いつも、私自身、美味しいご飯を食べながら、いらっしゃった地域の方々に地域の実情や困り事などを聞かせていただいています。

写真9・10:おにぎり倶楽部の様子(令和3年11月23日撮影)

3、おわりに ~千葉市若葉区にて開業予定~

 千葉市若葉区の魅力を発信するとともに、千葉市若葉区の活力ある人々や企業とともに地域活動を続けていきたいと思います。

 令和4年4月には千葉市若葉区内に弁護士事務所を開業する予定です。法律事務所・弁護士と聞くと、敷居が高いと感じる方が多いと思います。この法律事務所は、地域の方々の法的な問題や困りごとを相談者・依頼者とともに解決していくだけでなく、地域の方々が気軽に立ち寄ることのできる居場所を作っていきたいと思います。また、まちづくりの拠点となるような地域密着型の法律事務所をつくっていけるよう精進いたします。

図5:目指すべき「すとう博文法律事務所」像(作成者:著者)

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須藤博文の論考

Thesis

Hirobumi Suto

須藤博文

第39期

須藤 博文

すとう・ひろぶみ

弁護士、千葉市議会議員(美浜区)/自民党

Mission

子どもと高齢者が共存できるマチ

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