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23時間34分33秒にも及んだ100km行軍は、“感謝協力のこと”を身体の芯にまで刻み付ける唯一無二の機会となった。今の気持ちをありのままに述べたいと思う。
「歩めども 先の見えない この道を 志一つ 灯(ともしび)としてゆく」
この句は、100km行軍にあたって詠んだ課題の歌である。100km行軍も人生も、気が遠くなるような長い道のりではあるが、志さえあれば着実に突き進むことができる、という想いを込めた。この行軍を終えた今、この歩みが自分独りではなく、大勢の方々の想いをのせたものであった、と実感している。この経験を踏まえ、改めて三つの感謝を申し上げたい。
一つ目は、同期への感謝である。
33期の100km行軍は、チームとしての勝利であった。塩根塾生が約39度の熱を出し、40キロ付近で意識をほぼ失いかけていた中、残りの3人は皆でゴールという目標に向かって、各人が貢献できることに知恵と体力を振り絞った。塩根塾生は、何とか意識を持ち直した後、足裏の豆が破れ激痛を伴いながらも、最後まで諦めずに完歩した。今年の行軍は、誰ひとり欠けず互いに支え合って歩み続けたからこそ、成し遂げることができた。塩根塾生の発熱は想定外であったが、この事態においても自然と協力しながら、一つのことを成し遂げあえた同期へ改めて感謝したい。
二つ目は、100km行軍でご支援頂いた方々への感謝である。
この行軍は、多くの方々に支えられたものであった。塾長及び塾頭は、この想定外の事態に継続可否の判断が難しかったはずであるが、最後まで注意深く見守って下さった。塾職員及び先輩は、各休憩地点における飲食の世話からマッサージまで手厚く支援して下さった。また、各休憩地点となった場所は、お店の方々に快く提供して頂いたものである。
更に、薬局の店員さんからは、疲労が少ない歩き方を実演付きで教えて頂き、スポーツショップの方には、100kmを歩くのにベストな服装を、約1時間に亘って一緒に選んで頂いた。いつも塾内を掃除して下さる方は、夜中に大雨が降り始めた際、私たちの無事を心配して下さったそうである。
以上のような多くのご支援・ご協力を頂いたお陰で、初めて完歩することができたと実感している。100km行軍の実施にあたり、人生の貴重な時間を費やして下さった方々に心からの感謝を申し上げたい。
三つ目は、平野仁先生と塾主に対する感謝である。
平野先生は、松下政経塾の研修心得“五誓”の内、“感謝協力のこと”を体得できる研修として、この100km行軍を考案された。かつて平野先生が塾主に対し、五誓のうち最も大切なのはどちらですかと聞いたところ、塾主は“感謝協力のこと”が最も大事、とおっしゃったそうである。
また、この行軍は塾生の真価を問う機会でもある。平野先生は、「リーダーとは、最大困難時にニコッと笑える人間だ。よって、80kmを過ぎたところで、道路沿いのガラスに映る自分の顔がどんな顔をしているかよく見なさい」と塾生を指導して下さった。
100km行軍は、日本のリーダーとして相応しい能力を塾生に体得させたいという、お二人の想いを受け継いできたものなのである。塾生は、自らと向き合い、仲間と向き合い、そして周囲の想いと向き合いながら、“感謝協力のこと”を体得する。この得難い経験を33年もの長きに亘って見守り続けて下さっている平野先生と塾主に対して、心からの感謝を申し上げたい。
この100km行軍は、多くのご支援・ご協力の下に初めて成り立つ行事であり、常日頃から周囲の方々に支えられていることを体感できた貴重な機会であった。100km行軍を終えた今の気持ちで、冒頭の歌を詠み直したい。
「歩めども 先の見えない この道を 志一つ 想いのせゆく」
“感謝協力のこと”を噛みしめながら、今後の研修に勤しむつもりである。
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Hiroki Okazaki
第33期
おかざき・ひろき
Mission
「ゆるやかな共生」にもとづく「隣近所の多文化共生」