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小説より奇なりの現実~実践活動報告

小説より奇なりの現実~実践活動報告

事実は小説より奇なりと言います。日本で一生暮らしていても、隣近所が外国人となるのも時間の問題、と言われても実感できない筈です。しかし、小説よりも奇なりの現実は、目前に迫っているかもしれません。
 
 
1.はじめに
 
 私は、日本人が国内のグローバル化に対応できる力を育む、教育方法を研究しています。何故なら、日本の将来は、隣近所の外国人の方と自分の住む地域で共に暮らしている、と考えるからです。従って、今年度は、実際に外国人の方の集住する団地に住みながら、今後の日本人に求められる力を考察しています。
 
2.実践活動の背景
 
 今の日本に目を向けて、このテーマを考えてみます。法務省は、『平成25年末現在における在留外国人数について』で、在留外国人数を約207万人と発表しています。その数は、鳥取県、島根県、高知県の人口合計とほぼ一緒であり、既に多くの外国人の方が日本に住んでいる、と感じます。
 最近では、建設業等の人手不足を解消するために、外国人労働者の受け入れを拡大する話もあります。2020年の東京オリンピックは一過性です。しかし、将来的な労働者不足も踏まえると、良い悪いは別として、日本で働く外国人の方は増える筈です。
 
 次に、約50年後の2060年に目を向けて考えてみます。その頃の日本は、国立社会保障・人口問題研究所の『日本の将来推計人口(平成24年1月推計)』によると、人口は約8700万人です。その内訳として、約500万人の外国人の方を見込む予測もあります。
 その数は、鳥取、島根、高知、徳島、福井、佐賀の6県の人口合計とほぼ一緒です。人口推計は、的中率が高いと言われます。つまり、2060年の日本は、今以上に多くの外国人が住む社会になっている筈です。
 
 さて、現在に戻って考えてみます。東京近郊では、新大久保に韓国人、西葛西にインド人、高田馬場にはミャンマー人も集住していると言います。
 また、静岡県の浜松市、愛知県の豊田市等は日系ブラジル人が集住し、横浜にはインドシナ難民が集住する地域もあります。外国人の方は、既に特定の地域に集住しているのです。
 一方で、2060年の外国人比率(人口比約5~6%)を踏まえると、外国人の方は特定の地域だけでなく、日本の様々な地域で暮らしている可能性もある筈です。
 ここで、私たち日本人が、隣近所の外国人の方と共に暮らしている状況を、想像してみて下さい。私たちは、彼らと上手に暮らせているのでしょうか。
 
 これらの観点から、私たちが彼らと上手に暮らすために必要な力(“共生力”と名付けます)を考察したい、と考えました。そこで、実際に、世帯の約3割、実に2000~3000人が外国人と言われる埼玉県川口市にある芝園団地に住むことにしました。現在は、芝園団地自治会の役員として自治会活動に携わりながら、共生力を考察しています。
 良い悪いは別として在留外国人数は、増加していく筈です。従って、日本人は彼らと上手に暮らしていく力を、予め育んでおく方が望ましいでしょう。備えあれば憂いなしなのです。
 
3.今後の活動
 
 今後は、自治会の防災副部長として、防災を軸に日本人と外国人の関係作りに取り組むつもりです。その実践から、日本人に求められる共生力の仮説を構築したいと思います。また、2015年4月からは、この共生力を育む教育を欧州で研究するつもりです。
 着眼大局、着手小局。日本の将来を見据えながら、身近な場所から一歩ずつの心構えで、自分の出来ることに取り組みたいと思います。

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岡﨑広樹の活動報告

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Hiroki Okazaki

岡﨑広樹

第33期

岡﨑 広樹

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