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実践活動地の芝園団地では、人口の約半分が既に外国人住民です。その芝園団地において近隣の大学生たちが、外国人住民との交流などを通じた芝園地域の活性化を目的として、『芝園かけはしプロジェクト』を立ち上げました。私は、大学生と地域住民との協働が進むように支援しています。
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芝園団地に住み始めて約一年が経ちました。居住空間における外国人住民との共生は、きれいごとばかりではありません。やはり、習慣・文化の違いを痛感することもあり、地域住民の方々だけで、居住空間の共生に向き合うことの難しさを実感しています。
また、芝園団地は高齢化率約4割、外国人住民が人口の約半分である将来の日本の縮図です。主に高齢者の日本人住民と、働き盛りの若い外国人住民との間には、習慣・文化・言葉の違いに加えて、世代間のギャップに伴うコミュニケーションの難しさも存在しているのではないでしょうか。
従って、芝園団地では、双方の立場を理解しながら、地域住民同士の間をつなぐことのできる誰かを必要としていると考えられます。
このような状況下、芝園団地近郊の大学生たちが、地域住民との協働プロジェクト『芝園かけはしプロジェクト』を立ち上げました。当プロジェクトは、国籍を問わず誰もが住みやすい芝園団地にするための活動を通じた、芝園地域の活性化を目的にしています。
当初2名から始まった当プロジェクトは、現在9名で活動しています。大学生たちは、芝園団地自治会、芝園団地商店会、UR都市機構、川口市役所、レクリエーション協会向けの活動方針の発表を終えて、今後の具体的な活動計画を立てているところです。
私は、各組織と大学生の間をつないだり、大学生たちと会議をしたりと、当プロジェクトのサポート役に徹する日々です。
外国人住民との共生では、習慣・文化・言葉の違いによる課題に目を向けがちです。一方で、世代間のギャップによりコミュニケーションが難しくなり、お互いに理解できない部分もあると実感しています。
芝園かけはしプロジェクトは、大学生たちが双方の“かけはし”になることで、この世代間のギャップを埋められる筈です。この点において、芝園かけはしプロジェクトの意義が際立っていると思います。
今後の日本は、高齢化した日本人の住む町に、若い外国人が住み始める町も増えてくる筈です。その将来を先取りした芝園団地における当プロジェクトは、日本の将来を占う試金石になるのではないでしょうか。大学生たちが、確固たる覚悟と内臓がえぐれるほどの情熱をもって、芝園団地のより良い未来を築いていけるように、陰ながら支援していくつもりです。
最後に、芝園団地に関連する二つの新聞記事の見出しを比べてみます。2011年2月20日付けの埼玉新聞では、『高齢化、国際化で課題山積』です。芝園団地における初めて住民集会において、高齢化や国際化に伴う課題に対する、UR都市機構への要望が行われました。
一方で、2015年2月20日付けの埼玉新聞では、『壁に日中友好の花が咲く』です。日中双方の住民の方々が、花の絵付けをした陶板で、芝園団地の壁にパブリックアートを創り上げるイベントの記事でした。
芝園団地では、外国人住民の増加に伴い、様々な問題が起きたのも事実です。その間、住民の方々はひたむきな努力を重ねながら、外国人住民との共生の形を模索してきました。当然、全ての課題を解決できていない状況であり、それは到底難しい事かもしれません。
一方で、少子高齢化・グローバル化などの大きな社会の流れの中で、隣近所が外国人住民になる時代も間近です。これら二つの新聞記事は、外国人住民との共生に向けた地道な努力が、確実に実を結ぶことを示しているのではないでしょうか。
日本の将来の試金石である『芝園かけはしプロジェクト』。大学生が、地域住民と共に芝園団地の未来を創ろうと奮闘する姿を、心の底から嬉しく思いながら実践活動に勤しむ毎日です。
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Hiroki Okazaki
第33期
おかざき・ひろき
Mission
「ゆるやかな共生」にもとづく「隣近所の多文化共生」