松下政経塾 The Matsushita Institute of
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2000年2月

塾生レポート

あびこ、将来の北海道の姿をどう描くか…の巻(後編)
我孫子洋昌/卒塾生

 
<前号からの続き>

 今月の報告では、「これまでに達成できたことと、卒塾後の活動へ向けた課題」について書くことにしたい。活動の詳細については、これまでの月例報告にあるので、そちらを読んでいただきたいが、今回は3年間の総括ということで書き進めたい。

5."ある程度"達成できたこと/クラスター事業部での研修を通して

 フェローになってからの研修の詳細については、これまでの月例報告にあるので、そちらを参照してほしいが、「今、まさに動き始めている」HOKTACクラスター事業部という活動拠点を紹介されたことは、自分にとって大きな転換点となった。先述したとおり、具体的な取り組みに自らの身を置き、そこでの体験を積むということ、さらに道内での様々な動きとそこに携わる人々を知り、彼らとの関係を築き始めていくという、いわば「第一段階」をスタートすることができた。
 フィンランドやドイツ、スウェーデン、カナダなどの、地域における産学連携の取り組み、起業化支援、産業界と大学の関係、地域が主体的に行う産業振興へ向けた活動など、北海道が課題として取り組んでいる活動と比較することもできたが、何よりもそこに携わる人々と実際に意見交換をして、お互いがそれぞれの地域で頑張っていこうという共通認識を持つことができたと考えている。何より、「あの地域には、こういう人がいて…」というふうに具体名で把握できるようになっているのが大きい。
 フェローの2年間を通して達成できたことは、自分の中では完全形ではないにせよ、北海道で活動を進めるにあたってのWho/Where/Howを定めることができたということだろう。つまり、whoは、クラスター事業部とその活動に関わる人々、道内各地で活動する人々、whereとhowは、産業クラスター創造活動ということになる。

6.卒塾後の活動へ向けた課題

 今後、研修を通して知り合うことができた人々との関係も、これからは実際に仕事を通した関係になったり、違ったものになるかもしれない。しかし、「北海道の将来のため」にという意識は共通のものがある。とことん付き合って意見を交わしながら、また一緒に汗をかくことで自分を認めてもらい、よりよい関係を構築していきたいと考えている。
 先に触れた、5W1Hの一部(誰が、どこで、どのように)に加えて、これからの活動で問われるのは、What/when/why(何を、いつ、どんな目的で)ということになるだろう。道内での活動を続けていく上で、ついつい日常の仕事に追われることになると思われるが、常に「何のために自分がこの活動をしているのか」ということに立ち返って、自分を見失うことなく活動を継続していきたい。もちろん、Whatは、産業クラスター創造活動になるのだが、これも常に「北海道経済の自立」というwhy(目的)を常に見失うことなく、when、つまり時間的な条件も意識して、その活動自体が目的となることなく、常に意識しながら取り組んでいきたいと考えている。

7.そこで、あびこは将来の北海道の姿をどう描くのか

 「いかに依存せず、いかに力を合わせるのか。」

 これまでの研修活動で出会った人々に、魅力を感じたのは、彼らがそれぞれの目標、目的に向かって努力し、汗をかいているからである。これまでの活動を通して得ることのできた「将来の北海道の姿」を描くためのカギは、まさに彼らの姿に見出すことができたのである。すなわち、これまでの北海道の体質として言われてきた「依存」からの脱却と、同じ目的に向かう者同士の協働(コラボレーション)が、「北海道の自立」をもたらすという結論に至る。
 「限られた資源(人材、その他の資源)を生かし、皆が協力すること」が北海道の自立を描く上でのキーワードになるのは、誰も否定しないだろう。とはいえ、これまで言われつづけてきたこのキーワードがなかなか実行されてこなかったのはなぜだろうか。簡単に言うと、「北海道の自立のためには、こうすべきだ」といわれていることを実行する際、障害となる要因は、既存の仕組みやこれまでの慣わしといったものである。とはいえ、これまでのように、中央が描いていた計画に頼っていたら、いつまでも苫東は空き地のままだろう。大蔵省の金融行政に頼っていたら、拓銀は破綻してしまった。拓銀の破綻を待っていたかのように、残りの都市銀行は合併、連携を繰り返して経営体制を強化しているこの頃だ。

 今後の産業クラスター創造活動を考えた場合、既存の(依存体質を持った)グループの動きとどう対処していくのかは課題になるだろうが、これまでの体制で現在の北海道の状況になっていることは、誰もが否定できない現実でもある。いかに、北海道の人々がこの現実に立脚した改革への姿勢を持てるのか、再びフロンティアスピリットを持てるかが、「北海道をよいところにする」ために必要だと思われる。
 政経塾での研修を通して、北海道の自立へ向けた手がかりを得た。あとは、自分の活動を通して、この信念を貫くこと、そして多くの人々の協力を得ることで、将来の北海道の姿をよりよいものにしていくことにつながっていくものと考えている。

2000年2月 執筆
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