松下政経塾 The Matsushita Institute of
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1999年9月

塾生レポート

あびこ、長靴・ヘルメットに身を包む日々?…の巻(しもかわ通信②)
我孫子洋昌/卒塾生

 
1.「さ~くる森人類(しんじんるい)」に参加する

 下川に来る時には、いろいろと体を使ってシェイプアップだ!とたくらんでいたのだが、いざ町内を見渡すと、朝野球だのソフトボールといった類はシーズンも大詰め。テニスラケットも持参したものの、結局使わずじまい…。
 クラスター研究会や、森林林業体験ツアー(後述)の準備やらで、頭脳の方は忙しくしているが、どうも体がなまっていた。

 そこへ、森林組合の細田さんからの一声「今度の日曜日、空けておいてね」。
 「さ~くる森人類」というボランティアグループの活動があるのだという。どのような活動をするかは、当日のお楽しみだとのこと。とりあえず、屋外で活動できる準備だけをするように言われていた。メンバーは、UターンやIターンの人など、いろいろな人がいるとのことで、これも来てみてのお楽しみとのことだった。

『さ~くる森人類』とは…、
 1997年の秋から活動を行っているサークルで、「森林のまち・しもかわ」の森林を良い状態で、未来の世代に引き継ぐために、どのように守り・育て・生かし・つないでいかなくてはならないのか。また、森林を基にした経済や社会の持続可能な発展のためには何をするべきか…を活動を通じて考えるサークルである。メンバー構成は、森林組合のスタッフが多いが、活動時にはその家族や友人も加わっている。
 今年度からは、実際に現場で森づくりをしようということで、町有林「体験の森」で、トドマツの枝打ちや除伐などの保全整備活動を展開している。月に2回の活動だが、将来的には、このサークル活動の枠を広げて、「森林NPO」として自立した役割を地域の中で果たしたいと構想中。

 (さ~くる森人類活動通信「一森同体」より抜粋)

 あいにく、当日は雨だったのだが、日曜参観を終えたメンバーが続々と結集し、今後の活動についての話し合いを持った。森林での作業ということで保険をどうするのかといったことや、メンバーで揃いのピンク色のヘルメットが配られた。それぞれ区別するための名前に加え、重傷時に備え血液型もヘルメットに貼りつけ、少し気持ちが締まった。いくらサークル活動で家族も一緒とはいえ、危険は隣り合わせなのだと実感した。

 下川で、森林ボランティア活動。しかも、森林組合に勤務する人が休みの日にも山に入る。本当に森林が好きなんだなぁと改めて感じた。たしかに、「森林のまち」といっても、仕事で山に入ることがない人や、生活のなかに森林との接点が無ければ(何気なく眺めているだけでも良いのだが)、どこに暮らしていても同じなのかもしれない。せっかく下川に来たのだから、もっと積極的に森と関わっていこう。実際山に関しては素人だし、森林組合の造林作業に行っては足を引っ張るかもしれないから、まずはサークル活動から、森林に慣れていこうと思う。

2.「フォレスト・コミュニケーション・イン・しもかわ」のこと

 お手元にあれば、『Uターン・Iターンビーイング』秋号(リクルート刊)を見てほしい。パラパラとめくると、19ページのイベント紹介欄の中に、「北海道下川町で森林林業体験ツアー」というのがある。ホームページでもPRしたのだが、いかんせん最近では、先述の雑誌などに各地の同様の『体験もの』の紹介があるように、各地でこの手のイベントが実施されている。

 下川の、「フォレスト・コミュニケーション・イン・しもかわ」は、今年で4回目。9月下旬から10月上旬にかけて、2泊3日の日程で主に首都圏の都市生活者を対象にして、森林・林業体験と地域の人との交流を実施している。3回の開催で参加者は約80名ほどだ。

 そこで、今回のツアーを手伝うことになった。実際に準備作業で手掛けたのは、参加者に手渡す小冊子の編集作業だったり、参加者への連絡などの事務作業だった。前年度のビデオを見たり、小冊子を参考にしながら、大体のツアーのイメージを掴んだ。実行委員会は、役場のスタッフや商工会のメンバー、森林組合の職員という構成だ。そこにあびこが加わりいろいろと手伝った。
 参加者の中には、繰り返し参加する人もいたり、そのまま移住してしまうという人がいたりと、なかなか好評なツアーのようだ。参加者の募集範囲も、よく田舎でありがちな「担い手募集」「花嫁募集」という匂いを感じさせない、あくまでも参加者に、秋の下川の森林を体験してもらい、ちょっとした作業を体験してもらうというのが基本線だ。そこに、地域の人々との交流ジンギスカンパーティーや、下川へ移住した人たちとの意見交換会があるといったくらいで、悲壮感もドロドロしたものも感じられない。
 今回のツアーも、おなじみの参加者がいるかと思えば、夫婦で参加する人もいる。20代の参加者の中には、実際に下川で林業に就きたいという希望を持って参加する人もいる。

 「さ~くる森人類」のメンバーにも、この体験ツアーで下川に来て、そのまま移住したというメンバーが何人かいる。そういう意味では、この手のツアーが単発のイベントではないということがわかる。そうはいっても、メディアに載った途端に、価格や目新しさというところで後発の企画(それも、もう少しひねれば良いものを、タイトルも実に似通っているものが多くて、募集広告をみて、準備委員会で苦笑することもあったほどだ)。    「この体験ツアーで実際に移住した人がいる」ということも付け加えて情報提供すると、ぜひ視察したいとか話を聞きたいという他の自治体や業界団体の要望がある。オブザーバーとして参加したいという声があり、『それじゃ、ただのいいとこ取りだよなぁ』なんて感もした。ま、視察の類はそういうのが多いのだろう。といいつつも、もう少しひねった形でそれぞれのやり方に落とし込もうという工夫がないなぁとも思っている。

3.長靴とヘルメット

 サークル活動に加えてもらい、体験ツアーの地元スタッフとして活動しながら、少しずつ下川のことを学んでいる日々なのだが、まだまだこれからいろんな事件が起こることだろう。
 下川に来て、長靴も購入した。10月にはサークル活動や体験ツアーの手伝いで、実際に森林に入ることになる。ピンクのヘルメット(さーくる森人類)を身に付けて、長靴で木々の中をノコギリ片手にあびこが右往左往しながらあれこれ考えたことを、次号で報告する。

1999年9月 執筆
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