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1999年8月

塾生レポート

あびこ、下川町へ移住?…の巻(しもかわ通信①)
我孫子洋昌/卒塾生

 
1. はじめに

 先月(99年7月分)月の月例報告で報告したとおり、「あびこ、現場へ行くぞ!」と9月のはじめに下川町へとりあえずの生活道具とともに引っ越すことになった。クラスター事業部の出張で8月には二度下川を訪れて、少しずつ「心の準備」をしていった。9月にいよいよ引っ越し、下川での生活を始めた。今回の月例報告では、あびこがしばらく住むことになった下川町について報告することにする。

2.「しもかわ」はどんなところ?

 下川町(しもかわちょう)についての説明をしよう。
 いきなり、下川町と聞いて、どれだけ多くの人がすぐにパッと「ああ、あそこね」と思い浮かぶだろうか?
 道北(北海道北部)に位置し、名寄(なよろ)市の西隣にある下川町は、1900年(明治34年)から開拓の歴史を重ね、いよいよ2000年に開基100年を迎えるという町だ。
 「下川」という地名は当時からあったのではなく、道内の他地域同様、地名の由来は、アイヌ語による。下川市街の北西部で名寄川に合流しているパンケ川沿岸一帯をアイヌ語で「パンケヌカナン」と呼んでいたことから、それを意訳して付けられた。パンケは「下」、ヌカナンは「沢」あるいは「川」の意味でこれらを組み合わせて「下川」となった。それほど高くはないが山に囲まれているため、雪が解けたらあっという間に暑い夏を迎え、秋になったと思えばすぐに冬を迎える。冬の寒さは厳しく、マイナス30度くらいまでしばれることも珍しくない。
 …とはいうものの、ある人にとってはものすごく知名度の高い町で、昨年も報告したとおり、日本で初めて「エミュー」の飼育に取り組んだ今井さんが住んでいたり、「はた万次郎」という漫画家が下川での暮らしぶりなどを雑誌に連載していたり、それこそオリンピックで活躍したスキージャンプの選手の出身地として有名…という一面がある。そうはいっても日本には、エミューや走鳥類の飼育に興味が無い人の方が圧倒的に多いし、あれだけ一時的にマスコミをにぎわせたオリンピックの選手のことも普段はそれほどメディアに載ることはないので、下川のことを知る人は、あまり多くないだろう。道内でもさほど知名度の高い方ではない。
 しかし、昨年以降、各地で産業クラスター研究会組織が立ち上がり、活動している中で、下川の研究会は、規模は小さいが地道に活動を続けている。立ち上がったものの、活動状況のなかなか見えない研究会もある中、下川の活動状況はクラスター事業部では話題になっている。

3.あびこ、下川で暮らしはじめる。

 名寄から東へ20分。約20キロほど進むと下川の町になる。日曜日の夕方に着いたので、商店街の半分くらいが閉まっていた。
 人口は約4,500人。町の面積の90%が山林。残りは酪農地帯と農地。住宅地はあまりない。あびこが高校生の頃までは、名寄からオホーツク海に抜ける名寄本線に乗って来れたのだ(実際、札幌から直通の急行に乗った記憶がある)が、国鉄再建・その後の分割民営化の流れの中で廃止・代行バスへの転換となった。そのバスも、通学の時間帯を除くと、1時間に1本あるかないか…という程度だ。
 名寄からオホーツク海へ抜ける国道239号線沿いに、あびこの住む家がある。夜8時を過ぎると商店街は全てシャッターが下り、人通りが少なくなる。といっても普段もあまり人通りのある商店街ではないのだが、それでもコンビニができて少しは便利になった。もちろん既存の商店には脅威になっている。さらに名寄に大型ショッピングセンターが開店すると一体どうなるのだろうかということが、下川では話題になっている。

 とりあえず11月末までということだが、森林組合に机を借りて下川のクラスター研究会の手伝いや、その他様々な面を体験して吸収したいと考えている。「11月までの3ヶ月間下川で研修することになりました」と話すと、圧倒的多数の答えは、「せっかく来たんだから、下川の冬も経験しなきゃだめだ」とのこと。この先、どうなるか未知の部分が多いが、体当たりで取り組んでいきたい。

   今までの生活パターンから見れば、不便といえば不便なのかもしれないが、視野が広がり、北海道にはいろんな暮らし方があるということを学ぶ上では、いい環境に身を置いたといえる。下川にも様々な側面があるので、一概にどうのこうのは言えないし、、じっくりと理解を深めていきたい。ちょっとぼやぼやしていると唯一のコンビニエンスストアが11時で閉店…とひとり暮らしには厳しい環境であることは間違いないが、下川での生活を通して、自らを見つめなおしていきたいと考えている。来月からは下川での出来事、考えたことなどについて書きつづっていきたい。

 北海道の秋はあっという間に過ぎ去るが、しっかりと暮らしたい。

1999年8月 執筆
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