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1998年8月

塾生レポート

あびこ、『北の起業家ファーム』開講準備に大忙しの巻
我孫子洋昌/卒塾生

 
 あびこがHOKTACクラスター事業部にやって来てから、早いもので5ヶ月が経過した。「なんで1日24時間しかないんだろう」と思うほど忙しいのだが(仕事の要領が悪くて、他の人よりも仕事に時間がかかっているだけなのかもしれないが)、そうこうしながらも、職場の皆さんに支えられ、助けられて仕事をこなしてきた(つもりだ)。
 クラスター事業部が手掛ける様々な事業の中で、あびこも加わっている事業の一つに、「起業家育成支援事業」がある。今回の月例報告では、この事業の準備に携わってきたあびこが、行政に対して感じていることを紹介することにしたい。タイトルに「大忙し」と書いたが、忙しくなると、人間イライラが募るものだということを実感した8月でもあった。
 ということで、今月の報告は、正確に言うと、「あびこ、あまりにも忙しくて行政への怒り爆発か!?」というタイトルの方が適切なのかもしれない。

*この月例報告をホームページから読むことができる環境にある人は、参考に以下のホームページを読んで下さい。

○「北の起業家ファームについて」
http://www.snowman.ne.jp/cluster/bosyu1/index.htm

○「北の起業家ファーム募集要項」
http://www.snowman.ne.jp/cluster/bosyu1/kigyouka.htm

○「北の起業家ファームカリキュラム」
http://www.snowman.ne.jp/cluster/bosyu1/nittei.htm

 これらのホームページの作成も、開講準備に携わってきた方々や、クラスター事業部のメンバーからの助言があって、ようやく人前に出せるものになった。まだまだあびこひとりでは何もできないのだということを、一連の準備段階で実感した。
 30名を超える、参加希望者からの問い合わせには、きちんと答えた(つもりだ)。クラスター事業部には、数名の担当者がいるのだが、メインの担当者はあびこということに(いつの間にか)なり、電話がかかってきて「担当の者に替わります」となると、「ハイ、あびちゃん」と言うことであびこの前の電話に転送されてくる。
 あびこが執筆を担当した、「HOKTACクラスター通信8月号」から紹介記事をほんの一部だけ、抜粋することにする。これを読むと、どういう事業かは何となくわかってもらえるような感じがするのだが・・。

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「北の起業家ファーム」開講迫る!

 「北の起業家ファーム」については、新聞報道等(注:道内で購読されている日刊紙では、朝日新聞以外で取り上げてもらった)で、既にご存知の方も多いかと思いますが、新しいタイプの起業家育成支援事業として、産業クラスター創造の一翼を担う道内での新規起業家を育む"牧場"です。
 将来的にクラスタープロジェクト開発事業につながっていくような事業者の創出を考え、ここから生まれる新しい担い手となる起業家が道内でクラスターの芽を出せるように手助けする事業です。その意味でも、既存の起業家研修とは異なる、「産業クラスター創造」を念頭に置いた起業家研修なのです。

1.事業の概要
 「ビジネスにしたいアイデアはあるのだけど、起業化にはもう一歩」という方を対象に、そのアイデアを事業化につなげるためのビジネスプラン作成を通して、新規事業化のための教育をします。
 応募する方々が抱いている、起業化に向けたアイデアや計画(応募書類)を提出していただきます。提出された書類を審査の上、選抜された方々を対象に行う事業です。

2.「北の起業家ファーム」の特徴
 この「北の起業家ファーム」の特徴としては、次の4点があげられます。

(1)事前審査を行い、参加者、および対象事業を絞り込みます。
(2)実践的なカリキュラム構成です。
(3)優良なプランを、事業修了後のフォローアップにつなぐことを考えています。
(4)長期、短期の2コースを設定して、広く参加者を募集します。

 「北の起業家ファーム」から巣立った事業者たちが、将来、道内各地で産業クラスター創造を担うようになることを期待しています。詳細につきましては、ぜひ当事業部「北の起業家ファーム」係までお問い合わせください。
(細かい内容は、上記のホームページに記載されているので、そちらもお読み下さい)

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 募集開始ということを、経済記者クラブを通じてプレスリリースした後で、道庁でも起業家支援関係のセクションに説明に出掛けた。
 すると、「他にも"起業家育成塾"の類はいくらでもあるのに、なんでクラスターさんまで手掛けるのさ?」という話になった。こういう議論は、この起業家事業を計画している段階からあり、いまだにある。たぶん、これからもクラスター事業部の業務すべてにおいて、浮かび上がる話だろう。

 だいたい、「産業クラスター創造事業」のように、民間主導で北海道地域の産業振興を図ろうというのが、今までそういうことを担ってきた(ということになっている)道庁や、中央官庁(北海道開発庁や、北海道通産局/通産省)から見ると、「どうも好かん」のらしい。さらには、北大のキャンパスに研究交流を促進する産学官融合センター(仮称)の建設をめぐっても、北大当局および文部省への説明などで、仕事量が増大する一方である。

 毎週のように、「クラスター事業について、何か資料を見たいので送って下さい」と、役所や官庁の各方面から入れ替わり立ち代わり要求がくる。この夏は、珍しいところに視察に行きたいのか、それとも避暑へ北海道(すすきの)に来たかっただけなのか知らないが、本州からの県議の視察だとか、官僚へのヒアリング(OBや、新人キャリアなどへの説明)など、本来業務以外の仕事が多かったように思う。

 ひどいのになると、「道議の先生が疑問に感じていることがあるから説明して欲しい」と道庁職員から連絡があり、理事がそれまでの予定をキャンセルしてまで説明すると、道議は「クラスター事業を応援しているよ」と言う始末。結局はその職員自身が、クラスター事業に対して、いつまでも不審に感じていたとのこと。道庁の広報誌でも、「道は産業クラスター創造事業を支援しています」などと大きく書いているが、「庁内の誰が支援しているのかね」と感じてしまう。「同業他社は認めない」というスタンスだから、今まで競争が無くて、こんなに北海道が落ち込んだんじゃないのかな。道庁や開発庁がしっかりと仕事をしていれば、こんなにクラスター事業部が一生懸命働いてまで、文句を言われる筋合いはないのに。彼らは、自分の仕事をするというよりも、他に似たようなことをしているのがいたら叩くというか足を引っ張っているだけじゃないんだろうかと思うことさえある。それでいて、なんだかわからない案件があるとクラスター事業部にまわしてくる。なんだいそりゃっていう気持ちにもなるが、そこは、みんな冷静にあしらっている。さすがだと思う。

 さてさて、「北の起業家ファーム」の説明に行きました。夏真っ盛りの日でした。場所は道庁産業振興課。道庁の起業家支援事業への応募案件はどんな感じのものですかというこちらからの問いに、「(大っぴらには言えないが)あんまりレベルは高くないね」とのたまった。思わず、「じゃあ、道庁の事業はもう止めればいいんじゃないの?」と聞き返したくなるほどのコメントに、言葉を失う。
 同席していたHOKTACの方が、滞りなく対応するのを見て、感心した。後で聞くと、その担当者は、民間企業から道庁へ転職したという経歴の持ち主ではないか。あびこが人を非難する資格が無いのは重々承知でも、「会社員から公務員になるくらいの人が、自分で会社をやりたいという自立した考えを持っている人の考えを、あっさり"レベルが低い"なんて言っちゃいかんよ」という怒りが爆発した。

 他にも、北海道通産局から説明資料が送られているはずの部署に属する人(霞が関の人)からも、「資料が欲しい」という連絡が入る。思わず「あなたの機関には資料が行っているはずだし、何度も説明して欲しいと言う人が来ているのに、横の連絡はないのかい?」と言いたくなったが、周囲から「それを言ってはいけない」との制止がかかった。どうも、最近では、クラスター事業部内では、「あびちゃんは、役所に対して厳しい」という評価が固まりつつあるみたいだ。

 一貫した道庁、通産局、そして北大当局からの「ひどい」注文の数々。何か新しいことをしようとすると、すぐにチェックが入る。いったい、彼らはどちらを見て仕事をしているのかわからないと感じてしまうことさえある。

 あびこの27歳の夏はこうして明け暮れてしまい、生まれて初めて「夏休みの無い」8月を過ごしてしまったが、北の起業家ファームの参加者が、将来、どんなふうに北海道経済を支えるのかという、期待も膨らみつつある夏でもあった。


怒りついでに、あびこのひとりごと(たわごと)

 さて、最近長銀に公的資金を投入するとかさせないとかいう議論を耳にする。しかし、たくぎんが破綻して、道内経済が大打撃を受けたというのに、「拓銀破綻に学ばせてもらった」(経済企画庁長官)というコメントは、「銀行破綻のテストは、北海道で済んで良かった」と受け取ることができる。で、その試験場となった北海道は苦しんでいる。暴言とわかっていて言わせてもらうのなら、「だったら、本州の大手都市銀行も2,3行試しにつぶしてみたら、国会の論戦ももっと真剣味が出てくるんだろうなぁ」と言いたい

 日本という国は、沖縄が米軍基地の苦しみを訴えても、北海道がたくぎん不況にあえいでも、首都圏が痛みを感じなければ動かない国なのだろう。
 東京に出て、「北海道から来ました」と自己紹介すると、そこそこニュースでかじっているせいか、「大変なんですってね」という挨拶はするが、それ以上の情報が無いし、実感できてないのか、それ以上話が続かない。

 ・ ・・東京にいる人々の目を覚ますには、どれくらいのショックが必要なのだろう?

1998年8月 執筆
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