松下政経塾 The Matsushita Institute of
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2017年3月

塾生レポート

研究会レポート『出生率2.81の秘密~鹿児島県徳之島訪問を通して~』
松本彩/卒塾生     岡田吉弘/卒塾生     大久拡/卒塾生     土屋正順/卒塾生     都築藤子/卒塾生

私たち社会保障研究会は、人々の幸せのための社会保障制度を探求するべく発足した。2016年度は、私たちは子育てしやすい環境とは何かということを求めて、伊仙町の調査を行い、伊仙町と都市部の子育て環境を比較することで考察を行った。

 

目次
はじめに
第一章 多様性を受け入れる社会を目指して
第二章 伊仙町の子育て
第三章 都市部の子育て
おわりに

はじめに

 平成27年国勢調査で総人口に占める65歳以上の割合が過去最高の26.7%に達する一方[1]、同年の合計特殊出生率は1.46となり[2]、日本では人口減少と合わせて少子高齢化が進んでいる。税収の減少が見込まれるにも関わらず、年金、医療、介護分野における社会保障費は膨張し続けており、国家財政の再建は待ったなしの状態である。そのため、財政支出の減少を目的とした社会保障制度の改正議論が国会を中心に激化している。
 しかし、私たちは、「人間が幸せに生きるとはどういうことか」という根本的な問いに向き合い、その上で人々の幸せのための社会保障制度を探求するべく、社会保障研究会を発足した。国のあり方や社会保障制度を考える際に常になくてはならないのは、国民の幸福に資するかという視点である。人間の幸せとは何か。人間にとっての幸せは千差万別、万差億別である。社会保障研究会は、すべての人がより良い社会生活を営むために地域コミュニティのあり方やそれを支える仕組みや制度について研究を行っている。
 「保育園落ちた日本死ね」との匿名の母親によるインターネット上での発言が世間の注目を集めた。私たちは「子どもを持つとはどういうことか」の問いから考え始め、子育てしやすい環境を実現する施策を明らかにすることを試みた。私たちが特に気になったのは、2015年の夫婦の平均理想子ども数2.32に対して合計特殊出生率1.46[3]と、子ども約1人分の差異が理想と現実の間に存在する点である。先述の少子化による人口減少や都市部での子育て環境への不満といった社会課題を解決する必要性を感じつつも、何より子どもを産み育てたい数だけ持つことができれば人間はより幸せに生きられる、との思いから私たちは研究を行った。合計特殊出生率が日本一高い鹿児島県大島郡伊仙町の視察に加え、子育て中の方々とのヒアリングから得た学びを研究成果を本レポートに記す。子育てしやすい環境、ひいては社会のあり方を考える一助になれば幸いである。

第一章 多様性を受け入れる社会を目指して

 私たちが強調したいことは少子高齢化対策のため子どもを増やそうという観点に立っての研究ではないということである。しかし、経済発展のため少子化対策として出生率を上げることの価値観を支持する考え方の持ち主を個別的に批判することでもない。先の項目で述べた通り、人間の幸せは人それぞれ千差万別、万差億別である。仮に、個人が自発的に国のために子どもをつくることを望むのであれば、それはそれで否定されることではない。しかし、すべての国民は等しく国のために子どもをつくらなければならない、と国家が国民に奨励することだけは強く否定したい。幸せのかたちはひとつではない。生きていく環境も事情も考え方も多様であるし、多様であるべきだ。多様な人々が、相互に理解し合い、助け合う社会こそ私たち松下政経塾社会保障研究会が理想とする国家像である。
 本レポートのタイトルを「出生率2.81の秘密」とさせていただいたが、私たちの研究の目的は、あくまでも「安心して子どもを育てることができる社会の探求」である。決して子どもを産むことを奨励することや出生率を高める方策を提示することは目的ではない。ましてや国のために、人口減少に歯止めをかけるために子どもをつくるべきであるという主張を展開する意図もない。私たちは、子育てしやすい環境を追求することは、子どもがいる人とってのみに好ましい環境ではなく、すべての人にとって一定の利益を生み出すことにつながるのではないかと考えた。子育てしやすい環境は、同時にさまざまな人のより好い生活に寄与し、同時に多様な価値観を包含すると考えたのである。すなわち、腰が曲がった高齢者が街中を移動するとき、目が見えない人が電車に乗るとき、また、スーツケースを引っ張って出張をするビジネスマンにとっても、子育てしやすい環境から心身ともに何かしらの利益を得るのである。もちろん例外がないとは言い切れないまでも、子どもを育てやすい環境を真剣に考えることは、誰かの幸せのかたちの後押しになるはずだ、という点こそ、私たちの信じるところである。日本一の合計特殊出生率を誇る伊仙町は、同時に長寿の町でもある。老若男女問わず生きやすい社会の一端を示していると言える。私たちは子育てしやすい環境とは何かということを求めて、伊仙町の調査を行い、伊仙町と都市部の子育て環境を比較することで考察を行った。

第二章 伊仙町の子育て

 伊仙町は、鹿児島県南西諸島の徳之島にある人口約6000人の町である。主たる産業は農業であり、さとうきびやばれいしょなどが有名であり、町民全体をあげて盛り上がる闘牛大会は、島外からの観覧者も多い。

2-1 高い合計特殊出生率は、必ずしも政策の成果によるものではない
 鹿児島県の伊仙町の平成 20 年~24 年の合計特殊出生率(ベイズ推定値)は2.81であり、日本一の高い町として注目を集めている。行政の取り組みは、出産祝い金をはじめ取り組み事例があげられるが、これらの政策的な取り組みは、高い合計特殊出生率を後押ししていないとは言い切ることができないまでも、どちらかというと付属的なものである。
 合計特殊出生率が高いのは、行政としての取り組みを始める前からであり、もともと伊仙町は、子だくさんの町として知られていたからである。大久保明・伊仙町長も「もともとこの町の親は子どもをたくさん産む。4人5人は当たり前なのです」とおっしゃり、さらに、「伊仙町が子だくさんである理由を私たちも研究中です」とおっしゃった。

2-2 高い合計特殊出生率の秘密は「人のつながり」
 では、政策的な取り組みではなく、子だくさんの秘密は何であろうか。ここに興味深いアンケート結果を示す。このアンケート結果で、もっとも回答数が多かったのは、「親や兄弟、友人、近所の人など子育てを支援する人がいる」(48.5%)であった。続いて、「子どもが多くても何とか育てていけると思う」(44.1%)となっている。一般的に、都市部において子どもを産めない理由としてあげられるのは、経済的な理由である。子どもの教育にお金がかかりすぎることを理由に、子どもを産むことをあきらめる方がいるために、教育費無料化の施策であるなど、経済的な支援に政策的な議論が向かっているのが現状であろう。しかし、合計特殊出生率の高い伊仙町の人たちが、子どもを産む理由として、「人のつながり」をあげている点は、注目すべき点である。

表1.子宝といわれる要因(複数回答可、N=169)[4]

 では、人のつながりはどのように保たれているのだろうか。私たちは、伊仙町の子育て世代を中心にアンケート調査を行ったところ、配偶者をはじめ、祖父母を中心に子育てを支援し、それが、子育て世代にとって、最も助かるということがわかってきた。伊仙町は車で移動すれば、家が離れていてもすぐに祖父母の家に行って、子どもを預かってもらえるといった環境があり、さらに、祖父母の家と隣接して住んでいるという事例も多くみられた。子どもが体調を崩したときにすぐに頼れる人がいるということや、買い物などちょっとした用事に出かける際に、子どもの面倒を見てくれる親戚がいるということが、人のつながりの根本であり、これが子育てにおける安心感をつくっていることがわかってきた。 

 また、伊仙町におけるコミュニティ形成について、大久保明町長は小学校を拠点として集落を守っていくという考え方を示している。コミュニティの規模は集落にもよるが、小さな集落であれば、お互いの顔が見える関係であり、家族構成などをわかりあっている人たちで集落が形成されている。小学校の文化祭や運動会になれば、子どもたちだけでなく大人たちも催しものや出し物をするなど、集落全体で盛り上げるようである。このような集落を守り、集落が元気であることが、地方創生の基盤であると大久保町長はおっしゃっていた。
お互いの助け合う心を、島の人たちは結の精神と呼んでおり、結の精神のもとに、さまざまな文化や行事を通じた、強い人のつながりが維持され、それが、子育てにおける安心感につながっていることが、合計特殊出生率が高い秘密の一つなのである。

2-3 子は宝(くぁーど宝)の考え方
 伊仙町では、「子は宝(くぁーど宝)」という考え方がある。これは、昔ながらの文化として根付いているようで、子どもを中心とする行事もさかんである。特に、出産祝い、小学校入学祝い、成人式のお祝いが盛大なお祝いとして、家族や親族だけでなく、集落全体で盛り上げるようである。自宅でお祝いをするようであるが、入れ替わり立ち代わり親戚や近隣住民がご祝儀をもって来てくれるようである。このような伝統的なお祝い事を続けることで、集落の人の結びつきを維持するという効果もあると言える。
私たちがお世話になった伊仙町の地元住民の老夫婦のご自宅にお邪魔させていただく機会をいただいた。部屋の中には、ずらりと子どもや孫の命名額が並んでおり、いかに子どもが多い家族なのかということが一目瞭然であった。自宅には、家族や親族でのお祝いのときに撮影した写真も多く飾られており、行事をきっかけとして家族や親族の親睦を深めていくこともうかがえた。

 のちほどご自宅には、あるきっかけでもう一度お邪魔をすることになったのであるが、二度目の顔合わせによる安心感からか、老夫婦はさらに打ち解けて私たちを歓迎してくださった。まるで、私たちも我が子の様に可愛がってくれていることが伝わり、子は宝という考え方が、島民の人たちの生き方や人間関係のあり方に大きな影響を与えていることを実感した。私たちがお世話になった民泊のおかみさんの「訪れる人たちを我が子の様にかわいがっている」という発言は、誰にもあたたかく優しく付き合える町民性を表している。また、「子どもは親だけが育てるのではなく、地域で子どもを育てるもの」という考え方を多くの方から聞かせていただいた。このように多くの家庭や地域で子どもを大切にしていると言えるのである。

2-4 伊仙町のママがかかる魔法
 伊仙町には、子育て世代のママがかかる「魔法」があるようである。唐突であるが、この表現がしっくりくるのであえて使わせていただいた。それは、「子どもを産みたい」「よし、もう一人頑張るぞ」という前向きな気持ちになる魔法のようである。この魔法は、伊仙町出身の方はもちろんのこと、島外から徳之島へ移住してきた人も例外なくかかるようで、徳之島に来てから子どもを多く産む人も多いようである。これは、徳之島が温暖な気候で、突き抜けるような青空の下で開放的な気持ちになるといった要因もなくはないと思うが、一番影響力のある魔法はママ友同士の会話にあるようである。
 周りを見渡せば、4~5人の子どもを育てているママ友が多くいて、そのママ友がいきいきと幸せそうに子育てをしている姿を間近で見れば、自然と「私にもできる」「私も子どもがたくさん欲しい」という前向きな気持ちが伝播していくようである。30代後半にさしかかった女性には、「もう一人産まないの?もう年齢的に最後だよ」といった問いかけも多いようで、家族や親族だけでなく、ママ友からの問いかけは何か特別な力があるものらしい。


図1.NPO法人ガジュマルの家理事・野中涼子様からヒアリング

 お話を聞かせていただいたNPO法人ガジュマルの家の野中さんも、生活していた都市部から生まれ育った徳之島に戻り、子どもを産んだとおっしゃっていた。印象的だったのは、徳之島での子育てのストレスは、もちろん子育てに共通の苦労はあるものの、都市部での子育てに比べれば、「ほとんどと言っていいほどストレスがない」という言葉である。都市部でのストレスは、子どもを連れて外出するときの周囲の人たちの目線であったり、子どもの安全への過剰なまでの配慮であったりに起因する。事実、オンラインベビーシッターサービスを運営する株式会社キッズラインが子育て中の女性340名を対象に行った調査によると、56.8%がベビーカーを利用している時に嫌な思いをしたことがあると答えている[5]。徳之島では、島民が子どもに対して寛容であり、親が子どもを必要以上に管理することもなく、多くの大人が「子どもは育てるものではない。育つもの」と考えるようである。そのような環境が、子育てのストレスを低減させているようで、野中さんの「徳之島には不思議な力があるのよ」という言葉から、子育て環境をとりまく島内の空気が人に安心感を与え、行動をおこさせることを私たちは学んだのである。

第三章 都市部の子育て

 第二章で述べたように、伊仙町での合計特殊出生率の高さが人とのつながりに起因しているということを示した。「子どもは宝」とされ、出産、入学等の節目には、地域を挙げたお祝いがされる。子どもは、親だけでなく親族近隣住民「みんなの宝」として育てられる。 一方、都市部では子どもはどのように地域から捉えられ、その保護者はどのような環境で子育てをしているのだろうか。

3-1 保護者の孤独の中の子育て
 全国区のなぜ子どもを産めないのかというアンケート[6]では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という答えが圧倒的である。この回答の背後には、子育てや教育を一人でしていかなくてはいけないという固定概念と強すぎる責任感があるのではないか。子どもは母親あるいは、夫婦二人で育てるものだという固定概念が子育て世代を追い詰めている。都心での一例をあげると、東京板橋区の乗蓮寺が「ベビーカーご利用自粛のお願い」を2017年の新年に出して、話題を呼んだことは記憶に新しい。寺側は、ベビーカーに老人かつまずいてけがをしたという去年の反省のもと、この看板を掲げた。しかし、子育て世代がこのニュースから受けた印象は、子どもを産めば産むほど生きにくい社会となっている。社会から子育ては応援されていない、という印象を受けているだろうし、事実日本人は他国に比べて、子どもを育てるのは親の責任であると考える人が多いというデータもある。これが、都市部での子育て環境を象徴するニュースである。

表2.なぜ子どもを産まないのか

 一方、所得が全国の平均より低い伊仙町で合計特殊出生率が全国一位である理由は、子育てや子どもの教育は家庭や地域みんなでやっていくものだという考え方の違いにあるのではないか。「教育にお金がかかりすぎるから」という理由を子どもが持てないと人々が考えるようになった理由の背景には、ひとつに核家族化が進み、教育や保育は家族親戚全体で賄うものではなく、外注するものだという前提ができたこと、幼少時期からの習い事などの家庭外での教育の一般化などが考えられる。

3-2 第二子の壁
 全国的には、“第二子の壁“という言葉が注目を集めている。第二子の壁とは、様々な理由により、夫婦が第二子を持つことを躊躇する現象のことを指す。財団法人One more baby応援団の調査によると、母親が第二子の壁を感じる理由としては、「経済力がない」ということの他に「一人目で手一杯」「心理的な理由」が上位の理由として挙げられている。核家族化と地域のつながりの希薄化が進んだ結果、母親の多くが子育ては自分のみで完結させるものだという認識を持つようになり、強い精神的プレッシャーを感じるようになった。
 一方、伊仙町では3人目の子どもを持つ理由として、1,2人目の子どもを持ったことで、何とか育てていけるという自信を持つことがあげられる。私たちが伊仙町で子育て世代に行ったアンケートにおいて、二人目の子どもを持つ理由として「一人目の子を育ててみた結果、なんとか育てることができると思ったから」ということがあげられた。「一人目で手一杯」なのか「何とか育てていける」と思うのか。この違いを生んでいるのが伊仙町の「人のつながり」だと考える。

表3.第二子の壁を感じる理由[7]

3-3 都市部の子育て世代のかかる魔法
 伊仙町の人々が子どもを持ちやすくなる魔法にかかっているとすれば、都市部の人々は子どもをあきらめてしまう魔法にかかっているように思える。都市部では、子育ての分野に限らず、自分の生活に精いっぱいで周りを思いやる気持ちを失っていっているように思える。
 伊仙町と都市部の子育て環境の比較を表4に示す。

表4.伊仙町と都市部の子育て環境の比較

 都市部では、電車での移動ひとつとっても、自分自身が立つスペースを確保することに精いっぱいで席を譲る余裕が生まれない。動き回るような子どもが乗ってきたら、無意識にイライラしてしまうこともあるかもしれない。また、駅のホームでは嵐のような歩行者の移動の波の中を、ベビーカーを押して移動することはきわめて精神的に負担をもたらしている。これに対して、伊仙町では車での移動が主であり、子どもを連れての移動のストレスが都市部に比較して少ないと考える。
 また、都市部では、核家族によって子どもが熱を出したり病気になったりしたときに即座に頼れる親類が近隣にいない場合が多い。それに対して、伊仙町では3世代家族が近居あるいは同居していて、まさに助け合って子育てを行っているのである。
また、都市部の人々は子どもは親2人で育てるという前提で考えているが、伊仙町の人々が地域で育つ、あるいは子どもは自然と育つと思っている。
 都市部の子育て環境の中では、何とか子どもを育てていけるという気持ちになるとはとても思えない。それが過度のプレッシャーを親に与えているとも考えられる。


図4.都市部のベビーカーを押しての移動の様子

おわりに

 私たち社会保障研究会は人間の幸せを起点に日本の社会保障の制度や仕組みの在り方を研究しており、2016年度は子どもを産み育てたいと思う人が希望する人数の子どもを安心して育てられる社会を探求してきた。合計特殊出生率が日本一高い鹿児島県大島郡にある伊仙町を訪れ、子どもを多く産み育てる理由に経済力ではなく、子育てを支援してくれる人や何とか育てていけると思えることを挙げた人々の考えと地域社会の実態を本稿では述べさせて頂いた。このような実態を目の当たりにした時に、子どもを産み、育てたいと思う人が日本のどこの場所にいても「不安」が先に来るのではなく、前向きに安心して希望する子どもの数産み・育てられる社会でなくてはいけないと感じる。
 しかし、都市部でも伊仙町と同じことができるわけではないということもまた事実である。これを踏まえたうえで、我々は都市部での子育ての在り方を今一度振り返ってみなければいけないのではないだろうか。子どもを安心して産み育てにくい、と子どもを持つ親をはじめ、そこに生きる人々が感じる社会が抱える問題の根源にはいわゆる第二子の壁、子育てに関する経済的負担の大きさと日々の子育て生活におけるストレスがある。先に述べた様に経済的負担は特に都市部に住む親にとって大きく感じられている。その理由は仕事中や急な用事の際に子守をお願いできる様な親や親戚が近くに住んでいることが少なく、サービス化された保育園にコストを支払って依頼することになるからだろう。親や親戚が近くに住んでおり、常日頃からつながりが涵養されている伊仙町ではこうしたことは少なく、経済的負担は大きくならない。
 また、日々の子育て生活におけるストレスの軽減にもつながりは役立っている。公共交通の利用頻度や地域社会の密度の濃さは大きく異なるものの、都市部でも伊仙町でも自分の周りに親や親戚以外の他人が住んでいる点は同じだ。否が応でも彼らと関わらなければならない。しかし、地域を挙げて子どもが産まれたり、ある年齢に達したりすることをお祝いする文化が伊仙町で子どもを持つ親の安心感の醸成に繋がっていると考える。泣いた子どもをあやす時に周りに気遣う必要はないのだ。さらに、子どもを育てる母親同士のつながりも時に“魔法”と形容される安心感を高めるのに役立っている。

 子は宝である。これは誰しもが同意できることではないだろうか。「子は鎹(こはかすがい)」ということわざがあるが、子どもは人と人とを繋ぐ大切な存在であり、未来への懸け橋である。子どもが産まれないような国や地域に未来はない。
我々は改めて、そのことを直視しなければならないのではないだろうか。
そして、伊仙町に根付く人のつながりに倣い、子育ての苦しみよりも伸び伸び育てる楽しみを共有することが育てていけると思えることに繋がるのではないだろうか。

【徳之島視察先】
・わかば保育園
・徳之島なぐさみ館闘牛館
・大久保明・伊仙町町長
・鹿浦小学校
・幸徳保育園
・ほ~らい館
・淞南第二高校
・徳之島町議会議員・鶴野将光
・伊仙町認定農家・4H・ふぁーみんぐの皆様
・伊仙町在住子育て世代母親の皆様
・阿権区長様
・伊仙町町役場職員
・徳之島社会福祉協議会
・NPO法人がじゅまるの家 野中涼子
 
【意見交換】
・御船町議会の皆様
・安田壮平塾員
 
【アンケート実施】
・伊仙町3歳児検診

[1] 総務省統計局(2016) 平成27年国勢調査
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka.htm
[2] 厚生労働省(2016) 平成27年人口動態統計月報年計
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai15/
[3] 国立社会保障・人口問題研究所(2016) 第15回出生動向基本調査(結婚と出産に
関する全国調査)http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/doukou15_gaiyo.asp
[4]伊仙町(2014)「子宝の町・伊仙町」から少子化対策を考えるhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/kihonseisaku/h26-10-02/h26-10-02-s3.pdf 資料を基に筆者が作成
[5] キッズライン (2017)  【ベビーカー利用実態調査】
https://kidsline.me/contents/news_detail/128
[6] 国立社会保障・人口問題研究所 (2011年) http://www.ipss.go.jp/
[7] One more Baby 応援団http://www.1morebaby.jp/report-research-2.html
資料を基に筆者が作成

2017年3月 執筆
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