論考

Thesis

北朝鮮人の亡命事件と東北アジア

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1995/12/29

最近、韓国の新聞記事の中で毎日ておちなく出ることがある。それは北朝鮮からの亡命に関する記事である。去る1月の場合にもアフリカのザンビアからザンビア駐在北朝鮮大使館の外交官夫婦を含め、3人の北朝鮮人が第3国を経由、韓国に亡命したという記事が韓国新聞に出たことがあるし、今現在もヨロッパからの金正日の元妻の亡命問題が新聞記事の一番大事な話題になっている。
ある統計によると94年から2年間の北朝鮮から韓国への亡命者数は150人くらいまで至るという。亡命にかんする理由はいろんなことが列挙出来る。今北朝鮮の一番大事な問題である食糧不足問題のため北から逃げた人はその中で半分以上になっており、金正日体制の暴政からの反感等も重要な亡命理由である。韓国、及び欧米の新聞ではこのように続く北朝鮮人の亡命脱出事件を北朝鮮の崩壊臨という観点から分析している。金日成が死んでから1年半過ぎでもまだ金正日が主席職に就任しなかったという観点から見ると最近続く亡命脱出事件は金正日がまだ北朝鮮の内部を完璧に掌握していないことを証明するいい例になっている。韓国政府によると北朝鮮人亡命事態はこれから急激に増え、統制出来ない水準まで至ると予測されている。亡命のパタンに関するいろんな予測の中で面白いのは亡命処に関する部分である。今までのように韓国向けの亡命ではなく、他国向けの亡命が増えるという分析がそれである。
韓国政府は北朝鮮からの亡命者を支援するため、1953年以来奨励金制度を行って来た。しかし亡命者が最近考えたより増え、94年からは1人当たりの奨励金がわずか150万円に止まった。今の韓国の物価を考慮すると、このくらいのおかねは新しい世界の適応にあんまり役に立ったない水準である。その結果1月28日には北からの亡命者(元軍人)が船を通じで北朝鮮に逆亡命しよう途中、逮捕される事件まで発生し、大きな衝撃を与えた。このような状況から見るとこれから北朝鮮からの亡命者達は亡命処を韓国ではなくて第3国を決める可能性が大きくなっている。間もなく北朝鮮の亡命問題が周辺国まで及ぶことになっている。北朝鮮と国境を付いている中国は北からの亡命処で一番近い国であり、特に北の亡命に関して関心を持っている。北朝鮮のための食糧支援に反対している韓国政府に対する‘食糧支援を期待する’という中国外務部の最近の声明も、北朝鮮からの大量亡命を心配する中国政府の立場を見せることである。中国政府は特に1年前から北朝鮮との国境線周辺に亡命者のための臨時収容所を運営しているということも最近明らかになった。中国のこのような政策はもう北朝鮮からの亡命を現実で認め、大量難民を準備する方針である。しかし、北朝鮮からの情報に詳しいある人物によると今行っている亡命問題が直接に北朝鮮崩壊まで行くことは極めて歐米的な考えである。なぜならば食糧不足問題が昨日今日の問題ではない北朝鮮の場合、食糧問題を体制崩壊ということまで繋ぐのは決して期待し難い浪漫的な仮定なのである。
しかし、今行っている北朝鮮からの亡命問題は韓国と周辺国まで影響を与える‘東北アジアの安定’に波瀾を呼ぶ事件であり、中国日本韓国北朝鮮を絡む初めての共同感心事になると思われる。今行っている北朝鮮食糧支援会議ということも内部のいろんな異見にもかかわらず東北アジア安定のための地域共同意識を確認させるいいモデルになると思われる。
北朝鮮亡命問題はその観点から見ると東北アジアの信頼関係を作る基盤になることが出来るのである。

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