「日本の国内総生産は含み益を食いつぶして5年後は半分になる。保護されてきた銀行がつぶれノンバンクが生き残る。基幹産業は消滅し、日本は枝葉産業だけになる。頭脳労働者が大量流出し、先端産業は日本を見捨てる。日本人は外国嫌いになって再び鎖国する。役に立たない政治家と役人は半減する。日本は防衛力を高めて日米安保を破棄する。企業の定年は40歳になる。国営の姥捨山がいたるところに出現する。日本人の半数は年収400万円以下になる」。
日下公人氏の近著『悪魔の予言』(講談社)によれば、日本の近未来はこうなるらしい。そんなバカなと一笑に付す人もいるだろうが、あながち冗談といって笑いとばせない状態にある、というのが現状ではないだろうか。いまのさまざまな状況がこのまま続けば、日本が近い将来、この予言のようになる可能性はかなり高い、と考えるのは私の杞憂だろうか。日本再生の私案は以下のとおり。
- (1)基本原則=国家の法制度、経済活動、精神活動を分けて考える
- (2)グローバリゼーションを徹底する
世界経済や世界政治に参加するためには市場経済と民主主義を徹底させたグローバルスタンダードを受け入れる。規制緩和を行い、国内市場を海外に開放する。ただし、どうしても規制しなくてはならないものもあることを忘れないこと。
- (3)行政は徹底的に合理化する
経済成長率が1.5%だった場合、2025年の国民負担率は56%に達するという試算がある。大きな政府は事実上無理だし、時代の要請にあわない。まずは徹底的に合理化をする。税収がいまの半分になってもできる行政の守備範囲を考える。
- (4)教育を統制しない
国民は文部省と日教組という硬直した権力の間で、選択肢のない教育を受けている。日本の大学はまだ19世紀にいるという人もいる。教育の民営化を進めるべきだ。学校の設立基準をゆるやかにし、自由に学校をつくらせる。環境教育、奉仕教育、歴史教育、語学教育など特色のある私立学校がたくさんできるといい。国家が教育を統制する時代は終わった。いつまでも統制しようとすると、時代に取り残される。
- (5)日本人が守らなくてはならないものをはっきりさせる
日本人の精神を守る。財産、生命、自由を守るにはどうしたらいいかを冷徹に考える。これは日本人一人ひとりの問題であり、家庭の問題である。精神の問題、経済の問題について政治家や政府をあてにしない。自己責任という感覚を身につけること。
以上の条件がそろえば、日本は世界一の国に生まれ変わる。
(岡田邦彦/松下政経塾塾頭)