論考

Thesis

コラム ~松下政経塾の想い~

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松下政経塾

1998/2/26

塾主・松下幸之助氏の想いについて述べる。
 塾主は18年前、有為な人材を育成し、卒塾後に各人がさまざまな分野で、生涯を通じて日本をよくするために懸命に頑張ってくれることを信じて私財を投じて政経塾を創られた。今、どんな状況であるかと天上に在って案じておられるように思う。とりわけ政治家には大きい関心があった。それは、「政治を正すことが日本を良くする最も効果的な方法である」という想いから発したものだが、今もそのことを私に強く訴えておられるように感じる。

 現在、塾員の総勢は159人。衆議院議員が15人、地方議員が22人、市長が2人。学界や産業界、言論界、国際関係など政治以外の分野に進出した者も、次第にその発言力・影響力を伸張している。これが開塾から18年を得た成果である。この勢力を大きいと見るか小さいと見るかは人によって異なるだろうが、私は日本が誇るに足る人材の集団だと思っている。それ故、結束して活動することができれば、日本を動かすだけの力を発揮できると確信する。

 問題は何をするかである。その主導権は15人の衆議院議員で組織している未来政治研究会にとってもらいたい。まず、何をなすかを未来政治研究会が考える。そして、青年政治機構の中の地方議員の会との結合によって塾OB会の合意で活動を展開する。私見だが、超党派的立場からすれば、政党の内部運営の公開と、経理の透明の確保を挙げたい。15人は別々の政党に属しているから、それぞれが所属する政党の中でこの活動を展開することは、政党の在り方を正しくしていく上できわめて意味がある。
 この活動の実現を前提に、国会運営の改革に挑む。現況の国会運営は、55年体制の中でつくられたなれ合いの運営が慣習化されている。合理的で民主的な運営に切り替えることが必要である。また、シャープ税制から50年を迎える機会を生かして、直間比率の改革を含めて抜本的な大改革を進める国民的運動を展開する好機でもある。
 橋本内閣の掲げる6大改革は、国会改革、税制改革を併せて8大改革にすべきである。その他にも緊急を要する課題は多くあるが、いずれにしても未来政治研究会で議論の上、目標を明確に決める。

 新世紀を目前にして、塾も創立20年の節目を迎える。しかも20世紀の変わり目は1000年紀の変わり目である。こう考えれば世紀末に成す事業は、きわめて有意義に歴史を飾るように思う。政治を含めてあらゆる分野で大きい変革が起こっているとき、松下政経塾が日本を良くするために何をするか関心を寄せる有識者の期待は大きい。塾主も天上に在って、こうした期待を持って見つめておられると思う。応えよう。

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