昨年1月28日の日本経済新聞ほか各紙は「政権獲得へ若手ダッシュ」というタイトルで野党統一会派「民友連」(当時)の若手議員が政権獲得を合い言葉に勉強会「ダッシュの会」を旗揚げしたことを報じた。その世話人代表の樽床伸二塾員(衆議院議員 松下政経塾3期生)に話を聞いた。
―― 「ダッシュの会」の旗揚げから1年半、今の状況は。
若手議員36人でスタートし、その後民主党の結成を経て現在では民主党内の当選1回・2回の議員を中心に60人近いメンバーがいる。
―― 世代交代を熱心に訴えているが。
飽くまでも私個人の思いだが、政治を右・左で語る時代はもう終った。そのモノサシで物事をはかろうとしても駄目だ。日本は今、大きな過渡期にある。過渡期だからモノサシが無くて当たり前。右・左というモノサシはもはや役に立たないのだから、新しいモノサシが必要だ。そのために政権交代ができるような政治のしくみを是非創らなければならない。ただし、ただ政権交代が行われるだけではだめで、「世代交代を伴う政権交代」でなければならないというのが初当選以来6年間の活動を通した確信だ。
―― 「世代交代を伴う政権交代」とは。
生きてきた時代によって、人間は価値観が違う。戦後の日本は昭和30年の保守合同以来いわゆる55年体制によって支えられてきた。その55年体制が崩壊して新しい政治の仕組みが求められている。しかし古い価値観の中で生きてきた人に、価値観の転換を求めるのは至難のわざだ。だから政権交代には世代交代が伴わなければならない。
―― 具体的にはどのような転換が必要だと。
まず内政は、右肩上がりの時代は終った、ということだ。高度成長で財政収入が増える時代ならば予算を分配すればよい。それが政治家の仕事だった。古い制度やいらない建物も潰さなくてよい。右肩上がりの期待できない今は、いらないものは潰さなくては新しいことはできない。さらに外政では「自主自立」の日本になること。戦後の日本は、極端に言えばチョコレートをもらうことからスタートして、アメリカを仰ぎ見ながら進んできた。しかしもはやその時代ではない。言いなりではなくて、お互い独立国家として利のあることはやりましょう、というスタンスを築かなければならない。アジアの国々に対しても、日本は卑屈と尊大と両極端の中で揺れてきたから信用されなかった。
―― だから若い世代の登場となる。
第2次世界大戦を経験ではなく、歴史としてその教訓を持つ世代で出直すことによって、新しい関係をスタートさせたい。内政・外政の基本的スタンスは世代交代しないと根づかない。政策に関する議論はもちろんのこと、「やっぱり若いもんがやらんとアカンな」という世代交代の空気をつくって行きたいと思う。
―― 先日の日韓の国会議員によるサッカーでは、樽床塾員のアシストで逢沢一郎衆議院議員(松下政経塾1期生・自民党)が見事なシュートを決めた。党派は違っても、世代交代という大きな目標に向かって進んでください。
米国のクリントン大統領が52歳、英国のブレア首相が45歳。40代のトップリーダーが生まれなければ日本は変わらない、そう確信しています。