松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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1999年3月

塾報

成功するまで続けること ~政経塾20周年にあたって
甲斐信好/卒塾生     宮田義二/松下政経塾元塾長

 今年、松下政経塾は第20期生を迎える。1979年6月21日の創立からようやく成人式を迎える年齢となった。開塾時には理事として、現在は塾長として松下政経塾の運営に尽力している宮田義二・松下政経塾塾長に20年前の松下幸之助塾主の創設の想いについて聞いた。

 
 松下政経塾は、来月第20期生の塾生を迎える。開塾して20年である。松下幸之助塾主は、政経塾の設立を発起するに当たって、その趣意書の中で日本の現状にふれて次のように書き記している。
 「社会生活面においては青少年の非行の増加をはじめ、潤いのある人間関係や生きがいの喪失、思想や道義道徳の混迷など物的繁栄の裏側では、かえって国民の精神は混乱に陥りつつあるのではないかとの指摘がなされている。これらの原因は個々にはいろいろあるが、国家の未来を開く長期的展望にいささか欠けるものがあるからではなかろうか。正しく明確な基本理念があれば、そこから力強い政治が生まれ、その上に国民の経済活動、社会生活も安心して営むことができ、ひいては国民の平和・幸福・国家の安定発展ももたらされるのである」、と自らの考えを明言している。

 塾主は、このように明確に日本のあるべき方向について、20年前の時点で今日の時代に適確に当てはまることを記している。そして政経塾の具体的事業については、「有為の青年たちが人間とは何か、天地自然の理とは何か、日本の伝統精神とは何かなど、基本的な命題を考察、研究し、国家の経営理念やビジョンを探求しつつ、実社会生活の体験研修を通じて政治、経済、教育をはじめ、もろもろの社会活動はいかにあるべきかを、幅広く総合的に自得し、強い信念と責任感、力強い実行力、国際的な視野を体得するまで育成したいと考える」、と述べている。
 他方、私たち役員に対しては、「具体的に日本を良くするためには経済活動だけでは限界がある。どうしても政治を正さなければ、日本は良くならない。今の政治を見ていると政治にコスト意識が無い。政治の効率を考えるべきである。できればこの政経塾の中から、多くの政治を担う人材を創り出して欲しい。そして塾生の中から、将来の日本の総理大臣を目指すことを期待している」と伝えた。この想いこそ、松下幸之助塾主が、政経塾と塾生に求めている心情である。20年前、私財をなげうって政経塾を開塾されたとき、自分の目で塾生の政治家が活躍する様を確かめたいと言う想いは、おそらく大きなものがあったように思う。初めての塾出身の県会議員誕生(1983年)、そして国会議員の誕生(1986年)に、大変に喜んで彼らと会談したときのことが思い出される。
 いずれにしても、松下幸之助塾主の先見性と、国を想う強烈な精神力には、ただただ驚嘆あるのみと言うほかに語るべき言葉が無い。こうした塾主の想いを考えるとき、今日、政経塾の運営を担う私の立場からすれば反省あるのみである。この開塾20年の機会に、改めて心を新たにして、松下幸之助塾主の期待に応えるよう奮起したいと思う。塾生・塾員(政経塾卒塾生)、そして塾関係者にも、同じような思いがあると考える。しかし、私を含めて今の状況がマンネリの中に在るのではあるまいか。新しい時代を開く世紀末のこの機会に、今一度初心に還って活動を始めるときであろう。松下政経塾の塾訓(塾での研修の基本的なあり方を書いたもの)にもあるとおり、成功の要諦は成功するまで続けることである。


1999年3月 執筆
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