松下政経塾 The Matsushita Institute of
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1998年10月

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台湾・青年国是会議からの便り
甲斐信好/卒塾生     張佑如/松下政経塾元研究員

「世界で一番親日的」といわれる台湾。しかしその国際的地位は複雑だ。特にクリントン米大統領が訪中、「3つのノー」を明言して以来、内外でさまざまな議論が沸き起こっている。昨年、海外インターンとして在塾し、現在は台湾で活躍する張佑如・松下政経塾研究員が報告する。

 
 今年7月初め、私は台湾政府といくつの民間団体が共同主催した「青年国是会議」に参加し、120人の青年会議代表の一人として活動した。ちょうど米国のクリントン大統領が中国訪問を終えたばかりで、米中間の重要議題であった「台湾の外交と両岸関係」はこの会議でも非常にホットなテーマとなった。
 クリントン大統領は中国に関する「三不(3つのノー)」政策について発言した。第一の「不」は台湾の独立を支持しないこと。第二の「不」は「一中一台」や「両個中国」などいわゆる「2つの中国」を支持しないということ。第三の「不」は、台湾が一つの国家として国際組織への参加を支持しないというものだ。米国政府はそれまでの親台政策とは打って変わった中国寄りの姿勢を見せた。台湾にとってこの発言のインパクトは大きい。

 台湾政府は、1996年に行った総統選挙の際に、中国が武力行使による圧力をかけて以来、「戒急用忍」(急を戒めて忍を用いる)という政策を採ってきた。できるだけ中国と交流も対話もしないという政策である。しかし、これには中国と平和交渉を行う誠意がないのではないかと、内外から非難が集中した。その時から、米国の対中国政策はそれまでと全く逆の方向に向き始めたように思われる。今回のクリントン大統領の訪中は特に、米中の戦略的なパットナーシップが確認され、全面的に交流を行おうという意欲が世界中に示された。台湾にとっての国際環境が大きく変わった。

 冷戦が終結した今、中国が新しい世界秩序の中に入ることは世界の平和にとって重要だ。また、中国がますます経済大国になることは間違いない。台湾はただ受け身で見守るだけでは、国際社会に置き去りにされてしまう。
 台湾での新聞アンケートによれば、クリントンの「三不」に対応して、60%以上の台湾人は「政府は新たな対中国政策と外交政策を検討しなければならない」と考えている。この新しい米・中・台関係の下、台湾は自らの生存・発展の道を改めて考えなければならない。
 例えば、今回のクリントン大統領の発言が米国のバックアップを失うことを意味するのならば、台湾は新たなパートナーを見つけ、別な方法で国際組織に入る道を探さなければならない。そうでなければ中国と政治的対話を始めるかである。
 青年国是会議で、私たち青年代表は台湾を取り巻く世界情勢を分析し、議論を続けた。そして次のような提言をまとめた。まず、アメリカとの関係を大事にしながら、多分野に渡り中国との交流範囲を拡大する。

 次に、マスコミと教育を通じて、中国・台湾お互いの認識ギャップを少なくする。その上で、積極的に中国との政治交渉に応じる。また、将来を通じて、中国を知る知中派を多く育てる。この提案は、各政党の主張から良いものを吸収し、利権を乗り越えたものとして各界から大きな反響を呼んだ。
 今回の会議で、私は政経塾塾員と同じく多くの志を持つ若者に出会った。国は違っても民主と平和を愛する気持ちに違いはない。世界中の仲間と力を合わせがんばっていきたい。

1998年10月 執筆
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