松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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1998年7月

塾報

当たり前のことを当たり前に
甲斐信好/卒塾生     小野寺五典/卒塾生

「政治に普通の感覚を入れたい」。その思いで政治家を志した小野寺五典塾員(松下政経塾第11期生)。彼が昨年12月に行われた補欠選挙で大学助教授から衆議院議員になって半年が経つ。近距離は歩くのが当たり前、と議員定番(?)黒塗り車での移動をしない彼に近況を聞いた。

 
―― 当選して半年経ちましたが、相変わらず車なしですか(笑)。

実際に持っていないので(笑)。国会議員が動く範囲は近いところが多いし、わざわざ運転のための秘書を雇うお金もありません。一度後援者の人が乗ってきた白いカローラを使ったのですが、ちゃんと許可証を置いてあっても、どうも黒塗りの立派な車でないとだめみたいで、国会議事堂内では怪しい目で見られるし、ホテルではまるで場違いな所に来たという感じで追いやられてしまうし(笑)。
 活動のほうは、今は地元の課題を勉強させてもらっています。私の選挙区は26市町村、新幹線の駅が3つあり東京都より広いのです。とにかくまず意見を聞かせていただきたいということで、国会質問の前に関係機関にファックスで「ご意見を伺いたい」と送っています。小選挙区ですから選挙区のいろいろな要望が一手にやってきます。体の半分はそれを考えている。残りの半分は国防とか国政全部を考える。そのように決めて活動しています。

―― 議員になる前に予想していたのと落差を感じたことは?

国会の委員会が形骸化していることに今更ながらびっくりしています。国会で今議論をしていることが、本屋にいくとすでに決まったこととして解説書が売られている(笑)。政策決定のかなりのところが既に決まっている。何のために国会や党の部会で議論をしているのだろうと感じることがあります。それに一つ一つの政策について考える時間がなさ過ぎる。議員はあちらこちらの委員会を掛け持ち、めったやたらと忙しくて駆け回っているだけで、ゆっくり考えることもできない。一方で野党は時間延ばしの議論が多いのも事実です。本当にもったいない。議論をして政策的な歩み寄りをする、ということがとても少ないようです。

―― 小野寺さんは、議員立法の研究をされていましたが。

議員立法は重要です。少なくとも問題の種を出すのは議員だと思います。内閣法案の形で国会に出てきていても、実際のアイデアを出しているのは議員ということが多いのは新しい発見でした。無論、議員提出がふさわしい法案もありますし、立法府として機能の強化は絶対必要です。行政と立法府を分けるべきだという主張は変わりませんが、そうなるまでに時間がかかるのも実感しています。

―― 政経塾の研修で役に立ったことは。

いつも塾是・塾訓が頭の中に入っていますよ(笑)。辛いときはよくそのことを考えます。知らないことばかりで叱られても「万事研修」、いやなことがあってむかっとくると「素直な心で」(笑)。研修では海外研修が役に立ちました。無理を言って海外に出してもらったというのが正解でしょうが、実際に見て知っていることは大事ですね。

―― 最後にどんな政治家を目指したいですか。

普通の政治家です(笑)。冗談ではなくて、政治家は普通の感覚でやる仕事だと思っているからです。普通に考えておかしいことはおかしい、あたりまえのことはあたりまえにやるのが政治家としての務めだと考えています。そんな思いで、今も月曜日には非常勤講師として大学で地方自治と行政学を教えています。

1998年7月 執筆
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