松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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1998年12月

塾生レポート

住民参加とはいうものの…
森本真治/卒塾生

 
 「都市は市民と行政の共同作品。市民が主体的に参加できる仕組みをつくることが重要。」
 退任まで1ヶ月半となった平岡敬広島市長は仕事始めで訓示した。「市民参加の都市作り」さかんに叫ばれる言葉である。しかし実際どうすればいいのか、なかなか具体的な方法が 見つからない。
 広島市にはまちづくりへの市民参加を促す拠点として、「ボランタリー総合支援センターが昨年10 月に開設された。パソコンに国際交流や環境など400の市民団体と、市のボランティア人材バンクに登録する180人の活動内容などを登録。ボランティアの紹介や活動の相談に乗っている。1日平均30人の利用者がるが、大半はボランティア団体の関係者で、市民の関心はまだまだ 薄い。

 1994年11月、平岡市長は「ボランティア20万人計画」を打ち出した。同年10月 に行われた広島アジ ア大会に参加した延べ18万人のボランティアの輪を広げて組織化し、市民参加の まちづくりを推し進 める構想であった。しかしながら実現したのはボランタリー総合支援センターの 設置にとどまる。ボランティア団体の活動を支援する基金の設立は、財政難から見送られた。市民組 織の中核となる人材養成や活動マニュアルづくりなども、緒に就いていない。
 市民参加の輪を広げていくにはどうすればいいのか。 以前地方議員の会主催の行革懇談会で三重県を視察した。北川正恭三重県知事は 「生活者起点の県政」を目指し、税金を使う側(行政)の論理ではなく税金を納める側(市民、生活者)の論理で行政を進めなければならないと、積極的に行政改革を行い、究極的には「自立した地球市民社会」を目指している。
その北川知事が自立した市民社会を築きあげる上で「キーワードは情報革命であり、大事なのは情報公開である。」と説く。平岡市長はかつて「従来、市民は役所に不満と要求をぶつけ、役所はそんな市民を敬遠しがちであった。互いに意識を改め、自分たちで地域をつくる気概を持たなければ、地方分権は 成り立たない。」と語った。住民に行政にたいする不信がぬぐえないかぎり、市民参加は進まない。そのためにもまずは積極的な情報公開が不可欠である。

 広島大学の永山博之助教授は「住民参加の行政には情報公開は不可欠」とし、 さらに「行政の業務の 一部を地域にゆだねるなど、住民に責任を持ってもらう仕組みづくりも必要」と提言する。
 財政難と少子・高齢化の中で危機に立つ自治体。再生に向けて住民参加の仕組 みづくり、そして行政 に対峙するか無関心でしかなかった住民の意識の変革をいかにするか。地方議員 の役割も少なくない。

1998年12月 執筆
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