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米国東海岸の街、フィラデルフィア。その郊外にある自宅から車を20分ほど走らせる。のどかな住宅地を抜け、林を抜けるとふと広い空間が現れる。一面に畑と野原が広がっている。そこから更に数分車を走らせると、右手に高いフェンスに囲まれた巨大な建物が幾つも見えてくる。その建物の傍には、小さな建屋が点在しており、よく見るとその側面には護衛艦に装備されているレーダーが据え付けてある。ふと左手を見ると野原の真ん中から、護衛艦の上の部分がひょっこり顔を覗かせている。それこそが私の学び舎、Combat System Engineering Development Site(CSEDS)である。
そう。ここはMoorestown。世界最強と言われる防空システム「イージス・システム」の研究・開発の中心地である。海上自衛官時代、私は1年間、米海軍の研究施設であるCSEDSで学ぶ機会を得、その後、研究開発部隊で1年半勤務した。この2年半の間に私が現場で垣間見たのは、日米の軍事技術力とそれを育む各種の基盤の圧倒的な格差、政治的・社会的制約によって苦しみ、もがき、音を立て崩れる日本の防衛生産・技術基盤の悲惨な姿であった。艦艇要員の自衛官として現場に身を置いた後、防衛生産・技術基盤に直接的に関わった2年半に及ぶ経験が、同基盤に対する思いを駆り立てる原点になっている。
実践課程に入った私は、当面の間、政治の現場に近い場所に身を置き、防衛政策全般の動向を見つめながら、防衛生産・技術基盤を担う企業・団体等を訪れ、同分野を担う方々の声に触れ、課題等の抽出・整理に努めたいと思っている。その後は、海外の研究機関に身を置き、より一層研鑽を深める予定である。
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