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農産物のブランド化を通した農業価値創造

農産物のブランド化を通した農業価値創造 農産物のブランド化を通した農業価値創造 農産物のブランド化を通した農業価値創造

私は日本農業の価値創造を目指して、実践活動中である。価値創造の一環として、食の地域産品のブランディングを通じて、農業を核とした地域活性化に取り組む。
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 日本全国には、地域全体として長年培ってきた特別な栽培や生産の方法や、気候・風土・土壌などの生産地の特性によって育まれ、高い品質と市場の評価を獲得するに至った産品が数多く存在している。
 
 農業生産現場では、例えば「名古屋にんじん(仮称)」として売られている人参の品質を高め、揃える努力は各生産者に任せられており、極端なことをいえば、同じ名称を冠した産品の中に品質のよいものと、品質の悪いものが混在しているというようなことも往々にして起こりえるのである。
 
 六次産業化や地方創生といった言葉が飛び交い、食ブランド、地域ブランドに対して世間の意識が高まっている反面、農業生産者や加工業者などと議論する中で、商標を登録することと、ブランドをつくることが同義で議論されるなど、それを支える現場においてはあまりに認識が不足しているように感じる場面が少なくない。
 
 生鮮野菜の中で最大の売上を誇るトマト市場において、独自のポジションを築きあげている「アメーラ」を生産するサンファーマーズの稲吉社長は、ブランドづくりの大前提は「品質」「安定供給」「安心・安全」だという。ネーミングやパッケージといった小手先のプロモーションのみに囚われるのではなく、ブランドを支えているのは、化粧ではなく、商品力そのものであるという認識を関係者間で共有し、商品力を高める活動に取り組む体制をしっかりと整えていくことがまず第一歩であろう。
 
 平成26年6月に「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(通称:地理的表示法)」が成立し、これらの地域の財産ともいうべき産品の名称を知的財産として保護していく制度は整ってきた。本制度では産品の名称だけでなく生産地や品質などの基準とともに登録し、地域産品の品質およびその管理・運用体制そのものを制度として保護していくことになる。
まずは、地域の関係者が集まり、これまで曖昧であった品質などの基準づくりや、管理・運用体制を真剣に議論していくことが、本当の意味でのブランドづくりとなり、それを支える国内外の消費者との絆、信頼関係が築かれていくのだと考える。
 
 私自身も現在は、某ギンナン産地の現場において、産品の基準づくり、体制づくりを、生産組合とともに地理的表示の先行事例の形成を目指して活動中である。そして、地域産品のブランドづくりに貢献するために、農業の品質管理のトップランナーである日本GAP協会と協力し農業分野における知的財産活用に向けた場づくり、浸透活動に取り組んでいる。
地域産品のブランディングは農業の価値、地域の価値を高め、地域活性化だけでなく、ひては日本国全体に便益をもたらすことに繋がっていくことと信じ、引き続き活動していきたい。
 
※一般財団法人日本GAP協会 (http://jgap.jp/)
JGAP(Japan Good Agricultural Practice)とは、農林水産省が推奨する農業生産工程管理手法の一つで、日本の標準的なGAPとして世界的にも高い評価を得ており、先進的な農協や農場で導入が進んでいる。日本GAP協会は、JGAPの普及と審査認証制度の統括を担う。

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林俊輔の活動報告

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Shunsuke Hayashi

林俊輔

第33期

林 俊輔

はやし・しゅんすけ

株式会社de la hataraku 代表取締役/アジアユニバーサル農業研究会 事務局

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日本農業の再生と価値創造 ~モンスーンアジアのリーダーを目指して~

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