活動報告

Activity Archives

アメリカの移民第二世代を日本ファンに

アメリカの移民第二世代を日本ファンに

自身のルーツが持つ歴史的因縁に拘泥しないアメリカのアジア系移民第二世代をいかにして日本ファンにしていくのか。日本の広報文化外交は彼らの信頼を勝ち取るために尽力をするべきです。
——————————————————————————
 
 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、戦略的利益を共有する国々との関係をより強くしていくことが重要になっています。私は7月末から8月末までアメリカに滞在し、専門家・実務家へのインタビューやシンポジウムへの出席を通して、強固な日米関係の基礎となる好ましい対日世論を形成するために必要なことは何かを探ってきました。その中で、2つのことを強く感じました。
 1つは、アジア太平洋地域で生じている問題に対する日本政府の対策や考え方を、アメリカ社会に正確に伝えられる日本人専門家をワシントンDCでいかに増やしていくのか、という点です。ワシントンDCには大小多くのシンクタンクが存在しており、多岐にわたる政治関連分野の研究を行うと同時に、一般の人々も参加できるシンポジウムを頻繁に開催しています。ワシントンDCでのこれらの研究や議論は、米国政治や米国世論はもちろん、国際社会全体に大きな影響を及ぼしています。誤った情報に基づく日本に関する論評が行われないためにも、日本の立場を正しく説明できる専門家の存在がとても重要ですが、中国・韓国等に比べてアメリカにおける日本人研究者の数は少ないのが現状です。
 もう1つは、アメリカ国内のアジア系住民の考えや動きを正しく理解することの重要性です。領土や歴史認識といった近隣諸国と競合する問題が、アメリカなど第三国を舞台に争われるようになってきていることは、日本国内においても認知されるようになってきました。しかし、アメリカ国内におけるアジア系住民のあり様についてはまだまだ理解されていません。アメリカの大都市や西海岸ではアジア系人口が増加しており、彼らの存在感を無視することはできません。選挙においても、特定のエスニック集団が集住している地域においては、候補者は彼らの声に耳を傾けることが欠かせなくなります。特に、韓国系移民第一世代の中には反日的な感情を持っている人もおり、日本に対抗的なロビー活動が活発化しないためにも、日本としては彼らの動向に注視する必要があります。一方で、アメリカで生まれ教育を受けた第二世代は、第一世代とは異なり、日本に対してアンビバレントな感情ではなく好意的な思いしか持っていない人も多くいます。自身のルーツが持つ歴史的因縁に拘泥しないアジア系移民第二世代をいかにして日本ファンにしていくのか。日本の広報文化外交は彼らの信頼を勝ち取るために尽力をするべきです。そして、それこそが日本が歴史問題を乗り越えていくための一歩になるかもしれません。
 今回のアメリカ滞在で知り得た日本の課題に対して私自身がどのように貢献できるのか。今後は、このアジア系移民第二世代を日本ファンとして取り込んでいくための具体策を立案していきたいと思います。

Back

佐野裕太の活動報告

Activity Archives

Yuta Sano

松下政経塾 本館

第34期

佐野 裕太

さの・ゆうた

Mission

日本の広報文化外交、アジア太平洋地域の国際関係

プロフィールを見る
松下政経塾とは
About
松下政経塾とは、松下幸之助が設立した、
未来のリーダーを育成する公益財団法人です。
View More
塾生募集
Application
松下政経塾は、志を持つ未来のリーダーに
広く門戸を開いています。
View More
門