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ラオス女性の自立支援に向けて

ラオス女性の自立支援に向けて ラオス女性の自立支援に向けて

岐阜県可児市出身。一橋大学社会学部卒業後、三井住友信託銀行に入行。世界中の女性が等しく能力を発揮し活かせる社会、異なる文化・価値観を持つ人々が共存、共栄できる平和で豊かな社会の実現を目指すべく入塾を決意。現在は、Support for Women’s Happinessで事務局長を務めながら、ラオスの女性達の自立支援に取り組む。
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私が実践課程で現在取り組んでいるテーマは、「女性の自立支援」である。世界人口の半数を占め、全労働時間の3分の2に貢献し、そして世界中のほとんどの子供を育てているのは女性である。女性の多くは、家庭の中で家事労働を担い、人類史の中で多大なる貢献をしてきた。しかし、女性達が社会の中で与えられる権利は、男性と平等でないことが多い。女性だからという理由で、学校に通わせてもらえない、低年齢で結婚をさせられるなど、自分の意志で自分の道を歩んでいくための基盤が足りない。私はその中でも最も困難な状況に置かれた女性達(障がい、少数民族、性被害、貧困など)がその状況から抜け出し、自立して生きていくためには何が必要なのか、現地現場で体得していきたいと思う。
 
私は今年の4月からご縁により「Support for Women’s Happiness」という、ラオスの女性達の自立支援を行う団体の事務局長に就任することになった。
ラオスは、ASEAN加盟10カ国中唯一の内陸国であり、面積は日本の約63%に相当する。国土の約70%は高原や山岳地帯であり、北は中国、東はベトナム、南はカンボジア、タイ、西はミャンマーと国境を接する。ラオスは間違いなくアジア最貧国である。というのも、内陸国であるため、港がなく、輸出用の製品を作る外資系企業に中々入ってきてもらうことができなかった。また約70%は高原や山岳地帯であるため、平地が少なく工業地帯に不向きなこともあげられる。さらに、表向きは市場経済に移行しているものの、マルクス・レーニン主義を掲げるラオス人民革命党による社会主義国型の一党独裁制が敷かれていることから、国全体がゆったりしており、競争原理が働かない。主要産業は農業であり、人口の78%が従事しGDPの41%を占めている。IMFによると、2013年のラオスのGDPは100億ドル。一人当たりのGDPは1,475ドルであり、世界平均の15%に満たない水準である。2011年にアジア開発銀行が公表した資料によると、1日2ドル未満で暮らす貧困層は国民の60%を超える412万人と推定されている。
ラオスには、約47の民族が存在しており、一番多いのはラーオ族である。ただし、ラオス政府はラオス国籍を持つ者を一様にラオス人として定義しているため、公式には少数民族は存在しないと言われているが、現地での認識は少し異なる。(自分たちは少数民族であるという自覚を持っているものは一定数以上いると思われる。)
 
Support for Women’s Happinessでは「世界の女性たちが、自分らしく自分の人生を生きる事」をビジョンに掲げ、必要な自立支援や職業訓練支援を行っている。
私たちが現在運営している工房では、障がい者の女性が大半を占める。他にはモン族やカム族などの民族の方、貧困状態に置かれた女性達だ。ラオスではまだポリオが撲滅されておらず、小さい頃にポリオに感染したことが原因で手足が不自由になってしまった方がたくさんいる。国が貧しい場合、そういった身体障がいをもった方は国からのサポートはほとんど受けることができない。ラオスにはいくつか障がい者センターがあり、そこに入って訓練はできてもセンターを出た後の就職口がなく、貧困状態に陥ってしまう。
 
私達はそういった方を対象に雇用して、工房で手毬アクセサリーを作る挑戦を始めた。私たちが手毬に出会ったきっかけは、東北を盛り上げるために活動している人達であった。日本各地に残る手毬文化だが、東北にも素晴らしい手毬文化が残っている。手毬の歴史は古く、最初は蹴鞠として中国から日本に伝わり、それが上流階級のお姫様の装飾品として、日本独自の文化となって継承されてきた。一針一針丁寧に、時間をかけて縫われた手毬の美しさは見る人を魅了する。機械では作れない手毬は高度な縫いの技術が必要とされる。刺繍文化が今も色濃く残るラオスで女性達に手毬を作ってもらうことを試してみてはどうか?という案が持ち上がったのが始まりだ。(特にモン族に伝わる刺繍は世界レベルの高い技術である)
私はまず自分が手毬を作れるように技術を磨いた。その後、ラオスに入り、手毬の作成指導を開始した。
 
ラオスでは、何度も試行錯誤し、努力を重ねたおかげで徐々にだが、日本のクオリティーと変わらない品質のものを作成できるようになってきた。仕事がなく、収入がなかった彼女たちが物づくりを通して、自信をつけていく様子を肌で感じ取ることができた。
 
また、ラオスで作られた手毬をアクセサリーに加工して、日本の学園祭で販売した風景の写真を見せた時のみんなの笑顔が忘れられない。本当にキラキラとした笑顔だった。
自分たちが作った「手毬」を買ってくれる人がいるということ。そしてその生産によって収入を得られるということが、彼女たちの喜びと自信に繋がっている。
私は今後物づくりだけではなく、彼女たちの今後の将来設計を一緒に考えたり、別の職業につくなどのステップアップができるような体制を整えていきたいと思っている。

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川本里佳の活動報告

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Rika Kawamoto

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第37期

川本 里佳

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