論考

Thesis

行財政改革の旗を掲げて

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共同研究

1999/1/29

松下政経塾出身の国会議員16人は「未来政治研究会」という会を結成して活動している。昨年6月には、会が中心となって『行政評価基本法案』を国会に提出した。会長の笹木竜三・衆議院議員(松下政経塾第3期生)に、政治の転換点といわれる現在にあって、どのような政策を打ち出していこうとしているのか、その試みを聞いた。

現在、松下政経塾出身の超党派の国会議員(衆議院15人、参議院1人)をメンバーとする「未来政治研究会」の会長を務めており、国会開会中に週1回の会合を開き、メンバー同士で意見交換や、講師を招いて政策研究を行っている。一昨年(1997年)にはメンバーで中国を訪問し、朱鎔基首相ら政府要人と会見するなど、精力的に議員外交も展開している。今後も各人が日頃からどのような問題意識、テーマを持って活動しているのかを論じ合い、共有できるものについては議員立法として提案できるところにまでもっていきたい。

私自身は、初当選して以来一貫して行財政改革をテーマに取り組んできた。その根底にあるのは、行政に民間の経営感覚、手法を取りいれれば、透明性と効率性をより高められるという思いである。衆議院本会議や委員会での質問は、常にこの問題意識を念頭に行ってきた。
97年秋以来、政府が提起してきた行政改革は、単なる看板のかけ変えにすぎない省庁再編や、緊縮均衡理論の「財政構造改革法」など、極めて表面的な改革だった。そこで、志を同じくする議員に呼びかけ、「徹底した財政構造改革をめざす国会議員の会」を発足させた。これには20名を越す超党派の国会議員が呼びかけ人として賛同してくれた。もちろん「未来政治研究会」がその母体となったことは言うまでもない。

この会では、学者や民間シンクタンクの研究員、公認会計士らと活発な意見交換を重ねていった。そして昨年6月、これらの実績をふまえて「行政評価基本法案」としてまとめ、議員立法として衆議院に提出した。現在は継続審議となっている。「行政評価基本法案」は、国の会計制度に企業会計の方式を導入すること、そして国の行う政策を評価する制度を創設すること、の2つの大きな柱で構成されている。前者は、国の財政状況およびその活動の成果を明らかにするために民間企業と同様に貸借対照表や成果報告書、正味財産増減計算書または損益計算書、資金収支計算書などの財務諸表の作成を義務づけるというものである。貸借対照表を作成すれば、国と地方の借金の総額が550兆円を超すということばかり政府は喧伝しているが、実は資産総額は900兆円あり、先進国では日本だけが資産超過だということがわかる。後者は、国の行う政策について、事前および事後に、当該政策がどのような効果をあげているのかを明確な数値によって、国会および国民に対して説明することを義務づけるというものである。その評価の結果によって、当該政策の存続を判断する。この法案によって、貸借対照表などの財務諸表と政策評価に表れる数値で、財政の効率性や有効性を測る基準を設定することができ、様々な政府活動を評価・監視することが可能となる。
今、同時に、この「行政評価基本法案」の他にいくつかの核となる政策を提示する準備も進めている。重要な政治の転換点である今ほど、政治家個人個人の行動と力量が問われている時はない。自らの旗をしっかりと掲げていきたいと考えている。

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