松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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2000年2月

塾生レポート

私の考え方
籠山裕二/卒塾生

 
他の塾生の月例を見ているとその塾生の考え方が伺えて、非常に興味深い。私は、下記二点を題材にしながら、私の考え方を紹介する。

1.インフレは、日本人の円離れを招く

 小渕政権は、景気対策と称し、相変わらず、赤字国債を発行し続け財政赤字は膨らむばかりである。先月、日本のの累積赤字額は、米国のそれを上回ったそうである。日本のGDPは米国の半分以下であることを考えると大変な問題である。公共事業を中心とした旧来型の財政支出が、どれほど景気対策に効果があるかわからないが、現状を見る限り画期的とは言い難い。私はこの三年間、景気対策には財政支出の増大より構造改革をすべきであると主張しているが、それはともかく、この膨らみ続ける財政赤字を政治家たちはどうするつもりなのだろうか。

 一部は、インフレ待望論があると聞く。一見、インフレ(かれらは、適度なインフレと主張するが、一旦インフレになれば、その度合いは政府や日銀が調節出来るものではない。)は、財政赤字、不良債権問題、景気対策と全ての問題を解決する特効薬に見える。また、例えインフレを意図していなくても、政府の圧力により、日銀が現在のゼロ金利・貨幣流通量の増大を続けていれば、だぶ付いた円の価値は、必ず下落する。現在は、銀行の信用創造がほとんど機能していないため、この弊害は顕在化していないが、信用創造が回復すれば、一気に貨幣の余剰感が溢れ出す。この時、国民はどのような行動をとるだろうか。これまでのように一国経済(一国だけで経済が成り立っていること)であれば、古典的な経済学の教科書のように、人々は、価値の下がるカネを手放し、モノを買うであろう。つまり、消費が活発になり、景気が良くなる。しかし、一昨年春に外為法が改正され、国内での外貨建て取り引きや資産形成が認められるなど、経済は個人レベルに到るまで、急速にグローバル化している。
 もし今、円の価値が下がれば、消費を増やすよりも、円を外貨に換える行動をとるのではないだろうか。つまり、インフレになっても景気は回復せず、しかも、外貨が国内にあふれるため、その後に政府・日銀がどうような経済・通貨政策を採ろうともその効果が無くなるのである。ブラジルやロシアで起きている現象である。不景気・インフレ・自国通貨の機能麻痺という三重苦を背負うことになる。こうなれば、解決策はない。

 つまり、日本は、今後どのような状態になろうとも、調整インフレ策を採るべきでない。また意図しなくても、やがてインフレを引き起こすゼロ金利政策は、早く収拾すべきである。そして、インフレしか解決策がないような額にまで、財政赤字を膨らませるべきでないのである。

2.サマータイムについて

 しばらく日本を離れていたので、現在、日本でサマータイムについて、どのような議論がなされているのか、私は知らない。が、少なくとも、一年前までは、あたかもすぐにサマータイムを導入しそうな勢いで議論されていた。わたしは、日本がサマータイムを導入することに反対である。理由は下記の通りである。

 まず、サマータイム導入の最大のメリットとされる消費電力の減少であるが、私はこれは机上の空論に過ぎないと思う。なぜなら、日中、ほとんどすべての会社や学校で電気を点けて、仕事や勉強をしている。屋内にある以上、太陽の照明時間と電気の点灯時間は関係ないのである。つまり、サマータイムを導入したからと言って、消費電力が減る訳ではない。
 次に、国民の負担である。サマータイムを導入すれば、年に二回、時差調整を全国民がしなければならない。若い人なら、さほど問題はないかも知れないが、老人には負担になるのではないだろうか。
 そして、アジア諸国との関係である。現在、アジアではサマータイムを導入している国はない。緯度などを考慮すると、今後導入する国が出てくるとも思えない。現在、韓国とは時差がなく、中国・香港・シンガポールなどとは、一時間の時差である。言うまでもなく、時差は少なければ少ないほど良く、あえて、これらの諸国との交流に不利益になるサマータイムを導入する必要はないと思う。

 最後に、必然性についてである。ロンドン、ニューヨークと言った欧米の中心地は、高緯度地方にある。私が住んでいたボストンでは夏は午後九時くらいまで明るく,冬は午後四時にはもう暗い。このような高緯度地方では、サマータイムも有効かも知れないが、日本では、夏冬によるそこまでの日照時間の差はなく、上記のように反ってデメリットの方が大きい。
 私は、サマータイム導入議論は、アメリカのものを何でも取り入れようとする、無節操な米国信仰から来ているのではないかと思う。アリゾナ州ではサマータイムはデメリットが多いと判断して導入していない。日本も、自らの特殊性を考えるべきだと思う。

2000年2月 執筆
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