松下政経塾 The Matsushita Institute of
Goverment and Management

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2020年12月

塾生レポート

幸福共創の経営
澤田拓人/卒塾生

卒塾フォーラム「幸福共創の経営」より、最後の研究実践活動報告を行います。経営という切り口から、個人・自治体行政・民間企業・社会を見つめなおし、これからの時代に合わせながら「幸せをどのように他者と共創していくべきか」について、私の考えをご報告いたします。

 

 私は、愛知県名古屋市中区の株式会社モビリティキャリアで研修をしています。モビリティキャリアは「日本で一番幸せを感じられる会社をつくる」という経営理念の下、「会社は従業員のために、実践はお客さまのために、利益は未来のために」という行動理念を掲げ、人材派遣事業を展開しています。
 私はそこで、加藤滋樹代表取締役会長の秘書としてこれまで約10か月間研修をさせていただき、人手不足で困っている企業と自らに合った働き方を探している人とのマッチングに取り組んできています。お客様やその家族の方々に「モビリティキャリアにお願いしてよかった」と幸せを感じてもらえるよう努め、マーケティングの研修や雑誌『致知』の読書会「木鶏会」を活用した社内の人づくりを経験させていただきました。
 さらに、外国人技能実習制度に代わる特定技能人材の受入れ業務にも参画させていただいています。いわば、受入れ企業、外国人材の双方にマッチングした、これから日本が歩むべき、人を大切にするグローバル人材受入れ事業の最前線に立っています。

 そして、2021年2月8日に卒塾フォーラムを主宰しました。「幸福共創の経営」をテーマに株式会社八天堂の森光孝雅代表取締役に基調講演を行っていただきました。ひきつづき、パネルディスカッション「〈人を幸せにする中小企業経営〉」を開き、森光氏に加え、加藤モビリティキャリア会長、伊藤麻美NPO法人ビタショコ理事長に参加いただきました。100名以上の方に参集いただき、私自身大変多くのことを学ぶ機会を得ました。

 「経営」ということばの意味は、既にご存じかもしれません。「経営」という言葉には、「事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。また、そのための組織体」 という意味があります。松下幸之助・松下政経塾塾主は、企業の経営だけではなく、個人の生活も、自治体行政・国家もすべてにおいて「経営」がなされており、共通して正しい経営理念をもつことが大切であると、著書『実践経営哲学』 で説いています。松下政経塾での四年間を通して「経営とは人を幸せにすることである」ということを学びました。しかし、それを理想として掲げるだけで終わってはならないと思います。それを具体的に実践しなくてはならないのではないでしょうか。
 その実践とは、つまり、「何をしなければならないか?」という問いへの私なりの答えは、「同じ志を持つ人達と、コミュニティをつくり、学びと実践を繰り返していくこと」です。
 モビリティキャリアでの研修を通じて、正しい経営理念をもって、事業に関わるすべてのステークホルダーの幸せを実現することこそが、塾主の目指したものであると思うにいたりました。人を大切にする、お客様も社員も、取引先の皆様も、その背後にいるご家族やご友人の方々をも含め、すべての人を尊重し、大切に思う——幸せという軸をもって経営に望むこと、人を使い捨てにしないことがいかに大切か、つまりは無理のない経営の大切さを実感しました。

 松下政経塾の塾生として、さまざまな研修を行ってきました。まさに優れた環境や組織においては、必ず経営理念が明確で、その事業に参画している人々が、それを理解し、自らも仲間も同じ方向を向いて奮励努力している姿がありました。モビリティキャリアの現地現場では、これこそ「経営の力でものとこころ両面の真の繁栄」を実現しているモデルであると学びました。
 しかしながら、素晴らしい社会システムを構築したとしても、果たして本当にものとこころが豊かになるのでしょうか。素晴らしい社会システムがあったとしても、孤立してしまい、生きがい・役割・居場所がなければ、豊かとはいえないはずです。

 1年次に研修を行ったスペインのバルセロナ市では、市全体・市民全員で、住みよい街にするために新しい挑戦ができる風土づくりの重要性を学びました。観光客も、市民もすごしやすい、幸せ溢れる街を目指し、観光と生活の両立のために新技術を活用できる行政環境を整備し、世界中から優秀な人材の登用と未来に向けた人づくりを展開していて、輝いていました。
 3年次で学んだ新潟県見附市は、市民の幸せを健康長寿という切り口で目指す経営理念を打ち立て、コンパクトシティ街づくりを展開し、行政コストの削減と、市民の満足度の増加をはかり、成果を上げていました。
これら、行政も経営体であり、どれだけ、最先端のトレンドに則り、成果を上げたとしても、「その根底にあるのは経営理念である!」と気づけるようになったのは、モビリティキャリアにおける研修があったからこそです。

 中小企業による雇用割合が三大都市圏で一番多いのが、名古屋市を中心とした東海の特徴です。中小企業の幸せの創造へ挑戦が東海エリアの幸福を左右します。志をもった経営者が活躍できる東海になってこそ、人々の幸せを創造できるはずです。私は、まずは東海で、人を大切にする経営理念をもった人材が溢れる社会を実現したい。そのために、今後、一人一人の幸せをお互いに育める幸福共創のための経営を政治家として実践していく所存です。
 松下政経塾での4年間を通じて、「経営とは人を幸せにすることである」ことを学びました。そして、それを実現するための具体的手段として、「同じ志を持つ人達と、コミュニティをつくり、学びと実践を繰り返していくこと」の重要性を感得しました。私自身、卒塾後も、リーダーとして、そのようなコミュニティを育み、勉強会を主宰し、牽引してまいります。

2020年12月 執筆
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