松下政経塾 The Matsushita Institute of
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2020年6月

塾生レポート

Afterコロナを考える
髙橋菜里/松下政経塾第38期生

新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活様式の変化が起き、人々の意識も大きく変わりま した。その中でも、健康に対する意識は、この半年で大きな関心を寄せられるようになりました。「Afterコロナ」と呼ばれる新型コロナウイルス感染症後のあり方について多面的に考えていきたいと思います。

 

●新型コロナウイルス感染症から健康への意識が変化した人が8割

 OMRON株式会社は、同社の健康管理アプリ「OMRON connect(オムロン コネクト)」を利用するユーザ約3万人を対象に、「新型コロナウイルス感染症の流行下における意識や生活の 変化に関するアンケート」を実施しました(図1)1。その中で、全体の81.1%が、健康に関する意識が変化したと回答しました。1位「運動することを心がけるようになった」(35.2%)、2位「疾患のリスクに関して情報を集めるようになった」(31.6%)、3位「ストレスを溜めないように心がけるようになった」(29.7%)と健康維持に対する意識の高まりと疾患のリスクへの不安が確認できました。健康管理アプリを利用する比較的健康意識の高い人たちが多い中でも、このように健康に対する意識が変わったという声が集まっています。


図1 アンケート結果(OMRON株式会社ホームページより抜粋)

 私の身の回りでも、マスクの着用はもちろん、家の中でのストレッチや運動を始めた方や食事に気を配りたいと言って連絡をくださった方もいました。
 私は、この健康への意識がいつまで継続し定着するかが、日本の未来の健康に関わると考えて います。健康に対して意識はしているものの行動ができていない人は多く、厚生労働省の調べによると、忙しさや経済面の理由以上に、なにをやったらいいかわからない、意識はしているもの の特に理由はないのでやらないという層が多くなっています(図2)2


図2 健康のために特に何も行っていない理由
(厚生労働省ホームページより抜粋)

 健康意識の高まっている今だからこそ、意識だけに留まらせず、行動に移せるアプローチを展開していくことが必要だと感じています。

●食と健康の知恵袋「しょくすり」

 私は、食と健康の知恵袋「しょくすり」というWEBサイトをつくっています3。食事からはじめる健康法として、身近で簡単にできる調理法や食材の情報、食事療法のことについて、発信しています。
 新型コロナウイルス感染症が拡大し、人々の活動に制限がかかった時に、オンラインという手 法は非常に役に立ちました。不特定多数の方に情報を届けられるだけでなく、発信をすることによって、教えてもらう機会も増えました。一見、一方通行のように見えるオンラインでも、双方向のやりとりがあります。人に会うことが恋しくなった時期でもありましたが、技術が発達した現代において、顔と顔を合わせ対話するリアルな現場と、行動の距離の壁を超えたオンラインによるバーチャルな現場の両側面を組み合わせることによって、より広く、より活動的になれるのだと実感した時でもありました。
 「しょくすり」は、動画もやってほしい、レシピサイトに投稿したらどうか、一緒にコラボしてみたいといった声をいだたき、少しずつではありますが、活動の幅を広げつつあります。これからも柔軟にニーズを探りながら、実践していきます。

●新型コロナウイルスと働き方

 厚生労働省は、新型コロナウイルス対策を想定した「新しい生活様式」の実践例を掲げ、通販や電子決済の利用促進、デリバリーの活用などをあげています。その中でも、これからの社会における大きな変化として、「働き方」があげられると考えています。OMRON株式会社によると、新型コロナウイルス感染症拡大により、ストレスは全体的には2割増加したのに対し、仕事においてのストレスは1割減ったというデータがでてきています4。これは、本来会社にいかなければできないと考えていたものが在宅でもできることが判明した、上司とのやりとりが減った、自分のペースで仕事ができるなどの理由があげられます。在宅やリモートになったことによる不都合も多いですが、効率的にやれる手法などもわかってきました。
 在宅での仕事が増え、家事や育児の時間が増えたという声も多くあります。もちろん、そのことによる不都合やストレスなども多くあるかもしれませんが、働き方の選択肢を広げ、働き方を多様にするひとつのきっかけになったのかもしれません。

●新型コロナウイルスと経営

 個人の働き方だけでなく、経営という目線で考えていくと、新型コロナウイルス感染症による自社の業績に「マイナスの影響がある」と見込む企業は86.1%となっており、業界別にみると、「卸売」が88.4%と最も高い。次いで、「不動産」(88.3%)、「運輸・倉庫」(87.2%)となっています。業種別では、「家具類小売」は3カ月連続、「旅館・ホテル」は2カ月連続で100%となり、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(97.1%)、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(96.7%)が続いています。
 「プラスの影響がある」は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が31.3%、「飲食料品小売」(20.3%)や「飲食料品・飼料製造」(11.6%)、「飲食料品卸売」(6.8%)などで、食料品を取り扱う業種において好影響が見られていました5。食という、人間の生きる部分に直結してくる分野は、社会の状況が左右されようとも、工夫次第で活路を見出しやすい産業なのかもしれないと感じた次第です。

●不況またよし

 塾主・松下幸之助の言葉に、「不況またよし」があります6。これは、幾度と重なった不況の時に度々発言していたもので、松下幸之助は不況とは改善、発展への好機であると捉えていました。いかなる困難時においても、その状況のせいにするのではなく、改善、発展の好機と捉え、実践してきたからこそ、Panasonicの発展があったのだろうと思います。日本で活動する以上、度重なる災害や景気の波は避けられません。そうした状況の変化においても、前を向き、自分の志実現にむけて行動しつつけられる実践者でありたいと、新型コロナウイルス感染症が広がったからこそ、改めて考えさせられました。

脚注

1 OMRON株式会社『新型コロナウイルス感染症の流行における意識と生活習慣の変化』
URL:https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2020/0515.html(最終閲覧日2020年6月25日)
2 厚生労働省『健康に関する意識調査』
URL:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/001.pdf(最終閲覧日2020年6月25日)
3 しょくすり
URL:https://shokusuri.jp
4 OMRON株式会社『新型コロナウイルス感染症の流行における意識と生活習慣の変化』
URL:https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2020/0515.html(最終閲覧日2020年6月25日)
5 帝国データバンク『新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年5月)』
URL:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200605.html(最終閲覧日2020年6月25日)
6 佐藤悌二郎『不況における松下幸之助の研究』
URL:https://konosuke-matsushita.com/staff/sato/manuscript/014.pdf(最終閲覧日2020年7月15日)

2020年6月 執筆
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