松下政経塾 The Matsushita Institute of
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2019年10月

塾生レポート

公益資本主義の実現に向けた「トップダウン」と「ボトムアップ」のアプローチ
薄井大地/松下政経塾第39期生

株主利益の最大化を至上命題とする「株主資本主義」と、世の中の全てのものが商品として取引対象とされる「市場原理主義」。そこから生み出された「金融資本主義」のもとで、現代の経済・社会の諸問題が深刻化している。それを超克するための「公益資本主義」実現へのアプローチを考察する。

 

<目次>

1. はじめに
2. 資本主義の行き詰まり
 2-1. 顕在化する資本主義の問題点
 2-2. 金融資本主義が加速する原因
3. 公益資本主義とは
4. 公益資本主義の実現に向けたアプローチ
 4-1. 社会の広範囲にわたる制度改革
 4-2. 「新しい公共」とセクター間協働
5. 今後の課題と展望
 5-1. 非営利組織の組織力及び事業推進力
 5-2. 国家の未来を切り拓く長期的展望

1. はじめに

 我が国日本は、戦後世界に類を見ない経済発展を遂げ、世界有数の経済大国となった。しかしその後、バブル崩壊後には、失われた20年・30年などと称される深刻な低迷期に突入し、数多くの社会課題に直面している。
 右肩上がりの経済成長を前提とした国家運営から、成熟した資本主義を土台とした国家運営へという大きな展開期の中で、対処しきれていない社会課題が存在しているのである。その背景には、これまで課題解決の多くを行政が担っていたが、社会課題の複雑さが増す中で、行政だけでは対処することの困難さが増している事情がある。
 第一に、中央政府、地方自治体ともに財政問題を抱えている。我が国の普通国債残高は増加の一途をたどり、令和元年度末時点で897兆円に上ると見込まれ、国民一人当たり約713万円の規模となっている。また、地方自治体の財政状況も安定的とは言えず、地方交付税の不交付団体数は近年上昇傾向にありつつもピーク時の半分以下となる80団体程度に留まる。地方の長期債務残高は200兆円近くに上っており(図1)、また国と地方の長期債務残高の合計は1000兆円を超え、対GDP比で見ても主要先進国の中で最悪の水準になっている。


図1:財務省ウェブサイト「財政に関する資料」公債残高の累積 (最終閲覧日:2019年11月30日)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a02.htm#a03 より引用

 第二に、日本は2008年をピークに総人口が減少に転じ、人口減少社会に突入している。老年人口割合(65歳以上)は26.6%(2015年)で4人に1人を上回るまでになっており、また生産年齢人口(15歳〜64歳)も7,728万人(同年)から15年間で1割以上減少して7000万人を下回ると見込まれている。
 これらを踏まえると、日本は人口ボーナス期である他の新興国と同様な行政の在り方、すなわち高水準の経済成長を原動力とする歳入増加を見込んだ行政サービスの遂行は現実的とは言えない。元号が変わり新しい時代を迎える日本は、戦後復興、高度成長、そしてバブル崩壊や大きな震災を経て、成熟した先進国としての新しい経済の在り方を模索し、新しい国の形を描き世界に示していく必要がある。

2. 資本主義の行き詰まり

 2-1. 顕在化する資本主義の問題点
 
 米ソ冷戦終結後、資本主義陣営が共産主義陣営に「勝利」し、グローバリゼーションの流れを受け資本主義の経済システムが世界中へ広まっていった。しかし、日本を含む多くの国で行き過ぎた資本主義への批判の声が高まり、社会の不安定化が進んでいる。
 その象徴的な事例として、原(2017)は経営不振に陥ったアメリカン航空のエピソードを挙げ、その問題点を指摘する。2008年に苦境に直面したアメリカン航空の経営陣は、従業員に対し、日本円にして約340億円の給与削減を求めた。従業員は失職を恐れそれに従うより他になく、その給与削減のおかげでアメリカン航空は経営危機を乗り越えることができた。しかし大きな問題は、その後、リストラによる経営立て直しを株主から評価され、経営陣が200億円に上るボーナスを受け取ったことにある。労働組合の批判に対しても、経営側は「経営報酬は市場に基づき、株主と経営者の長期的な利害関係を合わせるように設計された」とし、経営手法にもボーナスにも問題はないという姿勢を貫いた。
 また大久保(2016)は、上記のような株主利益の最大化を至上命題とする「株主資本主義」に加えて、世の中の全てのものが商品として取引対象とされる「市場原理主義」を指摘し、その2つが組み合わせた先にあるものは「金融資本主義」であると主張する。
 金融資本主義の世界においては、本来は経済の潤滑油として機能しているはずの金融が、実体経済と主従逆転し混乱を引き起こす。1992年のポンド危機や1997年のアジア通貨危機はその代表的な事例であり、サブプライムショックを発端とする2008年のリーマンショックも同様である。
 実体経済を支える役割から乖離し、投機的な資金によるマネーゲームの様相を呈してしまう金融経済は、一方の損失によって他方に利益が生まれるというゼロサムの世界に閉じてしまうものである。また、ピケティ(2014)は過去200年以上のデータを分析し、「r(資本収益率)>g(経済成長率)」という不等式を用いて、金融資本主義が所得格差を生み出すことを証明している。

2-2. 金融資本主義が加速する原因
 
 金融資本主義は、その出発点である株主資本主義、すなわち「企業は株主のもの」という絶対的な思想によって加速を続ける運命にある。つまり、行き過ぎを防ぐためのリバランシング(調整機能)が内在されていない。
 前出のアメリカン航空のような経営行動が採択されてしまうインセンティブ設計に加えて、企業の価値を図る指標や投資行動を決定する指標にも大きな問題がある。
 現在企業の価値を図るために用いられている指標の第一は「時価総額(発行株数×株価)」である。出来るだけ短い期間に、出来るだけ時価総額を高めることが「良い経営」だと評価される。しかし、時価総額とはその時点で企業を売った場合を仮定した際の評価額に等しく、あくまで変動幅の大きい仮想の指標である。ここにはその企業の製品やサービスの質や、ステークホルダーへの貢献度などがリアルタイムに反映されているわけでないことは明らかである。
 また、時価総額に並び「ROE(自己資本利益率=当期利益/資産)」が投資行動を決定する指標として機能している。例えば、東京証券取引所に上場されている400銘柄で構成される「JPX日経インデックス400」は、採用基準の一つとして「高ROEであること」が含まれている。しかし指標としての重要性が高まりすぎることで、経営を図る参考の一つに過ぎない数値が目的化し、分子を大きくする(利益を上げる)だけでなく分母を小さくする(資本を圧縮する)などのテクニカルな経営手法が誘引されてしまう事例が後を絶たない。
 そしてそれらの問題点が積み重なり、最大の問題となっていることは、短期的な株主利益の最大化が過度に求められ、中長期的な視点での経営が阻害されることである。株主は、同じ利益を生み出すならばこれまでより短い期間で出すことを経営陣に求め、IRR(内部収益率)という指標も登場している。さらに他方では、金融市場の技術革新がHFT(超高速取引)に行き着き、1秒間に数万回の取引が行われて利益を上げる世界が生まれている。

3. 公益資本主義とは

 格差の拡大や市場の混乱などにより行き詰まりが見える資本主義は、今後どのような道を歩めばよいのであろうか。
 前出の原が代表理事を務めるアライアンス・フォーラム財団は「公益資本主義」を提唱し、その研究と普及、そして次の時代の新しい基幹産業の創出と人材育成のための取り組みを行なっている。
ここでいう「公益」とは、企業を構成する個々の社中(あらゆるステークホルダー)に配分される利益の総和を指す。すなわち、公益資本主義とは「企業の事業を通じて、その企業に関係する経営者、従業員、仕入先、顧客、株主、地域社会、環境、そして地球全体に貢献する」ような企業や資本主義の在り方であると定義づけている。
公益資本主義の特徴を株主資本主義との対比によって表現すると、以下の図2の通りとなる。


図2:原丈人『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』(文藝春秋、2017年)
「4章 公益資本主義とは?」より筆者作成

4. 公益資本主義の実現に向けたアプローチ

4-1. 社会の広範囲にわたる制度改革
 
 公益資本主義を実現するためには、税制や会計基準、さらには金融証券制度や会社法など広範囲にわたる制度改革を実行し、株主資本主義の呪縛から企業を解放し、本来の力を引き出すことが必要となる。原(2017)は「公益資本主義の12のポイント」として下記のような具体的なルールづくりを提案し、公益資本主義実現へのロードマップを描いている。

(1) 「会社の公器性」と「経営者の責任」の明確化
企業、とりわけ上場企業は公器であることを明文化し、新しい企業統治のルールを構築する。

(2) 中長期株主の優遇
株主としての権利行使に関して、保有期間の面で制限を設ける。

(3) 「にわか株主」の排除
HFTに関する規制をかけ、取引税を課す。また、中長期取引を望む投資家にとって望ましいルールでの市場を世界に先駆けてつくる。

(4) 保有期間で税率を変える
株式売買の際のキャピタルゲイン課税の税率を、保有期間によって変える。

(5) ストックオプションの廃止
株式公開後の企業において、CEOや役員へのストックオプション付与を廃止する。

(6) 新技術・新産業への投資の税金控除
新たなコア技術や基幹産業への継続的な投資を促すため、会計上損金繰り入れを認める「リスクキャピタル制度」を導入する。

(7) 株主優遇と同程度の従業員へのボーナス支給
株式配当や自社株買いなどの株主優遇に対し、一定割合を従業員へ還元する規定をコーポレート・ガバナンス・コードに盛り込む。

(8) ROEに代わる新たな企業価値基準「ROC」
会社を支える社中全体への貢献度を測る指標として「ROC(Return on Company)」を採用する。

(9) 四半期決算の廃止
企業に義務付けられている「四半期報告書」および「四半期決算短信」を廃止する。

(10) 社外取締役制度の改善
独立性をもつ人材の育成を行い、職業的倫理、公平性、客観性、専門性など適正を備えた人物を社外取締役として各企業に送り出す。

(11) 時価会計原則と減損会計の見直し
税制度の改正により、人類や社会全体に貢献しうる革新的な研究開発への投資については法人税を大幅に減免するなどの制度設計を行う。

(12) 日本発の新しい経済指標
GDP(国内総生産)やGNI(国民総所得)を補完する経済指標を確立する。

4-2. 「新しい公共」とセクター間協働
 
 前項では、主に政治の側面から、また大企業及び機関投資家のガバナンスの側面から公益資本主義を実現する道筋について紹介した。本項では、そうした「トップダウン」と対をなす「ボトムアップ」による社会変化について述べたい。
 より良い社会を創り出すためのボトムアップの視点として、鳩山元首相が施政方針演説で取り上げた「新しい公共」という概念が挙げられる。


新しい公共
「新しい公共」とは、「官」だけではなく、市民の参加と選択のもとで、NPOや企業 等が積極的に公共的な財・サービスの提案及び提供主体となり、医療・福祉、教育、子育て、まちづくり、学術・文化、環境、雇用、国際協力等の身近な分野において共助の精神で行う仕組み、体制、活動など。
 
新しい公共の担い手
新しい公共の担い手とは、地域の諸課題の解決のための社会的活動について自発的、主体的に参加する市民、NPO、企業等であり、従来から公を支えてきた行政等の主体と共に公を支えていくものである。支援事業の対象は、主に人的、財政的基盤が脆弱な特定非 営利活動法人、ボランティア団体、公益法人、社会福祉法人、学校法人、地縁組織、協同 組合等の民間非営利組織(いわゆる「NPO等」)であり、自発的、主体的に運営する組織をいう。

 
 行政だけでなく、企業もNPOも公共の担い手であるという啓発活動は、遡ると10年以上前から公的にスタートされていることになる。実際に近年は「ソーシャルビジネス」や「社会起業家」といった言葉も一般的になった。そして、民間非営利組織が起業家精神にのっとり社会課題の解決に取り組み、その結果として政策化・予算づけがされるという大きな社会変化へと繋がる事例も生み出されている。
 具体例を挙げると、認定NPO法人フローレンスは深刻な状況が続く待機児童問題に取り組み、認可保育所の定員に関するルールに着目し、自団体で小規模な保育園をスタートさせた。その挑戦により2012年の「子ども・子育て支援法」の制定、そして小規模認可保育所の制度化・国策化へと繋げ、当時1つも存在しなかった小規模認可保育所が全国数千か所で開設されるまでの成果をもたらした。
 他にも、経済的に苦しい状況にある家庭の教育課題を解決するための教育バウチャーの取り組み「スタディークーポン」も、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン及び特定非営利活動法人キズキといった民間非営利組織がタッグを組み、自団体の実績をエビデンスとして行政側に図っていた事例である。第一弾施策を渋谷区と連携し、行政による無料塾などと違い「民業を圧迫しない」「スティグマ(ネガティブなレッテル貼り)を生まない」といった長所を積極的に広報した。その後渋谷区での正式な行政予算化に繋げるのみならず、佐賀県上峰町など他の自治体へも取り組みを展開している。

5. 今後の課題と展望

 ここまで述べてきたように、望ましい社会像についての提言が示されたり、「新しい公共」の理念に沿ったセクター間連携の事例が一つ、また一つと生み出されたりしていても、日本は課題先進国と言われ続けて久しい。なぜ現状を打破することが難しいのか。
 政治家が無能だからだという声も一理ある。しかしそれと表裏一体の問題として、政治をチェックし、良い政治家を選びそうでない人を淘汰するために重要な選挙について、その投票率が一向に上がらないという問題がある。衆議院議員総選挙を例に挙げると、1993年(平成5年)までは70%前後で推移していた投票率が、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年(平成8年)以降は60%前後へと低下し、2014年(平成26年)には52.66%という史上最低の数字を記録した。地方選挙も同様に右肩下がりで、地方議会議員選挙は全国平均で50%に届かない状況である。
 一方で、NPOに力がないからだという声もまた一理ある。しかし日本のNPOは規模が小さくインパクトが出せないというならば、それを国民が育んでいければ良いが、そうした土壌を築くことができていない。例えば寄付市場は名目GDP比でアメリカの10分の1、イギリスや韓国の4分の1程度と、世界基準を大きく下回っている。
 新しい公共とは、それぞれのセクターが強みを生かし、役割を全うし、課題解決を政治だけに依存しない在り方である。そのためには、寄付者や支援者、消費者や投資家、有権者や納税者といった「生活者」が持つ各側面において、その責務を一つずつ果たさなければならない。


 ソーシャルビジネスや社会起業家といった言葉が一般化し、政治に依存せず民間の立場から課題解決に挑むという姿が注目されるようになったことは、大きな社会変化である。しかし、そうした一部の起業家や先進企業が例外的な存在であり続け、多くの国民が傍観者として存在してしまっては、「政治に依存」から「各セクターの新しいリーダーに依存」へのシフトであって、本質的には変わっていないことになる。公益資本主義を実現するためには、政治的課題を乗り越えて様々な制度改革を断行する歩みと共に、「生活者の行動変容」というボトムアップによるアプローチを力強くデザインしていくことが求められる。

5-1. 非営利団体の組織力及び事業推進力
 
 上記のような課題を踏まえ、日本に真の公益資本主義を根付かせるためには、非営利団体の組織力及び事業推進力の向上が不可欠となる。社会起業家であったりセクター間連携の事例であったりがメディアなどで取り上げられるようになっても、そういった変革者たちを取り巻く環境が十分に整っていない。すなわち、課題解決のエコシステムができていないのである。
 今後求められるのは、NPO法人をはじめとした非営利団体において、経営感覚を持った人材が活躍することだと言い換えることができる。バブル崩壊後の日本社会は、1998年のNPO法の成立や2011年の東日本大震災などの大きな転換期を経験し、現在全国各地で社会性の高い取り組みが行われている。そうした取り組みを、事業性と両立させて持続可能なものとする人材が、非営利団体に圧倒的に不足している。また、事業開発だけでなく組織開発にも同時に取り組む必要がある。会計面・人事面での高い専門性を発揮し、また各事業の適切な評価や業務サイクル化を推進する点は、非営利団体と企業との間で決して大きな違いはないのである。
 こうした社会変化の実現のためには、企業セクターとNPOセクターの間の人材の移動が重要になる。それはつまり、セクター間の「ヒト・モノ・カネ・情報」の流動性の高さが最重要となることを意味する。
 海外の先進事例としては、世界最大のNGO「BRAC」が挙げられる。BRACは1972年にバングラデシュで創設された民間組織で、農業開発や教育、保健、金融など多岐にわたるアプローチで貧困削減に取り組み、それらの事業はアジア・アフリカの国々へと展開している。NGOとして社会課題の解決をその存在理由と設定しつつ、事業ごとにビジネス性を適切に取り入れ、一般的な大企業や行政機関以上の社会的インパクトを創出している。
 日本社会は、いまだに「NPO=ボランティア」といった誤ったイメージから抜け出せていないと言わざるを得ず、BRACなどもその存在を広く認知されるに至っていない。こうした社会の認識を変えていくことにもアプローチし、企業やNPOなどの様々な民間組織が真に対等な立場として協力関係が結べる社会を目指すべきである。

5-2. 国家の未来を切り拓く長期的展望
 
 このように、私は「ボトムアップ」による社会変化の創出に尽力していきたいと考えている。それは、トップダウンの変化(制度改革による新しいルールの実装)との両輪によって真の公益資本主義が実現するという考えに加えて、生活者の行動変容こそがトップダウンの変化を生み出すために重要な「世論の後押し」を形成するという考えからである。
 冒頭で述べた、複雑な課題解決の担い手を行政に依存しないために、求められる国家の長期的展望・基本理念を次のように掲げる。


【国家の未来を切り拓く長期的展望】
一人ひとりの「社会のためのアクション」が結集し、あらゆる生きづらさが最小化されていく社会。

【キーコンセプト】
複層的な「課題解決のDIY」

■ Do It Yourself(第1層)
公的セクターに依存せず、企業セクター・NPOセクターがイニシアチブをとって社会的インパクトを最大化

■ Donation / Investment / Yell (第2層)
生活者の社会的関心を高め、寄付・投資・消費・ボランティアなど様々な形での参画を、段階的にデザイン

 
 キーコンセプトには2つの意味合いを込めた。政治に依存せず、民間の立場から自分たちで社会課題を解決していこうというDo It Yourselfが第1層のDIYである。それに加えて、Donation / Investment / Yellといった、意志を持って選択し参加するということはすべての人に開かれている。こちらの第2層のDIYの領域を育み、全者参画型の課題解決のエコシステムを社会に実装していきたい。
 そのために私は民間フリーランスの立場から、上記の「複層的な課題解決のDIY」に寄与する事業を展開していく。すなわち、組織横断型・セクター横断型で組織開発や事業開発を手がけるソーシャルフリーランスとして社会に貢献していきたい。
 具体的には、①社会的企業や民間非営利組織の伴走型支援を通じた組織基盤強化、 ②NPOファンドレイジングや支援者コミュニティー開発、 ③上記①・②に関連した人材育成および社会啓発、などを想定している。これらはすなわち、企業セクターとNPOセクターとの間の「ヒト、モノ、カネ、情報」の流動性を創り出していく営みである。
 そしてこうしたボトムアップの取り組みの確固たる実績をもって、政治・行政の最前線との架け橋となり、社会制度の変革というトップダウンの動きとの連動をはかれるソーシャルフリーランスを目指す。これが一つのロールモデルとなり、国家の長期的展望の実現へと寄与することを信じ、今後の研究・研修、そして卒塾後の取り組みに尽力していきたい。

 
(参考文献)
原丈人『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』(文藝春秋、2017年)
大久保秀夫『みんなを幸せにする資本主義 公益資本主義のすすめ』(東洋経済新報社、2016年)
トマ・ピケティ(山形浩生、守岡桜訳)『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)
原丈人『増補 21世紀の国富論』(平凡社、2013年)
広井良典『ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来』(岩波新書、2015年)
財務省ウェブサイト「財政に関する資料」公債残高の累積 (最終閲覧日:2019年11月30日) https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a02.htm#a03
財務省ウェブサイト「財政関係基礎データ(平成30年4月)」国及び地方の長期債務残高 (最終閲覧日:2019年11月30日) https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/basic_data/201804/sy3004g.pdf
国立社会保障・人口問題研究所ウェブサイト「日本の将来推計人口(平成29年推計)」報告書 (最終閲覧日:2019年11月30日) http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf
内閣府「新しい公共支援事業の実施に関するガイドライン」(最終閲覧日:2019年11月30日) https://www5.cao.go.jp/npc/shienjigyou-kaiji/gaidorain.pdf
総務省ウェブサイト「国政選挙における年代別投票率について」(最終閲覧日:2019年11月30日) http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

2019年10月 執筆
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