松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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100km行軍
2004年10月

研修レポート

100km行軍雑感
日下部晃志/卒塾生

 

 9月30日から10月1日にかけて松下政経塾の名物研修である100km行軍に参加した。この研修への事前の取り組み、そして得られたものなど、つれづれなるままに綴ってみたいと思う。

1 いいしれぬプレッシャーと周到な準備

 私は、元自衛官である。行軍といえば、仕事の一部であったし、何度も経験していることもあり、入塾当初は与しやすいものだと考えているふしもあった。しかしながら、同期や先輩方との会話の中で、100km行軍の話題が上るたび、「日下部は自衛官だから楽にクリアできるよ」といわれる内に、「失敗は許されないな」というプレッシャーをじわじわと感じるようになってしまった。「出来て当たり前」と思われることほど、嫌なことはない。そう、例えていうならば、スケールこそ違うが、井上康生が「金メダル確実」といわれていたようなものである。シドニー五輪で金メダルを獲り、その後4年間国際大会で負けたことのない井上康生が、アテネ五輪では、メダルすら獲れずに一敗地にまみれたように、行軍の途中でリタイヤして、恥をさらしてしまうのではないだろうかなどと、不安になったものである。このあたりは、まだまだ精神修行が足らない部分ではあるが、この不安があればこそ、周到な準備に取り組めたのだと思う。早朝研修や課外における持続走、万が一にも本番で迷わぬための経路の偵察×5回、足慣らしのための30km、50kmの行進訓練、本番での足の故障を防ぐためのテーピング等の準備、物心体に亘る準備を怠りなくやることができ、万全の態勢で本番に臨むことができたのだと思う。

2 100km行軍の本義~日常と非日常~

 さて、本番である。私がリーダーを努めた「ろ組」は、私の他、高松智之塾生、松下玲子塾生、英国大使館日本語研修生であるリチャード小泉氏という構成で、一言で言うならば、「精強な部隊」である。体力・気力共に充実した頼もしい面々であった。速度調整や経路及び食事場所等についても事前にミーティングを実施して、調整済みであったし、出発前の不安要素は無かった。そうはいっても、100kmという行程である。不測事態の一つや二つ起こっても不思議ではない。ところが、さすがは精強な部隊である。実に、計画通りに距離を重ねていく。次項の表を観て頂ければわかるとおり、前半50kmを10時間というペースで歩いて、時間の余裕を獲得し、後半の50kmは余裕をもって歩くことができた。もちろん、足のまめや筋肉の疲労・痛みはあったと思うが、淡々と歩を進めていった感がある。100kmを歩くということは、一見、非日常的なことに思えるのかもしれないが、「禅」の教えに基づけば、これもまた日常、すなわち「平生底」にほかならない。心底から、そう思えたわけではなかったが、我が組の行軍の軌跡を振り返ってみると、実は100kmを歩くという非日常的な行為を日常に近い形で実践していたのではないかと思う。困難な状況が到来しても、日常のこととして、平気でいられるためのきっかけを掴むこと、この行軍の本義はそのようなところにあるのかもしれない。

●「ろ組」行進経過
   
距 離到着実時間所要時間
0km  
10km12:042:04
20km13:571:53
30km16:032:06
40km18:032:00
50km20:182:15
60km22:472:21
70km1:102:23
80km3:382:28
90km6:072:29
100km8:442:37

3 感 謝

 私は、リーダーとしての任務を「定刻までにろ組全員を無事にゴールまで導くこと」とし、その任務達成のために邁進することのみを考えていた。そのため、土地の美味しいものを食べたり、名所で写真を撮ったりといういわゆる「遊び」の要素は排除していた。ひょっとしたらこの行軍が味気のないものになっていたかもしれないが、それでも不平も言わず、フォロアーシップを発揮してくれた組のみんなにまず感謝したい。本当にありがとう。そして、この行軍を企画・運営して下さった塾スタッフのみなさん、手厚いサポートをして下さった上級生のみなさん、写真を撮ってくれた保安さん、腹に染み入るカレーを作ってくれた食堂の安藤さん、本当にありがとうございました。100km行軍は人の温かさがよくわかる最良の研修である。さて、来年も頑張るか・・・・・。

2004年10月 執筆
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