松下政経塾 塾頭ブログ | 尾関 健治

直感を大切に

2025/12/8

一般にはあまり知られていないと思いますが、人間が技能を習得して熟達していく過程を示した「ドレイファスモデル」というモデルがあります。

その過程は「初心者」「中級者」「上級者」「熟練者」「達人」の5段階であり、「達人」まで到達すると決断は「直感的」であり、作業意識も「無意識」になるとされます。

市長時代、大小問わず数多くの場面で決断を重ねてきましたが、そのときに大事にしていたことは「直感」です。「市長のくせに、大切な税金の使い道等を直感で決めていたのか」と批判を受けるかもしれません。

もちろん、最終的に政策決定をする際には、市役所担当者との協議も重ね、自分自身の中でも仮説を立て、その検証を何度か繰り返した上で、説明責任を果たせるよう論理構成を組み立てます。ただし、その過程を経て出てきた結論は、最初に説明を受けた際に「これはGO」と「これはSTOP」と直感で浮かんできた答えと、異なることはまずありませんでした。

これを明確に言語化することはなかなか難しいのですが、市長として12年間にわたって、最終的にすべての責任を取る覚悟で決断を繰り返していると、「ドレイファスモデル」のような「直感的」で「無意識」の感覚が生まれてくるのかもしれません。

塾生に対して、この感覚をどのように伝えればよいのか、悩むところもあるのですが、権限も責任もない立場で研修を重ねても、塾生時代には身につけることのできないものかもしれません、私自身が塾生時代にできなかったように。  ただし、将来にはそういう感覚を持ち得る、ということだけは伝えられる、と思います。

尾関塾頭
松下政経塾 塾頭
尾関 健治
早稲田大学を卒業後、「地方自治体経営とNPO」をテーマに松下政経塾で学び 岐阜県関市議会議員2期(4年半)、関市長3期(12年)を経て、 2024年4月より松下政経塾 塾頭に就任
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