松下政経塾(以下、政経塾)がその他の人材育成機関と、大きく異なる特徴は、その「志」を常に問われることにあります。
政経塾には、塾是・塾訓・五誓という理念・塾生の心得がありますが、五誓の中で最初に挙げられているのは「素志貫徹の事」です。入塾の選考にあたっても、実際に塾に入ってからも、「あなたの志は何か」と何度も質問を受け、自分なりの考えを繰り返し語ることとなります。
これは建塾以来、変わっておらず、私の塾生時代(第17期)もやはり同様でした。塾生当時、4期上の第13期に堀本崇さんという先輩がいたのですが、夜になると部屋のドアがドンドンと鳴り、ドアを開けると堀本さんが立っていました。そして、和室にドンと胡坐をかくと、「尾関、お前の志は何だ?」と質問が飛んできます。一生懸命答えるのですが、なかなか納得してもらえず、3時間ほどダメ出しが続きます。夜遅くに堀本さんから解放され(あー、やっと終わった)と眠りにつくのですが、その翌日の夜、またまた部屋のドアがドンドンと。
(まさか・・・)と思ってドアを開けると、昨晩に続いて堀本さん。和室にドンと胡坐をかいて、「尾関、お前の志は何だ?」と。(いやいや、そんな志なんて1日では変わらないですよ)と心の中で突っ込みつつ、またもや堀本さんとの長い問答。 当時は大変な思いをしたことを今でも覚えているのですが、自分自身の志を磨く良い時間であったと懐かしく思い出しています。
今の世の中、人間同士の付き合いも淡泊になりがちですが、政経塾が全寮制で共同生活を送る意義は、こうした塾生同士の切磋琢磨にあると思います。
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