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河内山哲朗塾長講演 ~松下政経塾説明会(茅ヶ崎)

2016/8/2

2016年6月18日(土)、神奈川県茅ヶ崎市の松下政経塾にて、松下政経塾説明会が開催されました。当日は、参加者と塾生との懇談・交流会や塾の施設見学など、様々なプログラムが開催されました。今回はプログラムの中から、河内山哲朗塾長の講演内容をご紹介します。

経営で一番大事なこと

今日は説明会にお越し頂き、感謝、歓迎いたします。
私も政経塾の第2期生、卒塾生です。塾生の頃、松下幸之助さんからいろんな話を聞きました。その頃の彼の気持ちを100%分かっていたわけではないですが、市長、それから政府関係法人の理事長を務め、組織経営に携わって35年経つなかで、だんだん分かってきたように思います。
そして今、塾長を務めています。運営・経営するということについて教えられたこと、幸之助さんが考えていたであろう事を振り返るという観点から、政経塾の独特の感覚をお伝えしたいと思います。
 
経営で一番大切なことはなんでしょうか。教科書には経営の三要素として、ヒト・モノ・カネと書いてあります。あるとき幸之助さんに、経営で一番大事なことは何かと塾生が聞きました。そのときの答えを簡潔に言うと、一番大事なのはビジョン、二番目にビジョンを現実化するための道筋、三番目にその道筋の中で今日何を為すべきかはっきり分かっていること、とのことでした。言われてみれば極めて常識的ですが、そういうことをお考えになって会社の経営をしていたのです。

人間を知ること

それと同時に、経営をする上で大事なのは、何と言っても人間です。これは二通りあって、会社の中で大事なのは人間ということと、人間というものがわかっていないと経営はできないということです。この二つ目の人間を知ると言うことが政経塾生に当時求められたことです。
松下幸之助は世の中をよくしたいという思いで政経塾を作っています。日本のみならず世界中の事を考えて、人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献する人間を作りたいというのが松下幸之助さんの願いですからね。そのために人間研究をやって欲しいと。人間というのはあるときには素晴らしい力を発揮しますが、あるときには破壊的です。幸之助さんには、日本が70年前、世界中の幾多の無辜の民に大変残虐な結果をもたらす戦争をやってしまったことについて、同時代人としての切実な反省がありました。人間をきちんと考えないと、国を興す事もあるけれども国を滅ぼすこともある。戦を収めることもあるけれども戦を起こすこともあるということを非常に強く感じておられた。だから塾生は人間を深く考えて、いい世の中を作るために何を為すべきかを一生懸命考えて欲しい、ということです。

万事研修、自修自得と実践

政経塾では全てが研修です。朝起きて掃除をすることも、高名な先生から話を聞くことも、茶道や書道、剣道などで脚下照顧することも研修。従って、普通の学校と違って、先生がいて、テストをしてということはなく、最終的には自修自得。これは最も難しいことです。塾生の時代に100%できたかと言えば難しい。政経塾を出て仕事をしても、何かをやりきったかと考えると難しい。そういう認識に立って、もう一回学び直しをしたいという思いで、この場に立っています。そしてみんなで力を合わせて勉強して、世の中に訴えてみて、賛同する人が増えれば自分が先頭に立って、あるいは先導者に協力して、実践していくのです。

ここには全てがある

人間を知ること。そして、自修自得と実践。これは未だ皆さん経験したことのないことだと思います。興味を持たれた方は、ぜひ政経塾の門を叩いて欲しい。人生を賭けるテーマがあれば、ここは皆さんにとって素晴らしいところになるはずです。
志のある人がいなければ、ここは空っぽです。しかし、思いがあれば、ここには全てがあるといっていい。中には血のにじむ努力をした人もいます。運のいい人も苦労した人もいますが、松下幸之助が求めたのは、運が良くなるように頑張れと言うことです。
「道」という言葉を幸之助さんは好んでおられました。自ら歩むべき道が見つかればやりようはいくらでもあるということを、経営者仲間、特に若い人たちにもずっと言っていたようです。やり方は無限にあると思って取り組むのか、自分はもうダメだと思ってしまうのかは人間が決めること。人間を知れば知るほど、難しいことではありますが、打つ手は無限に出てきます。
 
皆さんの中から、世界を救う人が一人でも出てくることを願っています。
 
 

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