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関西研修レポート 松下幸之助の足跡から、自らの使命を考える

 「真に国家と国民を愛し 新しい人間観に基づく 政治経営の理念を探求し 人類の繁栄幸福と 世界の平和に貢献しよう」―。

 これは入塾以来、日々朝礼にて唱和する塾是である。設立当初より変わらず、塾生の本分として追求すべき理念。この塾是を定めた、塾主・松下幸之助の生き様を通じ、自らの使命を学ぶ機会が与えられた。大阪・大開町の創業の地を訪れ、和歌山での墓参、そして松下電器産業株式会社本社、生活の場であった光雲荘と、その足跡を辿る行程となった。そこで確信したことは、現代に松下幸之助の思いが、明確に根付いているという事であった。それは“変わらぬ理念”と“日に新たな精神”であると考える。

 世界の松下幸之助は、不遇な環境下で育った。和歌山の名家に生まれたものの一家が没落し、小学校を前に大阪へ丁稚奉公に出る。家柄も長寿に恵まれず、両親はおろか兄弟姉妹までも早くに亡くし、また結婚後は最愛の息子も幼くして病死する。そして本人さえも病弱であった。そんな不遇な環境下で、生命の尊さと自らの生きる使命を明確にしたからこそ、不屈の精神を持ち、人情の機微を大切に、他者の意見を尊重する姿勢、そして宇宙までも視野に入れた人間観を確立した思想家としての松下幸之助の姿があるのではないかと考える次第である。

 思想研究の中心を為したのが、京都に本拠を置くPHP研究所である。松下幸之助は企業人としての使命と共に、日本の状況と未来を憂慮し、世界そして人類の繁栄の為には如何なる道を求めるべきか、真剣に考え続けていたという。PHP総合研究所の江口社長や、松下資料館でのお話から、またPHP研究の拠点であった京都の東山山麓にある真々庵の荘厳な日本庭園での研究の様子を伺い知るに、私自身にも非常に強く伝わる事があった。

 それは何か。21世紀を人類の真の繁栄の時代にするには、政治・社会の変革が必要であるというPHP研究の結論に辿り着く。その政治・社会の変革を担うリーダーを養成する事が松下政経塾の使命へと繋がっていると考えるのである。

 松下幸之助の変わらぬ理念とは、まさに宇宙という観点から、人類の繁栄と幸福に照準を定めた言動であると考える。松下電器産業株式会社の社訓「七精神」を調べる中で、次の二つに着目した。「順応同化」と「感謝報恩」である。前者は、「進歩発展は自然の摂理に順応同化」せねば成功は得られないとし、また後者については、「艱難をも克服」し「真の幸福を招来する根源」であるという。電器メーカーの社訓に、自然の摂理や真の幸福とは、現実社会を超越した風を感じさせる言葉である。そうした宇宙の中の人間観を有した経営者であったからこそ、私利私欲に捉われない、信念が生まれたのではないかと考えるのである。また、確固たる理念を有しても、時代の変化は常に進むものである。後継する社員がそれぞれ工夫を凝らして努力を重ねる。そういった日に新たな努力こそが、今まさに松下電器産業株式会社を、世界の松下として業界をリードするのみでなく、働きやすい企業連続ナンバー1を誇るような、社員にも支持される企業として発展する姿に映し出されているのではないだろうか。経営者の姿はもちろん、現場の最前線にいる社員の方々それぞれからも、松下幸之助の理念が脈々と息づいていると感じた。

 今回の研修において、訪問先でお世話になった方々は、我々が松下政経塾の塾生であるというだけで、身に余る厚遇で出迎え、当時の姿を様々ご教授して頂いた。まさにこれは、松下幸之助塾主の人徳の賜物であると共に、塾出身者・関係者の日頃の努力の積み重ねを評価頂いているものと痛切に感じる。心より感謝の念を感じると共に、塾生としての使命と責任をより強くした。これは益々、研修の中で自らを磨き鍛えなければならない。しっかりと精進しなければならいないと覚悟を新たにすると共に、松下幸之助塾主の、PHP研究の延長の場として将来を担う若者を育てるという建塾に至った強い思いを受け継ぎ、日本そして世界の発展の為に働きたいと考えている。今後も出来ることを最大限に、今生かされている事を謙虚に受け止め、日々研修に励んで参りたい。

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中西 祐介

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