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『塾主を知る関西研修』を終えて

 今回の関西研修において、日本を憂いて新しい真の国家経営を推進するために、リーダー育成機関である政経塾を設立した、松下幸之助塾主の強い思いを感じることができたと共に、様々な体験研修を通して、現地現場研修の重要性を体感することができ、大変意義のある研修であった。

1、はじめに

 政経塾に入塾して2ヶ月が経過した。今回、5月15日から5月24日までの9泊10日かけて、松下幸之助塾主ゆかりの地の訪問をはじめ農業研修、伊勢神宮の参拝を通して、塾主の建塾の思いと、塾主に対する多くの方々の格別の思い、そして政経塾生に対する期待を感じた。私にとっての今回の関西研修の目的は、(1)松下幸之助塾主を自分なりに知る、(2)塾生としての使命を再確認すること、(3)研修の基本方針である「自修自得」・「現地現場」・「切磋琢磨」の重要性を認識する事であった。

2、松下塾主との出会い

 塾主との最初の出会いは、17年前に遡る。私の誕生日にあたり、祖父が塾主の自伝をプレゼントしてくれた事がきっかけである。当時私が持った印象は、幾多の苦労を乗り越え電球を作る町工場から世界屈指の電気メーカー・松下電器を作り上げた偉人であり、尊敬すべき人であると思った程度であった。その後、年を重ねるにしたがって塾主の著作を読んでいくこととなる。塾主の著作は、自分の人生、進路、悩みについて考える際に大きな役割を担ってくれたと同時に、人間に対する興味と自己観照する習慣を身に付けさせてくれた。

 だが、一方で大学に進学し一人暮らしをしたあたりから塾主に対しての疑念が芽生えてきた。松下幸之助さんは、もっともな事を述べているが本当に現実社会で通用するものであろうか?または、どの本を読んでも松下幸之助さんを美化しているものばかりに見えたことによって、本当にこんな完璧に近い模範的な人物が存在したのだろうか?等と冷静に判断しようとした時期もあった。とはいうものの、心のどこかで塾主の国に対する思い、日本人に対する思いを信じていた。だからこそ、入塾試験で自分の素直な思いを伝える事ができ、今回3年1000日の修行の為の時間を頂けたのではないかと考えている。

3、松下塾主を知る

 入塾して1ヶ月半、先輩各位から一年目はまず塾主の研究をするようにと薦められた。自分自身としても、入塾前からそのように考えており今回の関西研修は有意義なものとなった。

 私なりの解釈として塾主をわかりやすい言葉で表現すると「臨床哲学者」・「死ぬまでテーマを持ち研究した人」。これがPHP研究所、松下電器本社、松下歴史館、松下資料館での講話や書物の閲覧を通して感じたことである。

 塾主は、9歳で丁稚奉公に出され、19歳で肺尖カタルを患い、そして26歳で天涯孤独の身となっている。その後、大阪電灯㈱(関西電力の前身)を経由し、松下電氣器具製作所を設立している。松下電器設立以降は、企業人として順風満帆な人生を歩んだと思っていたが、世界恐慌や戦後GHQより7つの制限を受ける等、それ以降も幾多の苦難に直面している。そしてこの困難を試行錯誤と工夫することによって見事に乗り切っている。

 その結果、社会において幸福を享受できないだろうか?人間とは何か?という非常に抽象的であり、明確に答えを出しづらいテーマを持ったのではないかと考えられる。この研修を通して、塾主に関わった方々からお話を伺う中で私が持っていて塾主に対する疑念が晴れた。塾主は幾多の困難を乗り越える中で、純粋に政経塾の塾是にもあるとおり、人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献したいと思ったのではないかと考えるに至った。塾主から優しい言葉をかけてもらった人の話、お客様の車が見えなくなるまで頭を下げていた話、晩年、日本の事を考えて夜も眠れなかった話、塾主に関わった方々からは、仕事上の塾主の厳しさを聞くと同時に、自分を律し、人を大切にし、人類の繁栄幸福を切に願い、その為に自分が何をすべきかを真剣に考え、そして行動した塾主について教えて頂いた。

4、塾生としての使命

 塾生の使命は、「人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献する」ことだと考える。この言葉は、非常に簡単な言葉であるが、非常に深い意味があることがこの研修を通して理解できた。

 おそらく、塾主は政経塾の塾生には政治を良くする事を求めていると思う。その為には、政治家を志すも良し、起業するも良し、マスコミに身をおくのも良しと考えていたはずである。ただし、塾生は、「人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献する」という同じベクトルに向うという条件は当然つくと思う。我々、塾生は私心を捨てて、自分を律し、新しい国のかたちを描かなければならないはずである。

5、「自修自得」・「現地現場」・「切磋琢磨」の重要性

 塾主研究、農業研修(田植え)を通して3つの基本方針の意味が理解できた。塾主はおそらく、生涯通してこの3つを頭に入れて活動していたのだと考えている。今回の関西研修で同期の塾生と、毎日研修する中で3つの基本方針の重要性を体感できたと思う。特に、京都の丹後地方の棚田での田植えの研修は、体を使って実際田植えをするという意味でも、最先端の農業を知る上でも、重労働を協力して行うという意味でも大変勉強になったと思う。人間一人には限界があり、何かを達成しようと思うと他人の協力が必要である。が、しかし、それだけでは駄目で生成発展を求める為には、個人の自修自得も必要であるということを学んだ。この学びを大切に生かしたいと思う。

6、最後に

 この研修レポートには書ききることができなかったが、今回の研修で、茶道の宗家研修、真心庵見学、松下電器本社見学、PHP研究所見学など身に余るほどの経験をさせていただき、様々な方々に本当にお世話になった。これもひとえに塾主の人徳と功績のおかげである。私は、この感謝の気持ちを忘れず、この3年間に意味ある研修を行っていくと共に、一生をかけて、理想をもって人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献したいと思う。

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仁戸田元氣の活動報告

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Genki Nieda

仁戸田元氣

第27期

仁戸田 元氣

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福岡県議(福岡市西区)/立憲民主党

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