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100キロ行軍を終えて

 100キロ行軍は入塾以来、いや入塾前から同期の中でことあるごとに上る話題であった。実は、私は今回の100キロ行軍の前にも100キロを歩いたことがあった。大学時代、とあるサークル主催で、学生の間では「100ハイ」と呼ばれている大学恒例の行事「早稲田100キロハイキング」に毎年参加していたのだが、正直なところそれでも不安で一杯であった。というのも、昨年の「100ハイ」は4度目の参加ということでなめてかかったためか、70数キロの地点で足の裏の激痛に耐えかね、初のリタイアをしてしまったからで、また途中で足が痛くなって歩けなくなってしまったらどうしようかと、実は心配であった。さらに、毎回100キロを歩くたびに、疲労と痛みに耐えながら歩く延々と続く道のりに、「何でまた参加してしまったのだろう」「もう歩けない、だめだ」と再び参加してしまったことの後悔と途中で止めたくなる気持ちとの葛藤の連続であった。このように、100キロを歩いたことがあるからこそ感じる、不安というものがあった。

 安田さんをリーダーとする私の組は、25期の年少3人である、安田さん、國田さん、そして私と、特別塾生の何さんの4人で、他の組より年齢が若いだけあって、スタートする前から「若いチームだから余裕でしょ!」「一番でゴールしなきゃねぇ」などと周囲から声をかけられ、私は張り切ってスタートしたのであったが、安田さんの方針が「マイペース作戦」ということもあって、10キロの辺りですでに最下位、前の組やトップの組とはどんどん差が開く一方であった。このペースだとゴールがギリギリ、下手をすると間に合わないのではないかと焦った自分は、もっとペースを上げるよう主張したのだが、あくまでも「マイペース」を貫くべきだとする安田さんと方針をめぐって対立し、結局、組が真っ二つに割れ、私と國田さんは勝手に徐々にペースを上げていった。

 だんだんと私達と安田さん達との差が開き始め、20キロを越える辺りには安田さん達が、振り返っても見えなくなってしまった。ついに本部から「一緒になって歩くこと」との忠告を受けてしまい、もう一度安田さんと話し合い、もし今よりもペースが少しでも落ちるようなことがあれば、私の主張する、今よりももうちょっと早いペースに切り替えるということで合意し、再びみんなで歩くことになった。しかし、またみんなで一緒に頑張ろうと思ったのもつかの間、35キロ地点を目前にして、足を痛めているにも関わらずそれをおして100キロ行軍に参加した何さんが、やはり足の痛みが響いたのだろうか、残念なことにリタイアすることとなってしまった。4人一緒にゴールすることはできなくなってしまったが、いつまでもそのことを悔やんでいるわけにもいかず、3人でゴールを目指すことになった。

 この辺りから、私は徐々に足の痛みや足の疲れを感じるようになり、ただ黙々と安田さんの後についていくのが精一杯であった。私達は何かにとり憑かれたかのように、まるで機械であるかのように歩き、一時は1時間くらい差がついていたトップとの距離も徐々に縮まっていった。しかし、足の痛みと疲れは増す一方で、もはや限界であり、70~80キロの辺りになると、10キロを歩くたびに襲われる「もう無理だ、リタイアしたい」という感情との葛藤であった。

 85キロのあたりだっただろうか、私は苦しさを紛らわせ、気分が塞ぎ込まないようにと、話をしたり、歌をうたったり、意図的に気分が昂揚するようにしていたのだが、不思議なことにある時突然、パッとそれまでの痛みと疲れが嘘であるかのように、消えてなくなってしまい、後をついて行くのが精一杯だった自分が、先頭でペースメーカーができるくらい、快調に歩けるようになった。今まででこんな経験は初めてであり、このおかげで残りの道のりを難なく歩くことができ、終わってみたら私達はトップでゴールしていた。最下位であったのがまるで嘘のようである。

 今回の100キロ行軍で、本当に「感謝協力の事」であるな、としみじみと痛感させられた。最初はリーダーの言うことを聞かず、勝手な行動をしてしまった自分であるが、もし1人で歩いていたら、恐らく100キロは歩けなかったと思う。同期と一緒に歩き、励ましあい、助け合ったからこそ、また先輩や職員の皆様をはじめとする多くの方々のサポートがあったからこそ、歩ききれたのだと思う。応援していただいた全ての皆様に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

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長谷川毅の活動報告

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Takeshi Hasegawa

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