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コロナ禍に思う⑦ 社会の変化とアートのあいだ ~重岡晋塾生~

コロナ禍に思う⑦ 社会の変化とアートのあいだ ~重岡晋塾生~

こんにちは。38期生の重岡晋です。
 
私はアートをビジネスに活かすと言うテーマのもと、これまで企業研修や新商品開発に取り組んできました。
私たちが生きる現代社会は、時に突然世界を変える様な出来事が起きて、時に当たり前と思っていた前提が大きく覆ってしまう事があります。
アフターコロナ、withコロナなどと言われるこれからの時代において、私たちの価値観やライフスタイルはどの様に変化するのでしょうか?また、この様な社会変化の中において、アートから何を考えられるか?私なりにアイデアを考えてみました。
 
1.ライフスタイル:心の栄養としてのアート
 
食が体にとっての栄養である様に、アートは心の栄養として私たちに豊かさを与えてくれます。生活必需と言うと食品や生活用品など、実用性を伴うものがまず想起されますが、私はアートも生活必需だと考えています。鬱々とした生活の中にあっても、芸術作品は生活空間を彩り、精神的豊かさを満たす、そんな役割を果たしてくれるので、有事の際こそ必要なものなのではないかと思います。今後、健康というテーマに人々の関心が向かうと思いますが、心身ともに健康である事を考えると心の栄養としてアートはライフスタイルの中に必要な存在だと思うのです。
 
2.ワークスタイル:アトリエ型のライフスタイル
 
アーティストには自分の仕事場としてのアトリエと生活を一つの拠点で完結させるSOHO型のライフスタイルの人が多くいます。日常生活は作品制作のアイデアを得られる場ですので、仕事と切り離された存在ではありません。以前から取り組まれていた働き方改革ですが、期せずしてリモートワークが加速し自宅での時間が増加した方が多くいます。人口密度の高い都市空間での感染症リスクが明らかになった今、自宅で生産活動をする、アトリエ型のワークスタイルからヒントが得られるかもしれません。
 
3.エデュケーション:クリエイティビティは失われない資産
 
コロナウイルスの影響で、世界各国の経済は大きく変化し、金融市場もリーマンショック以来のパニック相場になりました。私は世の中に変化があっても失われない資産の一つとして、人間のクリエティビティがあると思います。商品やサービスなどは時代の変化によって淘汰され、失われる事もありますが、「また新しく何かを作ろう」という人間の想像力・創造力は時代の変化によって失われる事がありません。作ったものが失われてもまた作ることができる。この考え方は、不確実な世界を生きる上で精神的な安定につながりますし、とても重要なことだと思います。アート作品の実製作は創造と破壊の繰り返しの作業です。この手の考え方や能力の基礎を養うことができますので、教育の中の位置付けとしてもその価値を見直しても良いのではないかと思います。
これまで前提としていた価値観が見直される今、美意識や感性、創造性を育むアートの意義について引き続き考え、社会経済活動と共にどういった新しい価値を作ることができるのか、模索を続け、実践をしていきたいと思っています。

写真:直島の風

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