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松下政経塾では、2年次の研修として、半年間ほど民間企業等に身を置いて経営の要諦を学ぶ「経営実践研修」がある。2年次を迎えた私の研修先は、沖縄の新テーマパーク『JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)』[i]の開発・運営を行う株式会社ジャパンエンターテイメント(以下、JE)である。2025年の7月25日に開業を迎えたが、私は5月から11月までの半年間、沖縄県名護市に居住し、同社の事業開発本部の一員として開業前から開業後の幅広い仕事に携わらせていただいた。同部は、佐藤大介副社長直属のチームとして、オフィシャルマーケティングパートナー事業の推進、行政・地域住民との関係構築、新規事業創出などを担う部署だ。私は中でも主に「地域連携」に関する業務を担当した。
要人視察対応、ダイナソーサファリ勤務、商品開発説明会開催、従業員向けキッチンカー導入など、ありがたいことに多くの貴重な経験をさせていただいた。中でも思い入れのあるプロジェクトが、立ち上げから推進させていただいた「JEナイト」だ。JEナイトとは、ジャングリア沖縄で働く全てのスタッフに地域の商店街で楽しんでもらうイベントである。スタッフへの感謝と、地域経済への貢献を目的としている。6月から名護十字路商店連合会の方々と協議を始め、急ピッチの準備を経て、9月16日〜18日の開催に至った。3日間それぞれ、名護市営市場広場で開会式を開き、エイサー演舞、JE挨拶、来賓挨拶、乾杯、JEショーを楽しんでもらった後、開会宣言を経て、名護の商店街を周りながら他のスタッフや地域の人との交流を深めてもらうプログラムだ。
最終的に3日間でおおよそ1000名の人がJEナイトを訪れ、無事大盛況のうちに幕を閉じた。共催では名護十字路商店連合会、協賛ではオリオンビール株式会社、後援では名護市、名護市商工会、名護市観光協会、名護社交飲食業組合の皆様とご一緒させていただき、地域と共に作り上げたイベントとなった。ご来賓いただいた名護市長も地域の新たな活気に喜んでおられたとのことであった。この3日間で生まれた沢山のご縁が、これからもジャングリア沖縄が生き生きとし続ける一つのきっかけに、そして、地域とジャングリア沖縄が一緒になって発展していく一つのきっかけになることを願っている、目指すは町をあげてのジャングリアパレードだ。
JEでの研修は、結論として、自分の人生の中でもとりわけ大きな意味を持つ半年間となった。この期間でいただいた学びとご縁は間違いなく一生ものである。思いを抱く沖縄の地、ジャングリア沖縄の開業という一世一代のタイミング、ともに働く熱くも温かい仲間たち、この上ない環境であった。こんなにもやりがいを持って働けたことはこれまでなかった。私にもし夢がなかったら、同社の夢に自分の人生を捧げたいと思えるほどであった。それほど、良い理念、良い組織、良い事業だと感じた。半年間で得たものは無数にあるが、最大の賜物は、間違いなく、所属先である事業開発本部の方々と出会えたことだ。切磋琢磨した日々、開業期を乗り越えた日々、笑い合った日々のことは忘れない。本部長の佐藤大介さん、ディレクターの磯部淳哉さんと宮里大八さんを中心に、全員がそれぞれの熱い思いを持ちながらリーダーシップとオーナーシップを持って懸命に働き、それでいて、全体として決してバラバラになるわけでなく、統率力と結束力のある強いチームであった。その上、誰かが困っていれば、自分のことは後回しにして、全員が助けにいく、そんな優しいチームであった。
JEの強みは、根本的には間違いなく「人」にある。事業開発本部に限らず、オフィスでも、現場でも、人が生き生きしている。ジャングリア沖縄を訪れる人は、口を揃えてナビゲーターの人の良さを高く評価する。オペレーションにおいても、毎日オフィスと現場が一丸となって改善を重ねており、開業から数ヶ月の現時点でも見違えるほどに大きく変わっている。私が同社の未来に対して成功を確信している理由もここにある。人が生き生きしている組織は、この先何があろうと、どんな壁に直面しようと、乗り越えていくに違いない。松下幸之助塾主も「事業は人なり」と語っていた[ii]。
人の強さは、何からくるか。それはまさしく理念であろう。JEには「沖縄から日本の“未来”をつくる」というシンプルで明確な理念がある。収入が落ちようが、地元を離れようが、仕事が大変であろうが、「ここで働きたい」と思わせる強い求心力を持った理念だ。話を聞けば、誰しもが何かしらの思いを持ってジャングリア沖縄という場に集っている。だから、強い。簡単にはくじけない。他方、理念は掲げるだけでは人は集まらない。同社の理念が人を惹きつけた理由は「大衆に支持される大人の本気の夢」だったからではないか。つまり、JEを設立した株式会社刀の代表取締役CEOで、ジャングリア沖縄の仕掛け人である森岡毅さんの存在だ。同氏の姿を見て、私は経営の要諦を次のように得た。
「リーダーが、社会の課題に対して、大きな可能性を示し、壮大な夢を示すとともに、夢に終わらないと思わせる。その夢に共感した仲間たちが集まり、いつしか、リーダーの夢が、個人を超えて、仲間たちの夢になる」
JEでは、言葉では言い表せないほど沢山の貴重なことを学ばせていただいた。とりわけ「目的・戦略・戦術の思考法」「組織の動かし方、地域の巻き込み方」「人がついてくるリーダーのあり方」「地域価値の可能性と文化経営の重要性」「沖縄観を通じた国家観」の学びを得た。何よりも、佐藤大介副社長のリーダーとしての姿に感銘を受けた。まだ言語化できていないであろうことも含め、同社で得た学びとご縁が、今後の自分の人生を大きく変えるであろう。かけがえのない経験であった。佐藤大介さん、JEの方々、JEを通してお会いした方々、JEとのご縁を作ってくださった比嘉啓登塾員、上里直司塾員、宮城一郎さん、そして、原点である松下幸之助塾主、すべての皆さまに心より感謝したい。
日本から沖縄の未来を作るのではない。沖縄から日本の未来を作る番である。JEは日本の希望だ。
[i] ジャングリア沖縄 公式ウェブサイト
https://junglia.jp/ (2025年12月10日 閲覧)
[ii]松下幸之助(2001)『実践経営哲学』PHP研究所(114p)
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Sadamasa Yamanaka
第45期生
やまなか・さだまさ
Mission
文化大国日本の実現