松下政経塾 The Matsushita Institute of
Government and Management

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宗家研修
2004年11月

研修レポート

宗家研修感想
田草川薫/卒塾生

 

 松下政経塾の塾生が、京都の裏千家で研修させて頂く様になり、私たちで18年目になるそうです。数多い政経塾の講義の中でも、大切に受け継がれている研修に参加できたことを心から嬉しく思います。

 今回の研修では、二つの目的が与えられていました。一つは「茶道の持つ精神世界について深く理解する」という、ある意味「座学的」要素を持つ目的と、もう一つは「『日本の伝統精神・文化』をよりよく理解し、『日本人』として自らの精神のよりどころとすると共に、今後の活動にその『精神・文化』を活かしていく」という抽象的ではありますが、今後の個別活動に関係する「概念的」要素を持つ目的です。これ以外に、私自身は自分への課題として、「16代続いてきた、人々に支えられてきた『茶道』の背景にあるものは何かを感じる」という心持ちで京都入りいたしました。

 朝7時半からの作務に始まり、お手前のお稽古はもちろんのこと、資料館や今日庵などのお茶室の見学、茶道具に関するお話の講義、みどり会の方々の練習模様の見学など、短い期間ではありましたが、身も心も茶道の世界に一日中浸ることができたのは大変貴重な体験でした。また、御家元からお話を頂く時間があり、「ありがとう」と「ごめんなさい」、「はい、喜んで」の精神について教えて頂きましたが、これらは茶道の時だけでなく、普段の生活の中でも守っていくべき基本的な姿勢だと思いました。当たり前だけれども、なかなかできないこと。それを茶道のお稽古を通じて、自然に身につける方法を気付かせて頂いた三日間でした。

 宗家での研修を終えた今、茶道の持つ精神世界は何ですか、という質問を受けたなら、私は一つの答えとして「自然であること」と返します。自然であるということは、素直であること、感謝の気持ちを大切にすることに通じます。頭で順番や場所を考えていただけでは覚束無いお手前の作法も、一つひとつの所作に理由があることを知り、緊張をほどくと、自然に体が動き、無理なく振る舞えるようになります。お客様をおもてなししたい、茶会を楽しんで頂きたいという想いが働くから、お茶の濃さ、お湯の量、などにも気が回せるようになりました。

 私が宗家研修を通じて感じたのは、「自然である」ということを、「行為」と「心」で同時に実現できるのが茶道であるということです。

 政経塾にあるお茶室、「松心庵」には「素直」という掛け軸が掛けられており、お稽古の度に拝見させて頂いておりましたが、宗家研修を経て、改めて「素直」であることが大切だと体感した気がいたします。主人としてお茶を入れさせて頂く場合でも、お客様として頂戴する場合でも、相手の立場、場の雰囲気を思いやり、一期一会の出会いを楽しめるよう、自分の心の在り方を整えておきたいと思いました。

 茶道が古来より日本の伝統として続いてきた背景には、その振る舞いや、心の在り方が、人にとって素直に受け入れられ、自然なことだったからだと思います。相手に対する思いやりを第一に、さらに自分の心を前向きに、善い方に保っていくことが肝要であると教えて頂きました。今後の個別活動においても、この研修で学んだこと、感じたことを忘れずに実践していくように努めます。

 このような素晴らしい経験をさせて頂けたのも、松下幸之助塾主が裏千家とのご縁を頂いたからと伺っております。

 最後となってしまって誠に恐縮ですが、お忙しい中、心に沁みるお話を聞かせてくださった御家元千宗室先生、様々なお心遣いをくださった先代・御家元千玄室先生、三日間お稽古をつけてくださった中島先生、中村先生、奈良先生には深謝申し上げたいと思います。その他、この研修を実施するにあたって、早くから受け入れの準備をしてくださった方々、研修期間中お世話になった全ての方々に、心から感謝と御礼の気持ちを記して、宗家研修の感想文とさせて頂きます。

 本当にありがとうございました。

2004年11月 執筆
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