松下政経塾 The Matsushita Institute of
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2001年2月

塾報

副大臣制度を通じて真の政治主導の確立を
伊藤達也/卒塾生

 今年1月から、副大臣制度が発足した。最後の通産政務次官を務めた伊藤達也塾員(第5期生)が語る政治主導の構造改革論。国会審議は活性化されるか。

 
 昨年7月発足した第二次森内閣で通産政務次官を務めた。省庁再編を目前に控え、事実上最後の政務次官として、副大臣制度を機能させることを強く意識しながら職務に当たった。

 この1月に施行された「国会審議の活性化および政治主導の政策決定システムの確立に関する法案」によって、政務次官制が廃止され、副大臣と政務官が置かれることになっていたからである。仕事の実態は新制度を先取りするものとなった。それまで政務次官の仕事は国会対策と各種イベントや大会での大臣の代理が主な任務だったが、副大臣制では国会答弁が中心になる。そのため政策の企画・立案、政省令起案や重要政策の決定のすべてに携わることになった。

 その結果、省益に阻まれ解決できずに置かれていた省庁を横断する政策テーマが、われわれ政務次官の協力によって解決可能となった。例えば、平成13年度に創設されることになっている「再建途上の企業融資を支援する事業再生融資制度(DIPファイナンス)」は、七条大蔵政務次官と私のしっかりとした連携の成果である。

 通産省は約1万2千人の職員を抱え、通商産業政策、産業技術開発、特許問題、エネルギー対策など広範多岐にわたる行政を担当している。私は次官就任に当たり、経済構造改革推進、戦略的経済産業政策立案とその実行を最重要課題に掲げ、個々の政策の立案、経済対策、平成13年度予算並びに税制に取り組んだ。また、IT(情報通信)を担当し、政府代表として国際会議に度々出席し、東アジア、米国、欧州の民間のトップや担当閣僚など、国内外の多くの関係者と親しく話をする機会を得た。

 こうした経験から強く感じたことは、日本が競争政策の体系を作り上げ、それを戦略的に実行できなければ、国際競争力を回復することはできないということだ。世界の国々はIT革命に対応して、痛みの伴う構造改革に積極的に取り組んでいる。今までのように規制の数を減らすだけの規制緩和推進では、世界の流れに抗することはできない。具体的な政策目標を提示し、それを達成するために、行政の仕組み、補助金・税制まで含めた骨太な制度設計と実行が求められている。特に、IT革命推進に不可欠な情報・通信ネットワークに関する国家戦略策定(子細は『VOICE』1月号に小論を掲載)が急務である。こうした国家運営を実現させるには、政治の強いリーダーシップが欠かせない。

 副大臣、大臣政務官制度がスタートし、これからは政治家の政策議論と責任の下で日本の進むべき方向が決まる。この制度が機能するためには、副大臣が大臣を補佐して、①政策の基本的方向と優先順位を決め、②政策決定主体を一元化し、政府・与党が一体となって政策を実行していく体制を築き、③省庁を横断する政策課題を副大臣が調整して結論を導き出すよう、副大臣会議を実務化することが重要だ。

 真の政治主導を確立し、日本全体の構造改革を進めていくには、まだ多くの課題がある。これからも政治の側からの改革に全力で取り組んでいきたい。

2001年2月 執筆
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